使うとエネルギーがなくなってしまう使いきりタイプ。電池といえば、これが思い浮かぶほどポピュラーな存在です。電池のなかでどのようにして電気が生まれるのか。かんたんな実験でみてみましょう。
1. 亜鉛板(あえんばん)で電子が発生
亜鉛板で電子ができます。
そして亜鉛板をつくっている亜鉛原子が、電子を残して亜鉛イオンになって電解液(でんかいえき)に溶けていきます。 銅板(どうばん)の方はほとんど溶けません。
2. 亜鉛板の電子が大移動
亜鉛板では、亜鉛が溶けた分だけ電子の数が増えていきます。そして、導線を伝ってプラス極の銅板の方に移動していきます。
3. 水素イオンが電子を受け取る
電解液の硫酸には水素イオンが含まれています。
ところが、同じ電解液の中に亜鉛イオンが生じてくると、水素は亜鉛よりもイオンになる力が弱いので、水素イオンは銅板に移動してきた電子とくっついて、水素ガスにもどります。こうして電子が消費されると、また亜鉛板から電子が移動してきます。それによって、電子の流れと反対に電流が流れて電気エネルギーが生まれるのです。
マンガン乾電池
公称電圧
1.5 V
(-)極が缶容器を兼ねた構造。そのためスイッチの切り忘れ等で過放電すると、缶に穴があいて液漏れすることがあるので注意しましょう。歴史が古く、ポピュラーで安価な電池。休ませると回復する性質があるので、かい中電灯などのように時々使うもの、短時間くり返し使うものにおすすめ。
アルカリ乾電池
公称電圧
1.5 V
容器となる外装缶が化学反応に関係せず、液漏れしにくい構造。マンガン乾電池よりも大容量で電圧低下が少ないので、強力ライトなど大きな電流で使うものや、ラジカセなど連続して使うものにおすすめなのがこのアルカリ乾電池です。
リチウム一次電池
公称電圧
3.0 V
電圧が高くて安定性もよく、容積当たりのエネルギー量はマンガン乾電池の最高10倍にもなる高性能な電池。水分のない電解液を使っているので、低温でも使えます。デジタル時計のコイン型、カメラ用のパック型、釣りの浮きのピン型など用途や形はさまざまです。
アルカリボタン電池
公称電圧
1.5 V
電子玩具や電卓、カメラなどに使用される高性能で低価格な電池です。
酸化銀電池
公称電圧
1.55 V
高容量で電圧も安定しており、長寿命です。腕時計用などボタン形電池の多くはこのタイプ。厚さ2ミリ以下の薄いものもあり、精密機器等に向いています。
空気亜鉛電池
公称電圧
1.4 V
水銀電池に代わって補聴器などに使われています。空気が入らない密閉機器では使えません。シールをはがすと発電をはじめます。
エネルギーがなくなっても、繰り返し充電して使える便利な電池。携帯電話など小型の機器に使われることが多く、守備範囲はどんどん広がっています。
ニカド電池
公称電圧
1.2 V
充電時の化学反応で発生するガスを内部で吸収できる構造。充電式電池はすべて同じような仕組みになっています。ただし、使わないでおくと自然に放電して約3~6ヵ月で電気がなくなってしまうので、使う直前に充電しましょう。
ニッケル水素電池
公称電圧
1.2 V
ニカド電池と同じく、充電してくり返し使えます。構造などもニカド電池に似ているけれど、より高容量で、持続時間はニカドに比べ約1.5~2倍。デジタルカメラなど長時間使いたい機器におすすめです。
リチウムイオン電池
公称電圧
3.7 V
金属リチウムの代わりにリチウムイオンを使った、'90年代登場の新しい電池。ニカド電池やニッケル水素電池に比べて持続時間も長く、軽量、しかも自己放電率が少なく、メモリー効果も起きない優れものです。
鉛蓄電池
もっとも歴史が古い二次電池。
自動車や二輪車用バッテリーとして使われるほか、「シール<制御弁式>」タイプのものは、病院、工場、ビルの非常用電源、コンピュータのバックアップ用などに使われています。
太陽光からどのようにして電気をつくりだすのか。「太陽電池」(光電池)を例にみてみましょう。
太陽電池は、太陽の光エネルギーを電気のエネルギーに変える電池です。山の中でも海の上でも太陽の光がある限り、かんたんに、しかも公害を出すことなく、電気をつくりだすことができます。
太陽電池の原理は、プラスの性質を持つP型半導体(はんどうたい)とマイナスの性質を持つN型半導体を接合させてつくられています。太陽の光がP型半導体の接点に当たることにより、プラスの性質とマイナスの性質がそれぞれ電池の両端に集まるため、電圧が生じ、電気エネルギーができるのです。
燃料電池とはどういうものなのか。かんたんに図で説明してみましょう。
水の分子式はH2O。
つまり、水素と酸素でできています。
水に電気を通すと、水素ガスと酸素ガスが出てきます。
これを水の電気分解といいます。
この電気分解の流れを反対にしたもの、つまり水素と酸素が結びつくと水と電気が生まれるということを利用したのが燃料電池です。