ノウハウ 活用例
PDFを文字認識させるには?
適したOCRツールや文字認識が役立つシーン・注意点
公開日:2024 / 6 / 21
OCRツールと言えば、紙の書類をスキャンして文字認識を行うものというイメージがあります。実は、PDF画像の文字認識を行うのにも便利なツールです。
業務の中ではPDFファイルをやり取りする機会も多いでしょう。代表的なものはメール添付のPDFの帳票などですが、PDFファイルのままでは扱いにくいと感じることも多いのではないでしょうか。文字認識によってテキストデータにすることで扱いやすく、活用の幅が広がります。
今回はPDFの文字認識について、ツールや活用できるシーン、注意点などを紹介します。
PDFの文字認識を行うには
PDFファイルは一枚の画像データです。そこに含まれる文字列も画像になっているため、テキストデータとしてコピーすることはできません。PDFファイルの文字認識を行うことで、文字をテキストデータに変換することが可能です。文字認識を行うには、OCRツールを使います。
OCRとは
OCR(Optical Character Recognition / Reader)とは光学文字認識技のことです。この技術を利用して画像に含まれる文字を認識し、テキストデータに変換するものをOCRツールと呼びます。
OCRツールで画像をテキストデータに変換することが「OCR処理」です。「文字起こし」と呼ぶこともあります。
AI-OCRとは
AI-OCRとは、OCRツールにAI技術を組み合わせたものです。AI-OCRは通常のOCRツールよりも文字認識の精度が高く、OCRでは認識しにくい手書き文字や非定型フォーマットの文書も認識できます。
OCRとAI-OCRについては、次の記事も参考にしてください。
> 「OCRとは? ~「OCR技術」と「AI-OCR技術」の違い ~」
PDFの文字認識に適したツール
OCRを行うツールには、機能の一部にOCR機能を持つサービスや、OCR処理に特化したOCRツールがあります。
OCR機能を持つサービス
OCR機能のあるサービスには、無料のものもあります。ただし、企業に必要な大量のデータをOCR処理したり、注文書や請求書など非定型フォーマットの文書を読み取ったりすることには向いていません。
OCR機能のあるサービスには、次のようなものがあります。
- Googleドライブ
ドライブにPDFファイルをアップロードしてGoogleドキュメントで開くことで、自動的にOCR処理が行われます。
- Google Keep
スマートフォンで撮影した画像をGoogle Keepに保存することで、自動的にOCR処理が行われます。
- One Drive
PDFファイルをOne Driveにアップロードすると、Word Online 上でWord文書に変換できるので、テキストの抽出が可能です。
- Adobe Acrobat DC
アプリケーションにOCR機能があり、PDF画像を自動的にテキストデータに変換できます。
OCRツール
OCR処理(文字認識)に特化したツールです。スキャナーまたは複合機と連携し、紙の書類をスキャンして作成したPDFデータや、PDFファイルとして受信した画像データなどをOCR処理し、テキストデータに変換できます。連携するスキャナーや複合機は、必要な仕様を満たしていれば、現在使用しているもので構いません。
読み取り精度が高く、複雑なフォーマットがある文書も文字認識できます。また、事前にAIで学習した種類の帳票であれば、非定型のものでも文字認識が可能です。
文字認識したテキストデータを業務システムと連携してデータとして自動入力したりすることもできます。
また、ツールによっては、注文書や請求書などの帳票や、免許証などの得意分野があるので、用途に適したツールを選ぶ必要があります。
業務でOCR処理を行う場合は、複雑なフォーマットや非定型の文書、手書きの文書なども多いため、OCR機能を持つサービスではなく、専用のOCRツールを導入がおすすめです。
OCRツールについては、次の記事も参考にしてください。
企業においてPDFの文字認識が役立つ場面
企業内でOCR処理する際は、紙の書類をスキャンしてPDF化し、OCR処理してデータ化するケースと、受信したPDFファイルをOCR処理してデータ化するケースがあります。一般的には、紙の書類からOCR処理するケースが多くみられます。
企業内でPDFの文字認識が役立つ場面をみていきましょう。
経理・会計業務の効率化
紙の帳票をスキャンしてPDF化し、OCR処理を行ったり、メール添付で送られてきたPDFファイルの帳票をOCR処理したりすることで、会計システムにデータを入力しやすくなります。それによって、経理部門での業務効率化が可能です。
FAXによる発注・受注・納品などの帳票処理
取引先とのやり取りをまだFAX文書で行っているところもあるでしょう。帳票をスキャンしてOCR処理することで、業務システムへの入力を効率化でき、正確で素早い処理が可能になります。
手書きの申込書などの処理の効率化
例えば申込書や申請書、登録書、問診票など、いまだ手書きの文書が多く残っているケースがあります。これらもスキャンしてOCR処理することで、データベースに入力しやすくなり、業務を効率化できます。データ活用の幅も広がるでしょう。
資料の検索性向上
取引先から紙で受け取った資料も、OCR処理すると活用しやすくなります。必要なときにすぐ検索して閲覧でき、管理も容易になるからです。資料のOCR処理による検索性向上には、2つの意味があります。
- 紙の資料をスキャンし、OCR処理して透明テキスト付きPDFとして出力することで、内容の全文検索が可能になります。
- OCR処理の結果を基にファイル名を変更することで、ファイルを検索しやすくなり、ファイル管理が容易になります。
手書きの勤怠表の集計
現場では、手書きの勤怠表で労務管理を行っているところも多いです。これをスキャンしてOCR処理することで、スピーディーなデータ入力ができ、計算もしやすくなります。
PDFの文字認識(OCR処理)の活用シーンについては、次の記事もご覧ください。
PDF文書をOCRツールで文字認識する際に注意すべき点
PDFをOCR処理するときには、次のようなポイントに注意が必要です。
認識精度は100%ではない
精度の高いOCRツールでも、誤認識が起こることはあります。そのため、スキャンした結果は人の目で確認・修正が必要です。
ただし確認・修正の手間は、データを手入力する場合と比較してかなり少なくなります。またOCRツールによっては確認・修正機能が搭載されており、作業をスムーズに進められます。
スキャンやOCR処理には事前の設定が必要
スキャンや文字認識を行う前に、帳票のフォーマット、解像度、フォント、保存先、文字認識のモード、使用する辞書などの事前設定が必要です。しかしツールによっては、事前設定の手間を大きく省くことができます。 帳票など目的に特化したOCRツールを利用すると、設定作業の負担が少なく、より高い精度での読み取りが可能です。
大量の文書を処理するならOCRツールの仕様を確認する
OCRツールの仕様・機能はさまざまです。OCR処理が必要な文書が大量にある場合は、それが可能なツールを選ぶ必要があります。
OCR処理の注意点については、次の記事も参考にしてください。
PDFを文字認識することで大きな業務効率化になる
従来は、人がPDFの文字をみて手でデータを入力していることも多かったでしょう。手入力では大きな時間がかかるうえ、ミスの発生も避けられません。
しかしPDFをOCR処理して文字認識することで、その時間を大きく削減し、ミスも抑制できます。社内の各所で扱われるPDF文書をOCR処理することで、大きな業務効率化につながるでしょう。
OCR処理が可能なサービス・ツールにはさまざまなものがありますが、日々の業務において実用レベルのOCR処理を行うには、専用のOCRツールがおすすめです。さらに、帳票など目的にあわせたツールを利用すれば、より効率的なOCR処理ができます。
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