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OCR(光学文字認識)とは?
そのメリットと活用できる場面を解説

公開日:2024 / 2 / 26

OCRは近年多くの企業でビジネスに取り入れられるようになりました。読み取り精度が上がり、業務効率化やペーパーレス化、そしてDXの推進に大きく役立つことがわかってきたからです。企業で多くの作業時間を占めるデータ入力を自動化でき、ミスも削減できます。しかも、すでに導入している複合機とアプリケーションで利用でき、特別なスキルも必要としません。

今回は、OCRの概要と活用の仕方、OCRの仕組みや認識精度を上げるポイントなどを紹介します。

OCRとは

OCRは「Optical Character Recognition / Reader」の略で、日本語では光学文字認識と言われています。紙の書類やPDFデータを読み取り、書かれている文字をテキストにしてデータ化する技術です。OCRを使って紙の書類やPDFの内容をデータ化することを「OCR処理」と言います。

OCR処理を行うのは、「OCRツール」「OCRソフト」などと呼ばれるソフトウェアです。

OCR処理により、これまで手作業で行ってきたデータ入力が不要になり、紙の書類やPDFのデータを十分に活用できるようになります。

  AI-OCRとは

OCRにAI(Artificial Intelligence、人工知能)技術を組み合わせたものです。通常のOCRよりも文字認識の精度が高く、読み取り項目を自動的に判別して非定型のフォーマットの文書も処理することが可能です。

AI-OCRを導入することで、OCRの活用の幅がさらに広がります。

OCRやAI-OCRについて詳しくは、次の記事も参考にしてください。

OCRのメリットと活用できる場面

OCRの活用によるメリットと、OCRをビジネスで活用できる場面を紹介します。

  OCRの活用によるメリット

OCRを単独で活用したり、他の業務システムと連携させて活用したりすることで、次のようなメリットが生まれます。

  • 入力の自動化による業務効率化

    OCRを導入すれば入力作業を自動化でき、手作業が不要になります。それによって大きな業務効率化が可能です。

  • 入力の自動化による人的ミスの削減

    手作業でのデータ入力が不要になることで、手作業で発生していた人的ミスが削減できます。

  • 社員の負担軽減

    手作業でのデータ入力が不要になることで作業時間が大きく削減でき、社員の業務負担を軽減できます。

  • 人員配置の適正化

    データ入力という単純作業がなくなることで、人員配置の適正化ができ、社員を本来業務(コア業務)に集中させられます。

  • ペーパーレス化の推進

    OCR処理を行うことで紙の書類や帳票を保管する必要がなくなり、ペーパーレス化を推進できます。紙の書類や帳票を保管・管理するためのスペース、それに伴うコストの削減が可能です。

  • 内容のデータ化による検索性の向上

    紙やPDF画像からテキストデータにすることで、検索が可能になります。そのため欲しい情報に素早くアクセスすることが可能です。

  • データの利活用の推進

    紙やPDF画像からテキストデータにすることで、データを一元管理して全社で共有したり、他のシステムと連携したりすることが可能です。それによりデータの利活用の幅が広がります。

  OCRを活用できる具体的なシーンの例

OCRを活用できるシーンの例を表にまとめました。

帳票 活用シーン メリット
品質報告書・出荷検査票

自社で大量に発生する、または取引先から大量に送られてくる品質報告書や出荷検査票のデータ化

品質管理システムや検査票管理システムなど、それぞれのデータベースに保存でき、データの管理が容易に。必要に応じて簡単に検索し、必要なデータをすぐに取り出せるようになる。

