建設業 残業

施工管理に残業が多い理由とは?
実態や残業時間削減への動きも紹介

公開日:2024 / 1 / 25

一般的に残業時間が多いと言われる建設業のなかでも、施工管理は残業が多い職種の一つです。人手不足やアナログな業務が多いなどが主な理由です。しかし2024年4月からは建設業にも時間外労働の上限規制が適用されます。そのため、これまでの働き方を見直し、残業時間の削減に取り組む必要性が高まってきました。

今回は、施工管理に残業が多い理由を確認したうえで、改善のポイントをお伝えします。

建設業界の時間外労働上限規制適用に向け早急に取り組むべきことについては、「建設業も対象となる36協定とは?2024年4月施行に向けて建設業が抱える課題と解決策を解説」をご覧ください。

施工管理の残業実態は?

施工管理の残業時間についてはいくつかのデータがあります。

例えば、転職・求人情報サービス「doda」が2023年1月に公開した「平均残業時間ランキング」では月35.3時間、施工管理情報サイト「セコカン+」が2022年7月に公開した「2022年施工管理の平均残業時間」では、51.3時間となっています。

厚生労働省が毎月発表している「毎月勤労統計調査(2023年7月分)」で全業種の平均残業時間が13.7時間ですから、施工管理の残業時間はかなり長いといえるでしょう。

また、「セコカン+」では施工管理をさらに詳細に分類しており、建設関連では「建築施工管理」が52.3時間、「土木施工管理」が49.8時間、「プラント施工管理」が49.5時間です。建築施工管理は、施工管理のなかでも残業時間が長めという結果となっています。

施工管理の残業が多い理由

施工管理の残業が多い理由はさまざまですが、大きく影響しているのは次の点です。

  人手不足

少子高齢化の影響により、あらゆる業種で人手不足が慢性化しています。なかでも建設業の人手不足は深刻です。国土交通省が発表した「建設産業の現状と課題2023」によると就業者数のピークであった1997年は685万人でした。しかし、2022年は479万人と、ピーク時から実に30.1%も減少しています。

管理的職業・事務従事者に絞ってみても、ピーク時の1996年に133万人だったのが2022年では103万人と30万人の減少です。

しかも、長く減少傾向にあった政府・民間の建設投資額は増加に転じ、2022年は67兆円と、就業者数がピークであった1997年の約71兆円に迫りつつあります。
就業者数が減少しているなかで投資額は増加しているため、一人ひとりにかかる負担が増大し、残業が多くならざるを得ない現状があります。

建設業界の人手不足の問題・解決策については、「建設業の人手不足による長時間労働を解決するには?2025年問題についても解説」をご覧ください。

  アナログ業務の多さ

施工管理はアナログ業務が少なくないことも、残業が長時間化する理由の一つです。

2023年6月にワークスモバイルジャパンが発表した「労働時間に関する建設現場の実態・意識調査」では、施工管理に現場の実態を聞いています。最も多かった回答が「現場の写真を撮って、事務所に戻ってから整理している」で、57%。次いで「図面、報告書など紙で出力することが多い(48%)」「電話対応が多い(40%)」と続きます。

以上の結果からも、アナログ業務の多さが残業の多さに直結していることがうかがえます。

  業務が外部環境に左右されやすい

建設や土木工事では工期厳守が基本であるのは当然ですが、施工計画が万全であっても悪天候が続き、計画が狂ってしまうケースは珍しくありません。工期に間に合わせるために現場で残業が続けば、施工管理の残業も増えることになります。

施工管理の残業を減らす動き

全業種の平均残業時間を大幅に超える残業が常態化している施工管理ですが、残業を減らす動きがみられるようになってきました。具体的な取り組みは次のとおりです。

  適正な工期の設定への取り組み

改正建設業法(令和2年10月施行)により、通常必要と認められる期間に比して著しく短い工期による請負契約の締結が禁止され、違反した場合は国土交通大臣などによる勧告・公表が可能になりました。また、中央建設業審議会が工期に関する基準を作成・勧告できるようになったため、適正な工期設定を確保するための取り組みが増えています。

  建設業も時間外労働に対して罰則付きの上限規制の対象に

2024年4月から建設業も「月45時間以内、年360時間以内」という時間外労働の上限規制対象となります。災害時における復旧及び復興の事業を除き、上限規制が適用されるため、今後はさらに施工管理の残業を減らす取り組みが本格化していくと考えられます。

建設DXへの取り組みと効果

施工管理の残業時間を削減するためにはさまざまな施策が求められます。なかでも重要なポイントは積極的にデジタルツールを活用し、施工管理業務に改革をもたらす建設DXへの取り組みです。

  建設DXへの取り組みが残業時間削減につながる理由

DXの目的は市場に新しい価値を提供することであり、現実的な取り組みの第一歩は業務のデジタル化です。施工管理については、ペーパーレス化、クラウドサービスの活用などに加え、勤怠管理のデジタル化などが考えられます。

デジタル化を進めることで業務の効率化や適切な勤怠管理の実現につながり、長時間労働の是正や残業時間削減が可能となります。建設DXの推進により、施工管理の残業時間削減以外に、次のような効果も見込めます。

  建設DXへの取り組みで得られるその他の効果

建設DXへの取り組みにより期待できるその他の効果として、次のようなことが考えられます。

  • 施工管理業務の質向上が実現する

    施工管理にかかる業務のデジタル化により効率化が進み、空いたリソースをより生産性の高いコア業務に使え、これまで以上に質の高い業務遂行が可能になります。

    また、施工管理の育成にも時間を使えるようになります。それがさらなる施工管理業務の質向上につながり、良い循環が生まれます。

  • 新たなビジネスモデルの創出につながる

    DXを実施する目的は、デジタル化を行うことで技術革新を起こし、新製品開発や新事業創出を実現させることです。施工管理における業務効率化のノウハウが社内に蓄積すれば、それを活かした新しいビジネスの展開も可能です。

    例えばデジタル化が遅れている競合に対し労務管理のコンサルティング業務を行う、施工管理業務のデジタル化のパッケージをつくり販売するなどが考えられます。

施工管理の残業時間削減を実現させるポイントは勤怠管理のデジタル化

長時間労働の常態化が進む施工管理業務ですが、2024年4月からは建設業も時間外労働の上限規制が適用されるため、迅速な解決が必要となります。施工管理の残業が多くなる主な理由は人手不足やアナログ業務の多さです。これらの理由から本来行うべき業務が業務時間内にできず、時間外に行うようになるためどうしても残業が増えてしまいます。

施工管理の残業時間削減に最も有効な手段は業務のデジタル化です。現状の業務プロセスを可視化し、必要な箇所にデジタルツールを導入することで業務効率化、残業時間の削減が実現します。またデジタル導入の効果がどれだけあるのかをチェックし、改善していくには社員が活用するパソコンの利用制限や稼働ログ管理も欠かせません。

そこでおすすめしたいのがパナソニック ソリューションテクノロジーの長時間労働抑止システム「Chronowis」です。パソコンの利用制限と稼働ログの取得により、長時間労働の抑止が可能です。時間外労働の上限規制に関する36協定にも対応しているため、新たな法律の遵守にも大きく貢献するでしょう。さらに、社員の日々の体調を数値化するコンディション管理機能もあり、社員の体調管理も万全です。
施工管理の残業時間削減を実現させ、建設DXを目指す際は、ぜひ長時間労働抑止システム「Chronowis」の導入をご検討ください。

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