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連続勤務の上限は何日まで?労働基準法の規定を超えないためにとるべき対策を解説
公開日:2023 / 7 / 26更新日:2024 / 1 / 18
事業によっては繁忙期と閑散期の差が激しく、忙しい時期には従業員に連続勤務をさせてしまうこともあるでしょう。しかし、連続勤務は長時間労働へとつながり、従業員の心身への負担が大きくなります。また、コンプライアンスをはじめとするさまざまな面から見ても、企業は従業員に連続勤務させることを可能な限り控えなければなりません。
この記事では、連続勤務に関する労働基準法の規定、連続勤務可能な日数、上限を超えないための対策などを説明します。
労働基準法で認められる連続勤務可能日数
労働者保護を目的に、働かせる際の最低基準を定めている労働基準法では、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。」と規定しています。就業規則などで「毎週日曜日を休日とする」と規定することによって「週に1日以上の休日」が確保できるため、多くの企業が従業員に対して曜日を決めて休日を付与しています。
しかし、労働基準法は曜日を定めることまでは規定していません。このため、日曜日から週が始まるとした場合、1週目は日曜日を休日、2週目は土曜日を休日とすることも可能です。つまり、1週目の月曜日から2週目の金曜日までの12日が、連続勤務が可能な最大の日数になります。13日以上を連続勤務させると1週に1日以上の休日付与ができないことになるため、労働基準法に違反します。
一方、労働基準法は労働時間を「1日8時間・1週40時間」と規定しています。時間外労働は、2019年(中小企業は2020年)4月1日から上限規制が設けられ、原則として「月45時間・年360時間」までとなっています。
臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合でも、時間外労働は年720時間、時間外労働と休日労働を合計して月100時間未満、2~6ヵ月の各平均80時間以内、時間外労働が45時間を超える月は年6回までしか認められません。
長時間労働を是正する必要性から、働き改革の一環として時間外労働の上限規制が設けられた背景を鑑みても、連続勤務は避けるべきだと考えられます。
【パターン別】連続勤務可能な日数
連続勤務が可能な日数をパターン別に見ると次のとおりになります。
通常勤務の場合
休日は労働基準法で以下のように定められています。
(休日)労働基準法第35条
「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。」基本的に使用者は、労働者に対して第1項に定める「毎週少くとも1回の休日」を付与することが求められます。ただし、曜日を定めることまでは求められていないので、休日を毎週同じ曜日に付与する必要はなく、ある週は日曜日を休日、ある週は月曜日を休日とすることができます。
変形休日制の場合
変形休日制とは、労働基準法第35条第2項を根拠に認められている休日制です。4週につき4日以上の休日を与えれば「毎週少くとも1回」の原則に従う必要はないとする制度で、4週に対する4日の休日を連続させることで、24日の連続勤務が可能になります。ただし、変形休日制を導入するためには、就業規則などに変形期間の起算日を定めておかなければなりません。
変形労働時間制の場合
変形労働時間制とは、一定期間の平均が「1週あたり40時間」の法定労働時間を超過しない範囲で、「1日8時間、1週40時間」を超えて労働させることを認める制度です。1ヵ月を超え1年以内を一定期間とする1年単位の変形労働時間制では通常の場合で6日まで、繁忙期である特定期間の場合で12日まで連続勤務させることができます。
連続勤務の上限日数を超えてしまった場合の罰則とデメリット
連続勤務の上限日数を超えると労働基準法違反となり、規定の罰則が科せられる場合があります。処罰を免れたとしても、さまざまなデメリットにより甚大なダメージを受けるおそれがあります。
連続勤務の上限日数を超過した場合の罰則
連続勤務の上限日数を超えて従業員を働かせてしまうと労働基準法第35条違反になります。労働基準法第119条の規定により、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処されるおそれがあります。
連続勤務の上限日数を超過した場合のデメリット
健康を害する恐れがある
休みなしに連続勤務していると、心身の疲労の蓄積により健康を害するおそれがあります。残業や休日労働といった長時間労働が、脳・心臓疾患やメンタル不調を引き起こす可能性があるのです。上限日数を超えて連続勤務させることによって、従業員の心身に重大な悪影響がおよび、労災認定される疾患や過労死を招いたり、自殺の原因となったりする可能性もあります。
労災事故を引き起こす恐れがある
疲労の蓄積により仕事に集中できず、危険に対する注意力が散漫になり、労災事故発生につながる危険もあります。
労災事故の発生は企業にとって大きなダメージとなり、企業イメージの低下や社会的信用の喪失など、企業活動に甚大な悪影響があります。労働基準監督署から労働環境の改善を義務付けられ、被災従業員から訴訟を起こされ損害賠償を請求される可能性もあります。そうした場合には、金銭的にも多額の損害が予想されます。労働力不足が起こる恐れがある
離職者が増えたり、採用活動で応募者が集まらなくなったりする可能性があり、労働力不足が引き起こされるおそれがあることにも留意しなければなりません。
連続勤務の上限日数を超えないための対策方法
連続勤務の上限日数を超えないようするためには、次のような対策が考えられます。
勤務日数の把握を徹底する
勤務日数を正確に把握していなければ、連続勤務の上限日数を超えてしまうおそれがあります。勤務日の認識に相違がある、勤務時間が記録されていないといった場合がこれに該当し、意図せずに連続勤務の上限日数を超えることになるため注意が必要です。こうした事態を防ぐには、労働者ごとの正確な勤務日数を把握しなければなりません。記録をしっかりとることも重要です。
労使双方の意識を変える
連続勤務の上限日数を超えないようにするためには、労使双方の意識の変化も求められます。労働者は連続勤務の上限日数を越えないように、自身がどれだけ連続勤務しているかの確認が必要です。しかし、連続勤務のルールを知らない労働者も少なくありません。
そこで、使用者側は連続勤務の上限可能日数を違反した場合の罰則・デメリットを周知し、従業員の意識を変える必要があります。また、上司が部下に対して連続勤務を強要するような言動をとらないことや、企業側の意識改革も求められます。
勤務管理できるITツールを活用する
ITツールの活用も連続勤務の上限日数違反防止に効果的です。勤務管理システムと併用して長時間労働が抑制できるようなITツールを活用すると、各従業員の勤務状況を正確に確認でき、労働時間を適正な範囲に管理できます。勤務時間や勤務日数が法令などに抵触する前に、警告を発して未然に防ぐ機能を備えた製品もあります。
勤務状況を可視化して、不要な連続勤務にならないように対策しよう
労働基準法は週に1日以上の休日を規定していますが、曜日の固定までは求めていないため、連続勤務は通常の場合12日まで可能です。変形労働時間制を導入している場合には、さらに長く連続勤務させることも可能ですが、認められている連続勤務日数を超えてしまうと労働基準法違反となり、罰則が科せられるおそれがあります。また、連続勤務が長期間に及ぶと、従業員の心身の健康が危ぶまれたり、企業のイメージが低下したりするなど、さまざまな面でリスクがあります。
そこで、勤務時間を適正に管理するためにはさまざまな対策が必要ですが、そのなかでもITツールの活用は効果的です。
長時間労働抑止システム「Chronowis」なら、勤怠管理システムと連携して従業員の勤務状況を客観的に正確に把握できるため、今どれだけ勤務しているのかがひと目でわかり、連続勤務を適切に管理できます。従業員の労働時間の適正な管理に悩んでいる場合は、ぜひ一度導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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