健康管理
メンタルヘルス対策の重要性と対策のポイント、効果的な取り組みを解説
公開日:2024 / 3 / 5
企業におけるメンタルヘルス対策は、年々重要性を増しています。メンタルヘルス不調に陥る社員が増加すれば、業務不能につながってしまうリスクもあるからです。メンタルヘルス対策は、うつ病や適応障害といった精神疾患はもちろん、病気まではいかないまでも過度なストレスや心の不安、悩みなどの対策も欠かせません。
今回はメンタルヘルス対策の重要性を説明したうえで、対策のポイントや効果的な取り組みについて解説します。
メンタルヘルス対策の重要性
企業がメンタルヘルス対策に取り組むべき理由はさまざまですが、主なものとしては次の点が挙げられます。
休職者・離職者の増加防止につながる
メンタルヘルス不調がひどくなれば、日常的な業務を行うことも難しくなり、休職してしまうリスクが高まります。実際、2023年8月に厚生労働省が発表した「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)(事業所調査)」の結果を見ると、メンタルヘルスの不調によって連続1ヵ月以上休職もしくは退職した労働者がいた事業所の割合は13.3%です。この数字は前回(2021年)の調査結果(10.1%)から3%以上の増加となっています。
メンタルヘルス対策を実施し、メンタルヘルス不調の防止、早期発見を実現させれば休職者・離職者の増加防止につながるでしょう。
生産性向上につながる
上述した「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)」の個人調査によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は82.2%です。この結果から見ても、ほとんどの社員が不安やストレスを感じながら仕事をしているといえます。
悪化すれば、仕事に対するパフォーマンスの低下が起き、休職や退職につながる可能性があるため、必要となるのがメンタルヘルス対策の実施です。メンタルヘルス対策によって、不安やストレス感じることなく仕事に集中できるようになり、結果として生産性向上につながります。
メンタルヘルス対策のポイント
メンタルヘルス対策は、メンタルヘルス不調のどういった段階で行うか、誰が行うかによって分類されます。
メンタルヘルス対策には主に3つのステップがあり、対策を誰が億なうかにより4つのケアに分かれます。3つのステップと4つのケアについては、「メンタルヘルスケアとは?企業が取り組むべきケアのポイントを解説」をご覧ください。
3つのステップ、4つのケアのいずれにかかわらず、対策をスムーズに進めていくには、この後紹介するポイントを意識することが重要です。
メンタルヘルス対策の実施を周知する
企業としてどのような体制でメンタルヘルス対策を実施するのかを社員に対し周知します。経営層が本格的にメンタルヘルス対策に取り組む姿勢を見せることで、安心して相談できる環境の構築が可能です。
メンタルヘルス対策の計画立案・改善を行う
メンタルヘルス対策は、短期的なものではなく、長期的な視点で計画を立てたうえでの継続が欠かせません。そのためには労使間による協議を行い、現場の状況に適した計画の立案・実行が必要です。また、定期的に効果検証を行い、課題点については速やかな改善も求められます。
事業場外資源の活用も検討する
メンタルヘルス対策は、産業医や保健師がいないと社内だけで実施するのは困難です。そのような場合は、外部の医療機関や保健所など事業場外資源の活用も検討しましょう。
顧客や取引先へ理解・協力を呼び掛ける
メンタルヘルス対策を成功させるには、企業内での協力体制、事業場外資源との連携が必須です。また、顧客や取引先の理解や協力も欠かせません。特にメンタルヘルスに不調をきたした社員が担当する顧客や取引先には、別の社員が対応することを説明し、理解や協力を得られるようにしましょう。
メンタルヘルス対策に効果的な取り組み
メンタルヘルス対策を成功させるためのポイントは、いかにメンタルに不調をきたした社員に対し効果的な支援ができるかです。ここでは、メンタルヘルス対策として効果的な取り組みについて解説します。
経営層が経営課題の一つとして経営理念に盛り込む
