建設業

建設業の離職率って実は低い?
今のうちに取り組むべき対策も紹介

公開日:2023 / 11 / 28更新日:2024 / 1 / 18

一般的に離職率が高いと思われがちな建設業ですが、実はほかの産業と比べ決して高くはありません。厚生労働省が発表した「令和3年雇用動向調査結果」を見ると、建設業の離職率は9.3%です。この数字は、16分類された産業のなかで4番目に少なく、全体平均の12.9%よりもかなり低くなっています。

しかし、離職率は低いものの長時間労働の常態化はじめ労働環境についての課題は少なくなく、早急な解決をしなければ、いずれ離職率増加につながる可能性も低くはないでしょう。そこで本記事では、離職率の低い今のうちに取り組むべき対策をお伝えします。

建設業の離職率は?

建設業は「きつい・汚い・危険」の3K職業と呼ばれることもあり、一旦就職しても離職する率は高いのではないかと思われがちです。しかし、実際には冒頭でご紹介したとおり、ほかの産業と比べて離職率は低い傾向にあります。

冒頭では2021年の数字のみを紹介しましたが、離職率が低いのは、ここ1~2年の話ではないようです。

一般社団法人日本建設業連合会では、厚生労働省の雇用動向調査結果にある転職率(離職率と同じ)の推移を表にしています。表を見ると、建設業の転職率は2014年に10.3%になり、その後は継続して10%を切っています。

同時期の全体平均は15%前後で推移しているため、建設業の離職率は概して低い方だといえそうです。

  就職3年以内の早期離職率は?

全体の離職率が高くなくても、若い人の早期離職率が高いと、将来的には不安が残ります。就職してから3年以内の早期離職率はどうなっているのでしょうか?

厚生労働省が発表のデータを見ると、新規大卒就職者の産業別就職後3年以内の離職率は、建設業は全18産業中10位(2018年・2019年3月卒共に)で、同時期の全体平均よりも低い水準です。

現時点での建設業の離職率は高くはないといえますが、将来的にもそうなのかはわかりません。

日本建設産業職員労働組合協議会が2023年4月に発表した、「2022時短アンケート」によると、25歳未満で48.5%、25~29歳で46.6%が退職もしくは転職を視野に入れているという結果が出ています。

そもそも少子高齢化の影響による人材不足は建設業界でも当然課題になっており、75歳以上の後期高齢者が急増する「2025年問題」への対応も急がれます。

離職率が比較的低い今のうちに、離職率をさらに下げ、人材不足への対応をしておきたいところです。

建設業の離職率をさらに下げるには?

前述のとおり、離職率が比較的低い今のうちに、できる対策を早急に実施しておくことが大切です。

前出のアンケートでは、若い世代が転職を考えている理由についての設問はありません。しかし、若い世代ほど、「仕事そのもの魅力やりがい」よりも、「賃金」「労働時間・休日取得」など労働環境を重視する傾向が強いことを示唆するデータがあります。

建設業界は現在、すでに人手不足による業務負担の多さや長時間労働など労働環境が整備されているとは言い切れない現状があります。

建設業界の現状については、「建設業にも求められる週休二日制!実現するための対策を解説」をご覧ください。

今は離職率が低くても、労働環境がこのまま改善しない状態が続けば、いずれ離職率の高まりを招きかねません。労働環境を改善し、さらに離職率を下げるには、次のような対策が必要となるでしょう。

  業務の標準化

建設業が抱える課題の一つに社員の高齢化が挙げられます。2021年10月に国土交通省が発表した、「最近の建設業を巡る状況について【報告】」を見ると、建設業就業者で55歳以上は全体の約36%です。一方29歳以下は約12%しかおらず、急速に高齢化が進んでいるのがわかります。

2025年4月からは高齢者雇用安定法により、すべての職種で定年が延長されるものの、いつかは退職していきます。もしベテラン社員にしかできない業務が多い場合、その人たちが退職してしまうと、誰もその業務ができなくなる、もしくは誰かに過大な負担が生じます。

ベテラン社員が退職する前に業務の属人化を廃し、マニュアルを策定して標準化を進めておけば、将来的な業務負担軽減の実現と同時に人手不足対策にもなり、離職防止につながることも期待できます。

