電流とは電子が移動することです。そして電子が移動すると…つまり電流が流れると、周囲に磁場が生まれます。電子の持つ「磁場を作る」はたらきを、簡単な実験で調べてみましょう。電子の流れ=電流=磁場という関係を考えるシンプルな実験です。
アルミホイル
表裏にN極 S極がある磁石 x 1
方位磁針 x 1(狂うことがあるので安価なもので実験する)
ミノムシクリップつきリード線 x 2
乾電池(単一電池が熱を持ちにくいので良いですが、単二、単三でも短時間ならOK)
セロテープ
- はさみ
アルミホイルを1 cmほどの幅に細長く切って帯にします(この部分を電流が流れます)。
アルミホイルの幅が広すぎるとよくないので、1〜1.5 cmほどが適当です。
1のホイルを「Ω」字の形に曲げて、足の部分を机にテープで止めます(両端を少し残して下さい)。
2の両端にミノムシクリップつきリード線をつなぎます。真ん中の下の部分に方位磁石を置きましょう。
リード線の一方を乾電池の電極につなぎます。方位磁石の磁針に注目しながら、接続していないリード線と乾電池電極を一瞬だけつけてみましょう。
リード線を乾電池につけるのは一瞬にしましょう。つけっぱなしだと乾電池が熱くなって危険!
方位磁針が動くのを確認しましょう。乾電池をつけて電流がアルミホイルに流れると、アルミホイルが磁石のような働きをするため、方位磁針が動きました。
次に、方位磁針を片付けてから、同じ位置に磁石を置きます。
方位磁針を片付けてから磁石を出すこと!磁石の近くでは方位磁針が狂うことがあります。
アルミホイルに注目しながら、乾電池の電極にリード線を一瞬つけると、アルミホイルがぴくりと動きます。磁石を裏返し(NとSを逆にし)たらアルミホイルはどうなるか、同じように試してみましょう。
磁石とアルミホイルの間が広いと、磁力が届かずに動きにくくなります。すき間が1〜2 cmになるようにアルミホイルを調節して下さい。
- アルミホイルの太さをチェック!…太すぎる(2 cm 以上の)場合はもう一度作り直してみましょう。
- 方位磁針や磁石とアルミホイルの距離をチェック!…すぐ上をアルミホイルが通るように、ホイルを少し曲げて調節します。
方位磁針の実験で……なぜ磁針が動いたの?
地球は南北にN極 S極を持つ巨大な磁石で、地球とそのまわりに磁場を作っています。方位磁針の針は磁石なので、地球の磁場と引き合い、N極 S極の方向を指します。この実験で乾電池をつなぐ前、方位磁針は地球磁場の方向(南北)を指しています。そしてアルミホイルに電流を流すと、そのまわりに地球磁場よりも強い磁場ができるため、方位磁針の針はこの磁場の方向を指すのです。なお、電流の向きが変わると、アルミホイルに発生する磁場のN極 S極は逆向きになります。
アルミホイルがぴくぴく動いたわけ
アルミホイルに電流が流れて磁場が生まれたとき、近くに別の磁場があると影響しあいます。磁石のN極とS極は引き合い、同じ極同士は押しのけ合いますが、この力が電流にはたらくのです。この実験では、電流による磁場と磁石の磁場とが引きあい&押しのけ合いの力を発生させ、それが電流が流れているアルミホイルを動かしたのです。また、N極とS極を逆向きにすると、磁石の磁場との引きあい&押しのけ合い
の関係も逆になるので、ホイルの動く向きが逆になったのです。
電池のきほん
- 電線に電流が流れると、その周囲に磁場が生まれます。電流が流れている間だけ、磁石と同じようにはたらきます。
- 磁石を2〜3個重ねるなどすると、作用する力はより大きくなります。試してみましょう。
- 電流が大きくなると発生する磁場も強くなり、より太いアルミホイルを動かすことができます。
- 乾電池の向きを変えるとアルミホイルや方位磁針がどのように動くか試してみよう。
ただし、乾電池を3個以上重ねると電流が極端に大きくなって、発熱などの危険も大きくなります。電池を増やす実験は適切な指導者のもとで短時間だけ実施して下さい。
- 乾電池をつなぐのは数秒以内にします。接続したままにしないよう注意して下さい。発熱することがあります。