メンタルヘルス対策は、全社で取り組んでいかなければ成果を上げるのは困難です。そこで経営層が率先してメンタルヘルス対策に取り組む姿勢を見せる必要があります。
具体的には経営理念やビジョンの一つに「社員の心身の健康を実現する」「安心して働ける環境を整備する」などを明記し、社内外に対して明示することも重要です。
現場の意見を取り入れる体制を整備する
メンタルヘルス不調は特定の社員だけではなく、誰もが陥ってしまうリスクがあります。そのため、全ての社員に対するメンタルヘルス対策の重要性周知が欠かせません。具体的には、メンタルヘルス対策委員会をつくり、参加者を定期的に変えつつ、現場の意見を吸い上げられる体制を整備するのが理想的でしょう。
労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を活用する
労働安全衛生マネジメントシステム(Occupational Safety and Health Management System:OSHMS)とは、企業が社員と協力し、PDCAを回しつつ継続的な安全衛生管理を自主的に進め、労働災害の防止、社員の健康増進、快適な職場環境の実現を目指すための仕組みです。OSHMSの活用で安心して働ける環境が整備されるため、メンタルヘルス対策にもつながります。
労働安全衛生マネジメントシステムについて詳しくは、厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」を確認してください。
長時間労働の抑止対策を実施する
時間外労働や休日出勤が恒常化してしまうと、体の不調だけではなく、心の不調を生み出してしまうリスクが高まります。そのため、ノー残業デーの実施、業務プロセスの見直し、長時間労働抑止システムの導入などにより、社員の労務管理を適切に行える体制を整備します。
長時間労働が生まれる原因や効果的な対策について詳しくは、「なかなか減らない長時間労働!その原因と効果的な対策とは?」をご覧ください。
メンタルヘルス対策の注意点
メンタルヘルス対策を実施するうえで幾つか注意しなければならない点があります。具体的には次のとおりです。
自社の特性にあった取り組みを行う
それぞれの職種や業種に合った取り組みの実施が成果を上げるポイントです。
たとえば、長時間労働が多い傾向にある、顧客とのトラブルを完全に回避するのが難しいなどの課題がある運送業であれば、適切な労務管理、セルフケア対策の推進が必要になるでしょう。
また、天候などの要因で長時間労働や休日出勤などが発生する可能性の高い建設業であれば、経験の浅い社員がベテラン社員から工期対応のコツなどを伝授してもらえるよう、情報共有の徹底、コミュニケーションの活性化などが求められるでしょう。
社員個々に合った支援を行う
メンタルヘルス対策は画一的な支援では成果を上げにくい場合があります。社員個々の事情や状況があるため、全体的な方針やルールは決めつつ、相談窓口や産業医のほか、事業場外資源を活用し、一人ひとりに向き合った支援策の実施が重要です。
メンタルヘルス対策は企業全体で取り組むことが重要
メンタルヘルス対策は、休職者・離職者の増加防止、生産性向上の実現などのためにも企業にとって欠かせないものとなっています。社員の心の健康を保ち、快適な環境で安心して働けるようにしなければなりません。
そのためには、経営層が率先してメンタルヘルス対策に取り組む姿勢を見せることが欠かせません。管理者が適切に社員とコミュニケーションを取り、問題がある社員に対しては早急な対応を実施することも求められます。
また、メンタルヘルス不調は心の病によってのみもたらされると思われがちです。体の不調が続くことで仕事に対する不安や悩みが増大し、心の病につながるケースもよく見られます。なかでも長時間労働による疲れの蓄積が、メンタルヘルスの不調を生み出す可能性は低くありません。そこでおすすめしたいのが長時間労働抑止システム「Chronowis」です。
パソコンの利用制限と稼働ログの取得により、勤怠管理システムとの併用で長時間労働の抑止が行えます。長時間労働の抑止はストレスや体の疲れから来る心の病防止につながるため、メンタルヘルス対策の効果を高めるためにも、ぜひ「Chronowis」の活用をご検討ください。
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