残業

残業を削減させる効果的な方法は?
削減のメリットや対策、成功事例を解説

公開日:2024 / 1 / 25

2019年4月より順次施行されている働き方改革関連法。なかでも重要な項目の一つが時間外労働の上限規制です。長時間労働の是正は働き方改革が掲げる3本柱の一つであり、いかに残業時間を削減するかは多くの企業にとって喫緊の課題といえるでしょう。

今回は、残業が発生する理由を挙げ、削減のメリットや削減方法、残業時間削減に成功した事例などをお伝えします。長時間労働の是正に課題を抱える担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

残業が発生する主な理由

厚生労働省が公開している「毎月勤労統計調査令和4年(2022年)分結果確報」によると、全職種の一般労働者(短時間労働者以外の常時雇用されている人)の所定外労働時間は月単位13.8時間で、前年比4.8%増となっています。職種別では「運輸業・郵便業(25.9時間)」がもっとも多く、次いで「情報通信業(16.5時間)」、「製造業(15.9時間)」です。

上記の調査結果はあくまでも平均であり、職種・業種によっては月30時間を超える残業を行っているケースも決して珍しくはありません。

  人手が不足している

総務省の「国勢調査」や国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計:死亡中位)」によると、15~64歳のいわゆる労働力人口が1990年は8,614万人で全体の70%を占めていました。しかし、2020年には7,509万人で全体の60%、2040年には6,213万人で全体の55%になると予測されています。

急激な少子高齢化の影響で労働力人口が減少しているため、多くの業種で人手不足が慢性化し、これまでと同じ業務量をこなすため、残業せざるを得なくなっているといえます。

  アナログ業務が多い

手作業で行う業務が多く、チェックにも時間と手間を要してしまうのも残業が発生する要因の一つです。2022年12月に大阪シティ信用金庫が発表した「中小企業におけるデジタル化への取り組みについて」によると、業務のデジタル化に取り組んでいる企業は全体の31%でした。

この結果から推測できるように、多くの企業でアナログ業務が残っているため、効率化が進まずに残業時間が増加していると考えられます。

  労務管理がうまくいっていない

上司と部下とのコミュニケーション不足の影響から、適切な労務管理ができていないといったケースもあるようです。社員それぞれの現状把握ができていないため、仕事の遅い社員に多くの業務を振ってしまう、新人社員に複雑な業務を与えてしまうなど管理がうまくいかず、残業発生につながってしまいます。

労務管理の重要性については、「労務管理のメリットは?システム活用でメリットを最大化するポイント」をご覧ください。

また、労務管理がうまくいっていない場合、隠れ残業が発生してしまうリスクも高まります。隠れ残業についての詳細は、「隠れ残業とは?主な発生理由やリスク、防止対策を解説」をご覧ください。

  残業が当たり前という企業風土が残っている

残業が当たり前、遅くまで働くのが良いことという、日本企業の古い体質が企業風土として残っている企業もあるでしょう。残業してまで働く社員の評価を高くしてしまうため、早く帰りたくても残業せざるを得ない環境になっているのです。また、残業を前提として仕事の指示が出ている場合もあり、定時で帰るという考えがなく残業時間が増加してしまうケースもみられます。

残業時間の削減で得られるメリット

残業時間を削減することで得られるメリットはさまざまですが、主なメリットは次のとおりです。

  法令遵守により社会的信用が得られる

残業時間を削減し、時間外労働の上限規制を守れば、企業として社会的信用が得られるようになります。

2019年4月の労働安全衛生法改正により労働時間の管理が義務化されています。法令に抵触しないよう、「労働時間管理の義務化とは?必要とされた背景や取り組み方、注意点について解説」で詳細をご確認ください。

  人手不足解消の可能性が高まる

昨今は、いわゆる「ホワイト企業かどうか」を重視する求職者も少なくありません。2023年5月にエン・ジャパンが発表した「社会人1万人の「残業」実態調査」によると、「転職活動をする上で、残業の有無や平均時間等は、企業選びにどの程度影響しますか?」の問いに対し、84%が影響すると回答しています。残業時間の削減は採用活動に良い影響をもたらし、人手不足解消につながることが期待できます。

  社員の健康被害リスクが低下する

残業時間が削減されれば体調悪化やストレスの蓄積リスクが軽減できます。その結果、心身ともに健康な状態で業務に臨めるようになり、生産性向上や離職率低下などにもつながります。