建設業の人手不足対策についてより詳しくは「建設業の人手不足による長時間労働を解決するには?2025年問題についても解説」をご覧ください。

  完全週休2日制の実現

前出の「2022時短アンケート」によると、休日が10日あった2022年11月の休日取得日は、内勤者は9.6日、外勤者は8.1日です。内勤者はほぼカレンダー通りではありますが、それでも完全週休2日は実現していません。外勤者に至っては8.1日ですから、2日は休日出勤をしている計算になります。

完全週休2日制の実現は、離職率低下につながる効果も期待できるため、これまで以上にスケジュール管理の徹底が欠かせません。できる限り休日出勤にならないようにし、なったとしてもスムーズに代休が取れる体制の整備が求められます。

  多様な働き方への対応

前出の「2022時短アンケート」によると、在宅勤務を希望するかとの問いに対し、内勤71.7%、外勤37.3%が希望するとしています。

一方、2022年6月に東京商工会議所が発表した、「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」では、建設業のテレワーク実施率は23.6%。製造業、卸売業、小売業、サービス業の5業種のなかで4番目に低い数字です。

育児や介護などさまざまな理由でテレワークを求める声は少なくありません。これに対応できないと離職者が増える要因となってしまうリスクがあります。

現場に赴いての業務においては、テレワークは難しいですが、オフィスにおいて行う事務系の業務は可能です。テレワークに移行できる業務を洗い出し、多様な働き方が可能である環境を整えていくことが大切です。

以上、紹介した対策に加えて必要なのは、建設業界において大きな課題となっている、長時間労働の対策です。長時間労働対策については、この後詳しく紹介します。

建設業における大きな課題「長時間労働」の対策は?

建設業の労働環境における課題の中でも、頻繁に指摘されるのは、長時間労働の常態化です。ここでは、長時間労働対策について解説します。

厚生労働省が発表している「毎月勤労統計調査(令和4年分結果)」によると、建設業の1ヵ月平均総実労働時間は全体平均より27.4時間多い163.5時間です。月20日出勤するとして、平均よりも毎日1時間以上も長く働いていることになります。

この長時間労働を削減対策として考えられるのはITツールの活用です。

インターネットの普及やIT技術の進化により、すでに多くの企業がITツールをビジネスに活用しています。しかし、実際には導入したものの適切に活用できていない、結局は手作業が主になっているといったケースも少なくありません。

そこで、自社に合ったITツールの選択、効果的な運用を進めるためのポイントは、「業務プロセスを可視化させる」「日本製でサポート体制が充実したツールを選択する」の2点です。

  • 業務プロセスを可視化させる
    競合が使っているから、勧められたからといった理由でITツールを選択すると失敗に終わる可能性が高まります。必ず自社の業務プロセスを可視化させボトルネックを見つけ出したうえで、その解消になるITツールを選択しましょう。
  • 日本製でサポート体制が充実したツールを選択する
    自社に合ったITツールを導入できても、適切に運用するにはサポート体制が充実していることが重要です。海外製はメールでの対応のみで、日本の商習慣に合っていない場合もあるため、日本製でなおかつサポート体制が充実しているものを選択しましょう。

将来の安定のためまずは適切な勤怠管理の実践が重要

建設業の離職率が低いからといって、今後も永続的に安定しているとは限りません。今のうちにできる対策を実施し、快適に働ける環境を整備することが、将来の安定につながります。

そこで、求められるのは、業務の属人化防止、完全週休2日制の導入、多様な働き方の実現、そして長時間労働の是正です。これらの課題を解消するには、さまざまな施策が考えられますが、すべての課題に対応できるのがITツールの活用でしょう。

例えば、RPAを活用すれば業務の標準化が可能です。また、プロジェクト管理ツール、コミュニケーションツール、勤怠管理ツールなどの活用で業務効率化を進めれば、それ以外の課題も解決する可能性が高まるでしょう。

また、長時間労働の是正を実現するITツールとして、長時間労働防止システム「Choronowis」をおすすめします。時間外労働の上限規制に関する36協定への対応し、これからの長時間労働の是正に最適です。

勤怠管理システムで勤怠を管理したうえで、「Choronowis」を利用すれば、長時間労働の抑止効果を最大限に発揮させられるでしょう。また、社員の日々のコンディションを数値化して管理するコンディション管理機能により、メンタルヘルス対策も可能です。これにより離職率低下対策としても高い成果が期待できます。

長時間労働の削減はもちろん、離職率低下を課題にしている場合でも、ぜひお気軽にご相談ください。

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