タイムカード

現場ではまだ多く残っている、タイムカードで管理している勤怠記録のデータ化

勤怠管理システムと連携してデータを自動入力することが可能に。それにより勤怠管理や給与計算などの作業がしやすくなり、業務効率化が実現する。

申込書

手書きや記載項目の多い申込書(例:保険、クレジットカード、電気、ガス、インターネットなどの申し込み、銀行口座開設、など)のデータ化

顧客管理システムと連携して自動入力をすることが可能に。入力の手間が省けるうえ、入力ミスも防げる。顧客管理に関する業務の効率化を図れる。

注文書、受注書、請求書、納品書

注文書、受注書、請求書、納品書など日々発生するさまざまな帳票のデータ化

会計システムやERPに自動でデータ入力し、会計処理を効率化することが可能。

アンケート

顧客からの手書きのアンケート用紙を読み取ってデータ化

顧客管理システムや他のさまざまなシステムにデータを連携して、結果集計・分析などを効率化することが可能。

受付表、問診票

受付表、問診表(例:クリニック、薬局、介護施設など)、のデータ化

クリニックや薬局などの電子カルテ、電子医療記録システムなどへ自動入力が可能に。患者の個人情報なども適切に管理できる。

段ボール・パッケージなどの記載内容

段ボールやパッケージなどのラベルをデータ化

在庫管理システムや生産管理システム、販売管理システムなど他のシステムと連携し、自動入力が可能に。消費期限や在庫数などの管理がしやすくなる。棚卸しの効率化も実現する。

OCRの活用例については、次の記事も参考にしてください。

OCRの文字認識の仕組み

OCRは、上に挙げたようにさまざまな紙の書類や帳票、PDFやJPEG、PNG、TIFFなど画像の文字を認識できます。次のような仕組みで、処理を行っていきます。

  1. 画像をOCRツールに取り込む

    紙の書類や帳票の場合は、スキャンして画像にしてから取り込みます。

  2. OCRツールが、認識すべき文字列を判断する
  3. 文字の塊から文字列を切り出し、1文字ずつに切り分ける
  4. 切り分けた文字を解析し、認識する
  5. テキストファイル、または必要に合わせて他のフォーマットに変換して出力する

OCR処理の流れについては、次の記事も参考にしてください。

OCRの文字認識精度を向上するには

OCRをビジネスに導入し、データ入力を自動化するためには、高い精度での文字認識が必要です。OCRは基本的に精度の高い文字認識を容易に実現でき、ビジネスにも安心して導入できます。

しかし次のようなポイントに注意することで、精度を高めることが可能です。

  1. OCRツールに合わせた解像度で読み取る

    紙の書類や帳票の読み取りには解像度も大きく影響します。そのため、解像度の調整が可能なスキャナーや複合機を使用し、使用しているOCRツールに合わせた解像度で読み取るのが効果的です。

  2. カラーではなく白黒でスキャンする

    白黒原稿として扱うことで、コントラストが向上して読み取りやすくなります。また、ノイズも軽減できます。

  3. 業務に合わせて事前にフォーマットを設定する

    フォーマットを設定することで読み取る文字の範囲や位置を指定することで、正確に読み取れます。

  4. 紙の傾きを補正する

    傾きを補正することで文字の範囲や位置を正確に把握し、誤認識を防ぎます。

  5. 画像を読み取る場合はノイズを消去する

    PDF、あるいはJPEG、PNG、TIFFなどの画像を読み取る場合は、ノイズを消去することで誤認識を防ぎます。

読み取り精度の向上については、次の記事も参考にしてください。

OCRは紙の書類や帳票をデータ化でき、ビジネスのさまざまな場面で活用できる

OCRツールがあれば、これまで手作業で行っていたデータ入力を自動化できます。また紙の書類や帳票だけでなく、PDF画像なども内容を読み取ってテキストデータ化することが可能です。既存の業務システムと連携することで、受発注、経理、在庫管理、顧客管理など、企業のさまざまな場面でデータ入力作業を効率化できます。

データの活用の幅を大きく広げることのできるOCRは、多くの企業にとって非常に重宝するツールと言えるでしょう。

ビジネスでOCR処理を活用する場合は、より効率よく文字認識ができ、認識精度の高いOCRツールがおすすめです。

パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社では、それぞれの企業のニーズに合わせてさまざまなOCRソリューションをご用意しており、用途に合わせたOCRを選んでいただけます。ぜひお気軽にご相談ください。

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