ノウハウ
AI-OCRは使えない?読み取り精度だけに注目せずに多彩な機能を活用しよう
公開日:2023 / 7 / 21更新日:2024 / 1 / 19
AI-OCRはAI技術を組み込んだことで、読み取り精度が飛躍的に向上しました。多様なサービス事業者が登場し、予算や目的に応じて製品やサービスを選択できるようになったため、入力業務の課題解決を目的として導入を検討する企業が増えています。
その反面、AI-OCRを導入後も、活用法に課題を感じている企業も多いかもしれません。AI-OCRの読み取り精度が思わしくない、余計に入力作業の手間がかかってしまうと感じている場合は、OCR結果の確認・修正作業を考慮していないなど、適切な事前設定が行われていない可能性があります。
AI-OCRの真価は読み取り精度だけではありません。入力業務全体の効率化という観点で見てみると、読み取り精度以外にも注目すべき機能があります。
本記事では、AI-OCRの特徴、読み取り精度が低下してしまう理由、業務全体の効率化という観点でのAI-OCRサービスの選び方について解説します。
AI-OCRとは
OCR(Optical Character Recognition / Reader)は光学文字認識とも呼ばれ、印刷物や手書きの文字をスキャナーやデジタルカメラで読み取り、デジタルデータに変換する技術のことです。
AI(Artificial Intelligence)は人工知能のことで、AI-OCRは、AIとOCR技術を組み合わせたものであり、読み取り項目の自動判別や、高精度な文字認識などが可能です。
AI-OCRの精度面の課題
AI-OCRの性能は日々進歩していますが、課題も存在します。以下にてAI-OCRが抱える課題について説明します。
OCR処理する画像の品質に依存する
スキャン条件などにより、ノイズや歪(ゆが)みが含まれる品質の低い画像では読み取り精度が低下することがあります。
記載されている文字に依存する
人の目でも読み取ることが難しいような癖のある手書き文字や、かすれ文字などは読み取り困難な場合があります。
AIを活用することで、近年はこのような課題に対しても高い精度で読み取ることができるサービスも登場しています。しかし、OCRの認識率は必ずしも100パーセントとならないことを理解しておくことが大切でしょう。AI-OCRの読み取り精度の限界を理解し、どのような体制で利用していくかを考えることが重要です。
AI-OCRの読み取り精度を上げるポイント
AI-OCRの読み取り精度には課題がありますが、工夫次第で精度を向上させることが可能です。
帳票レイアウトの見直し
帳票自体がOCRに適していないレイアウトの場合があります。一度、OCRのサービス事業者の開催している無料相談会などで、レイアウトや記載方法について相談すると良いでしょう。
スキャン時の状態の見直し
スキャンする際の書類の状態も重要な要素のひとつです。帳票が歪(ゆが)まないように調整したり、OCRサービスごとに推奨されている解像度でスキャンしたりすることで、精度が上がる場合があります。
事前設定の調整
数値、カタカナ、漢字、アルファベットなどの文字種や、読み取り範囲の座標を細かく調整することで精度が上がることがあります。
AI-OCRは読み取り精度が第一なのか?
もちろん、入力業務を効率化するのに認識精度は重要です。しかし、どのOCRも認識精度は100パーセントとはなりません。最終的には人の目で見てOCRの認識結果が正しいか確認する必要があります。
とはいえ、OCRの認識精度が高いほど人が行う作業の負荷も軽減されるため、メーカーでは認識精度を向上させるために、研究開発を進めています。
また、スキャナーとOCRを導入して業務を効率化するには、帳票の読み取りとテキストデータへの変換のほかにもさまざまな段階が必要です。OCR処理した結果をシステムに連携する、OCR処理後の帳票画像を管理するなど、OCR文字認識の前後の処理を効率化することも重要です。
入力業務全体を効率化するには、このような前後の処理をサポートする機能が付いたAI-OCRを選ぶことをおすすめします。
AI-OCRの比較ポイントと選び方
前述したようにAI-OCRを選ぶ際は、読み取り精度が高いサービスを選ぶことも重要ですが、業務全体の効率化を考えて、OCR前後の処理をサポートする下記のような機能があるかも確認しましょう。
- OCR処理前の作業を効率化できる機能
- OCR処理したい帳票画像が指定フォルダーに保存されると、自動的にOCR処理を開始する機能
- CSVファイルの出力形式を、連携先のシステムの受け口に合わせて任意の条件で変更できる機能
- OCR処理した画像を指定した条件に応じてフォルダーに振り分け保存する機能
- OCR処理した画像のファイル名を、任意の管理しやすいような名称に変更して保存する機能
- OCR処理したテキストデータをPDFに埋め込み、全文検索を可能にする機能
これらの機能があれば、データの転記作業にとどまらず、帳票の管理業務までを効率化できます。帳票データの整理や管理の効率化が進み、後日帳票の原本を確認する際の検索性も向上します。製品やサービスを比較検討する際は、これらの機能を確認することも念頭に置くとよいでしょう。
OCRに関しては、読み取り精度が注目されがちです。しかし、業務全体で見れば、上記のさまざまな機能を活用することによって、大きな効率化が見込めるのです。
AI-OCRを使えないと決めつける前に
AI-OCRによる読み取りで誤りが発生するのは、特に現場や取引先とのやりとりで手書きの帳票を使っている場合が多いのではないでしょうか。しかし、ここまで述べてきたとおり、業界全体でAI-OCRの精度はかなり向上しているものの、人間による確認作業が必要なことを理解する必要があります。
業務全体の効率化に注目すれば、読み取り精度以外にもAI-OCRには重要な機能があることがわかります。
認識精度が期待値に届いていないという理由だけで「AI-OCRは使えない?」と結論づける前に、各AI-OCRサービス独自の周辺機能を確認し、自社の業務にどのように活用できるか、導入した場合に業務全体でどれほど効率化できるかを検討してはいかがでしょうか。
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