  コスト削減につながる

残業時間が減れば、残業代や光熱費などの抑制につながります。結果として企業のコスト削減に貢献します。

残業時間削減を実現するための対策

残業時間削減を実現させるには、思い切った改革が欠かせません。ここでは残業時間削減につながる対策を紹介します。

  ノー残業デーの設定

あらかじめ残業をしないノー残業デーの設定を会社のルールとすることで、残業時間を削減します。ノー残業デーは上司が率先して帰宅するなど、部下が帰りやすい雰囲気をつくることも大切です。

  報酬制度の導入

残業時間削減を実現した際に報酬を出す制度の導入も残業時間削減に効果的です。業務時間内に仕事を終わらそうという社員のモチベーション向上が期待できます。

  管理体制の強化

上司から部下に積極的に声を掛けたり、部下からも上司に相談しやすい雰囲気をつくったりするなど、チーム内でのコミュニケ―ションを活性化させ、適切な管理体制につなげます。常に社員の現状を把握できる体制を整えれば、業務の配分が最適化でき、残業の偏りをなくすことが可能です。

  ITシステムの導入

ITシステムの活用も有効です。業務システム導入による業務効率化や勤怠管理システム導入による社員の勤怠管理の徹底を実行することで、残業時間削減につながります。

一定の条件を満たせばIT導入補助金や働き方改革推進支援助成金など、各種支援を受けられる可能性もあります。受けられる支援はないか、国や自治体などのwebサイトにて確認しましょう。

残業時間削減に成功した企業事例

残業時間削減に成功した企業の事例を紹介します。

  ノー残業デーの設定で残業時間削減を実現

ある運送業者では、ノー残業デーの設定により残業時間の削減を実現しました。ポイントはノー残業デーを一律に設定するのではなく、業務内容や進捗状況により各自が自身でノー残業デーを設定した点です。

これによりノー残業デーの形骸化を防ぎ、現状の1ヵ月、1人当たりの時間外労働時間は20時間程度に抑えられるようになりました。

  残業代削減分を全社員に還元することで残業削減の意識向上を実現

ある製造業では、残業時間にポイント制を導入し、残業の少なさを賞与の評価に反映させる仕組みを構築しました。その結果、2年間で普通残業時間が40%減、深夜残業時間は75%減を達成するとともに、有給休暇の取得も増加しています。

またあるサービス業では、社長が残業代削減分は全社員一律に還元すると宣言しました。結果として、チームとして残業削減を意識するようになり、時間当たりの生産性への意識も飛躍的に向上し、残業時間削減を実現しています。

  残業時間の可視化により業務の進捗状況の共有と平準化を実現

ある製造業では、社員が業務効率化を意識できるよう、残業時間をグラフにして可視化しました。ほかにもパート社員の業務を明確にするなどの施策もあって残業時間を前年比3割以上削減しています。

また、あるサービス業では、残業時間の上限をチーム毎に決めて管理を徹底し、特定の社員への業務の偏りを可視化しました。これにより業務の平準化が実現し、残業時間削減だけではなく有給休暇取得率が大幅に向上しています。

  業務や勤怠管理のシステム化により効率化と適切な管理を実現

あるIT企業では、社長自らが総務業務の担当をしていましたが、総務業務の負担が大きく本来の社長業務との兼務が困難になりました。総務業務を他の人へ移行するタイミングで業務支援システムや勤怠管理システムを導入し、効率化による担当者の負担軽減に取り組みました。社員の勤怠状況が可視化され適切な管理が可能になり、担当者の業務負担軽減と社員の残業時間削減を実現したのです。

残業時間削減のポイントは適切な勤怠管理がカギ

働き方改革のなかでも、長時間労働の是正は大きな柱の一つとして、推し進められています。しかし、人手不足やアナログ業務の多さなどの理由もあり、残業時間削減ができていない企業は少なくありません。

残業時間削減を実現させるには、残業をよしとする企業風土の改善、残業時間の可視化などのほか、業務効率化が必須です。手作業は時間がかかるうえにミスが生まれやすくチェックの手間も増大します。自動化できる業務は積極的にシステム導入を進める必要があります。

また、社員の進捗管理も欠かせません。業務の偏りをなくし適切なマネジメントを実現するには、社員一人とりの業務内容を常に把握しておくことが求められます。

そこでおすすめしたいのがパナソニック ソリューションテクノロジーの長時間労働抑止システム「Chronowis」です。勤怠管理システムにより勤務時間の可視化を実現させたうえで、「Chronowis」を活用すれば高い確率で残業時間削減が可能になります。

時間外労働の上限規制に関する36協定にも対応しているため、法律の遵守にも大きく貢献するでしょう。適切な進捗管理により長時間労働削減を目指す際は、「Chronowis」の導入をご検討ください。

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