建設業 働き方改革
建設業における2025年問題の影響、有効な対策とは?
公開日:2024 / 4 / 16
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで起きると予測されている諸問題を、2025年問題と呼びます。社会保障費の増大や医療介護業界の人手不足の深刻化などが主な問題ですが、建設業においても大きな影響があります。特に人材不足は深刻な問題であり、今すぐにでも対策を取らなければ成長を続けていくことは難しくなってしまうでしょう。
今回は2025年問題の概要を解説したうえで、建設業において2025年問題が与える影響と解消に向けた有効な対策をお伝えします。
2025年問題とは
2025年問題とは、日本で第一次ベビーブームが起きた1947年から1949年に生まれた「団塊の世代」が75歳以上の後期高齢者になることで起こるさまざまな問題を指すものです。
総務省統計局が発表しているデータでは、2020年に1,872万人であった後期高齢者が、2025年には2,180万人と、300万人以上増えると予測されています。後期高齢者が総人口に占める割合の急激な増加により、現役世代にかかる社会保障費の増大や医療介護従事者の人材不足が起こるとされているなどが、2025年問題です。
2025年問題は社会的な問題だけではなく、企業にとっても後継者不在による廃業や社員不足といった問題が生まれるとして、早急な対策が求められています。
2025年問題についてより詳しくは「2025年問題とは?企業に与える影響や取るべき対策」をご覧ください。
建設業における2025年問題の影響
建設業における2025年問題でもっとも危惧されているのは、高齢化による人材不足です。
国土交通省が発表している「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、建設業に従事するものの年齢は、2020年の時点で55歳以上が36.0%、29歳以下が11.8%です。建設業を含む全産業の平均は55歳以上の割合が31.1%、29歳以下が16.6%であることからも、建設業に従事するものの高齢化が見て取れます。
また、総務省統計局が発表した「労働力調査(2020年)」によると、2012年と2022年の比較で就業者数が減少しているのは、農業・林業(-33万人)、建設業(-24万人)、生活関連サービス業・娯楽業(-14万人)、金融業・保険業(-4万人)の4業種です。そのなかで建設業は農業・林業に続いて2番目に減少数が多く、24万人も減っています。
これらの結果から、建設業における2025年問題はほかの業種に比べてもかなり深刻だといえるでしょう。 建設業の2025年問題のもう一つは、人材不足の常態化と高齢者の引退により、これまで以上に長時間労働の増加リスクが高い点です。
上述した「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、年間労働時間において全業種の平均が1,621時間なのに対し、建設業は1,985時間と364時間も長くなっています(2020年)。年間出勤日についても、全業種の平均212日に対し、建設業は224日です。
2020年の時点でほかの業種と比べてこれだけの問題があるという点では、建設業では2025年を待つことなく、すでに人材不足による社員の負担増大は常態化していることを意味します。そのため、2025年問題を先の問題として考えるのではなく、早期に対策を講じる必要があるでしょう。
建設業の人手不足による長時間労働対策については、「建設業の人手不足による長時間労働を解決するには?2025年問題についても解説」をぜひご覧ください。
2025年問題に向け建設業で有効な対応
少子高齢化による生産年齢人口(15~64歳)の減少は止められません。そのため、少ない人材でいかに業務効率を高め、生産性を向上させるかが、2025年問題の解決に欠かせないポイントです。ここでは、建設業が2025年問題に対応するためのポイントを解説します。
若手人材の雇用対策
建設業の問題点の一つが社員の高齢化です。先に紹介したとおり2020年の時点で29歳以下の社員がわずか11.8%しかいないため、この比率を全業種平均の16.6%にまで近づける必要があります。具体的な対策としては次の3点が考えられます。
- 企業イメージの刷新
若手人材を雇用する対策の一つとして、若者が建設業に持つイメージの刷新は欠かせません。一般的に建設業は危険できつい業界といったイメージがあります。そこで、SNSによる情報発信や若者が集まるイベントへの参加などでコミュニケーションを取り、理解を深めてもらうことが重要です。 - 賃金の引き上げ
前出の「最近の建設業を巡る状況について【報告】」によると、建設業男性労働者の年間賃金総支給額は572万9,900円です。この数字は全業種平均の560万9,700円を上回ってはいますが、中にはネガティブなイメージを持つ人もいる業界に対して若者に魅力を感じてもらうには、さらなる賃金の上昇が求められるでしょう。
実際2021年以降、国と日本建設業連合会や全国建設業協会など4つの業界団体が、建設業の技能労働者に対する適正な賃金水準の確保をするための協議を進めています。各企業により事情は異なりますが、賃金の引き上げは、人材獲得において重要なポイントの一つです。
- 明確な育成計画の策定
明確な育成計画の提示、アドバイスも、若者には魅力に映るでしょう。
例えば20代で入社後、研修や勉強会などによる資格取得支援計画の策定を行い、年齢と共にキャリアアップできる道筋を提示することも効果的です。この会社にいれば計画的に資格取得ができ、成長していけるイメージを持ってもらうことで、若手人材の雇用促進につながる期待が高まります。
職場環境の改善対策
長時間労働や休日出勤を減らすためには職場環境の改善が必須です。具体的な対策としては、次の点が挙げられます。
- 週休二日制の導入
国土交通省の週休二日応援ツールの活用や施工主との間での工期に関する話し合い、週休二日制度入後の賃金制度の見直しなど、週休二日制の定着につながる施策を実施します。
建設業の週休二日制について詳しくは、「建設業にも求められる週休二日制!実現するための対策を解説」をご覧ください。
週休二日制の導入については、適正な工期設定や施工時期の平準化、工期の適正化なども盛り込まれた新・担い手3法の遵守も必須です。
- 長時間労働の抑止
建設業では、2025年問題の前に、これまで猶予されていた労働基準法改正による残業時間規制が2024年4月から始まるため、2024年問題への取り組みも欠かせません。具体的には、時間外労働時間が年720時間、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満などの規定があり、これを遵守しない場合6ヵ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科せられます。
長時間労働の抑止は、職場環境の改善においても重要な取り組みとなるため、ITツールの導入や業務プロセスの見直しなどを早急に進め、抑止対策の実施が必要です。
建設業の2024年問題や残業時間抑止対策について詳しくは、「労働基準法改正による建設業の残業上限規制は2024年4月から施行されます」や「建設業の2024年問題とは?課題や有効な対応方法を解説」をご覧ください。
建設業の2025年問題に対応するには早急な対策の実施が必須
2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることで引き起こされるさまざまな問題を指すものです。社会的な問題はもちろん、企業においても解決すべき問題が多々あるため、早急な対応が求められます。
特に建設業においては、労働基準法改正による残業時間規制が2024年4月から始まるため、これにも対応していかなければなりません。ただ、長時間労働の抑止は、20代の新規雇用にも結びつく可能性があるため、積極的に進めていくことで2025年問題の対策にもつながっていきます。
長時間労働を抑止するには、業務プロセス見直しを実施したうえで、RPAやCRMなど業務効率化や自動化ツールの導入も必要ですが、同時に社員の労働時間管理も欠かせません。そこでおすすめしたいのが長時間労働抑止システム「Chronowis」です。
パソコンの利用制限と稼働ログの取得により勤怠管理システムとの併用で労働時間の監視が行えるため、長時間労働の抑止が可能になります。効率化を進めるツールを導入しても、社員一人ひとりの労働時間管理ができなければ、本当の意味での長時間労働抑止にはつながりません。「Chronowis」を活用すれば、アナログでは手間のかかる適切な管理が簡単に行えます。2025年問題への対策の一環として、ぜひ「Chronowis」の活用をご検討ください。
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