ノウハウ
PDFファイルをOCR処理することで何ができる?OCR処理の活用例5選
公開日:2023 / 11 / 27更新日:2024 / 1 / 19
OCRは、紙の書類をデータ化するためのツールというイメージを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実際はそれだけでなく、PDFファイルからテキストを抽出することもできる、非常に便利なツールです。OCRによりPDFファイルに記載された内容をテキストデータとして抽出することで、複製・編集・検索・共有が容易になり、利活用のシーンを大きく広げることが可能になります。
ここでは、PDFファイルのOCR処理の概要、メリット、注意すべきポイントなどを、事例を交えて紹介します。
PDFファイルのOCR処理とは
PDFファイルのOCR処理とは、PDFファイルからテキストを抽出する処理のことです。画像データのままでは文字も画像の一部として扱われているので、テキストをコピーできず、データの利活用の幅が狭まっています。テキストデータにすることで、データの利活用の幅が広がるのです。
従来は、画像データになっているPDFファイルのテキストを利用したいときは、手入力しなおす必要がありました。これは作業量も多く、極めて非効率的な作業です。しかしOCRツールを導入することで、大量のデータを効率的にテキスト化することが可能となります。
OCRツールの性能が向上したこと、とくにAI-OCRが登場して認識精度が大きく向上したこともあり、PDFファイルをOCR処理するケースがよくみられるようになりました。
AI-OCRについて詳しくは、次の記事も参考にしてください。
また、OCRを導入するステップについては次の記事をご覧ください。
PDFファイルのOCR処理でできることやメリット
PDFファイルをOCR処理することで、次のようなことが可能になります。
業務効率化
OCR処理することでPDFファイルの内容を簡単にテキストデータにできます。たとえば、取引先からFAXやメールなどで受領した注文書や請求書のPDFファイルをテキストデータに変換して、システムに入力するといったことが可能です。
手入力やダブルチェックの作業が不要になることで業務効率化が実現し、生産性向上やコスト削減につながります。
データを検索できる
テキストデータにすることで検索が容易になり、大量のデータがあってもすぐに欲しいデータにアクセスできます。
たとえば、PDFファイルで保存している過去の注文書を検索し、注文書に対して請求書の内容が合っているかどうかの消し込み作業などに活用できます。
情報共有しやすくなる
テキストデータにすることで、他のアプリケーションと連携したり、他のユーザーと共有することができます。
たとえば、取引先からの連絡事項をOCR処理してテキストデータにすることで、内容を業務システムやデータベースに保存するといったことが可能です。
OCR導入のメリットは、次の記事でも紹介しています。あわせてご覧ください。
PDFファイルのOCR処理で注意すべきポイント
OCR処理を行う前に、次のようなポイントに注意が必要です。
認識精度
PDFの画像状態によっては認識精度が低下し、正確に認識できない場合もあります。
とくに、フォントやフォーマットが変わるとエラーが起こりやすいものです。その場合は、次のような対策を行います。
- 解像度、フォント、保存先などスキャナーの設定項目を調整する
- 文字認識のモード、辞書などOCRツールの設定項目を調整する
- 白黒でスキャンする
- ページの傾きを修正する
- 不要な背景を除去する
処理能力
一度に大量の書類や帳票をOCR処理するのであれば、それに耐える性能を持つOCRツールが必要です。
ストレージ
一度に大量のPDFファイルをOCR処理すると、処理後のファイルを保存する場所も一定の容量が必要です。
校正
認識精度が上がっても、OCRツールの認識率が100%になることはありません。数%程度は誤認識の可能性が残ります。そのため、認識処理後に人の目でチェックする必要があります。
Microsoft WordやGoogleドキュメント、Adobe Acrobat DCなどには校正機能があるので、そういった校正ツールを利用するのもよいでしょう。
OCR処理の活用事例5選
OCR処理を業務に活用している事例を紹介します。
品質管理
仕入れ先から送付される検査成績証明書(検査成績書)の原本はさまざまな形式になっています。そのまま利用できない場合は、PDF化してOCR処理することで、テキストデータにしてデータベースに埋め込むことが可能です。
それによって、原本管理の効率化や検索性の向上につながります。
営業窓口、代理店など
顧客が記入した申込書や申請書は、画像データのPDFファイルで本部に送付されることも少なくありません。その文書をOCR処理すれば、手軽に顧客管理システムへ入力が可能です。手入力の作業がなくなるので業務を効率化でき、文書の検索性も向上します。
営業支援、経理
注文書や請求書の多くは、顧客や仕入れ先からFAXやメールの添付ファイルとして送られてきます。ファイルは画像データのPDFファイルになっているため、このままではデータを手作業で入力しなければなりません。
これらの注文書や請求書のPDFファイルをテキストデータ化することで、受発注システムや会計システムにデータを反映しやすくなり、文書の検索性も向上します。
人事、労務
勤怠表は、各部署や事業所から本部へPDFファイルで送られてきます。とくに手書きの勤怠表は画像データとしてのPDFファイルになっている場合が多いため、OCRでスムーズにテキストデータに変換することで、勤怠システムへの入力を効率化できます。
カスタマーサポート、マーケティング
カスタマーサポートやマーケティング部門では、よくアンケートを行います。各店舗でアンケートを行った場合、結果は画像データのPDFファイルで本部に送られて来ることも多いでしょう。PDFファイルはそのままでは集計しにくいため、OCR処理することでMicrosoft Excelなど集計に利用するツールに入力しやすい形になり、効率的に作業を進めることが可能になります。
アンケート実施にOCRを利用する際の情報については、次の記事でご紹介しています。ぜひご覧ください。
PDFのOCR処理によってデータを活用することが可能に
これまでは画像データとしてしか扱えなかったPDFファイルも、OCR処理によって、テキストを抽出して検索・共有・利活用しやすいデータとして扱えます。それにより、データをさまざまな場面で活かせるでしょう。これまでPDFファイルで保存してきた書類が多い程その効果は大きく、紙の書類や帳票がデータとして価値ある資産に変わります。
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