ノウハウ
OCR機能を利用できるツールとは?データ化の仕組みを知って活用しよう
公開日:2024 / 1 / 19
OCR処理が業務に取り入れられることも多くなりました。これからOCRツールを導入しようという企業も多いでしょう。しかしOCRツールはどういう形で導入するのか、自社にはどういうシステムを導入したらよいのか、わからないという企業もあるのではないでしょうか。
ポイントはOCRツールの機能とメリットを理解し、何のためにOCRツールを導入するのかを明確にすることです。それによって自社に必要なOCRツールが決まってきます。
今回はOCR機能と仕組み、メリット、OCR機能を利用できるツールについて紹介します。
OCR機能とは
OCRとは、「Optical Character Recognition / Reader(光学文字認識)」の略で、紙に書かれた文字を読み取り、データ化する技術のことです。また、OCR技術を利用できるツールのこともOCRと言われています。
OCR技術を用いて紙の書類や帳票などをテキストデータに変換することを、OCR処理と言います。
従来、文書をデータ化する場合、紙に書かれた文字をスキャンしてPDFなどの画像データで保存していました。しかし、これでは全体が1枚のデジタル画像になっただけで、内容をデータとして利用することはできません。画像データをOCR処理することで、内容をデータとして扱うことが可能になります。
OCR処理の目的は、紙の書類や帳票の内容をデータとして効率的に活用することです。データ化すれば、保存や編集が容易でシステムへのデータ連携も可能になります。それによって、データ活用の幅が大きく広がります。
OCR処理は、ビジネスにITツールが利用されるようになってから、業務によく使われるようになりました。
例えば、以下のような場面で使われています。
- 紙の請求書・納品書などの帳票をデータ化し、会計システムに入力する
- 顧客が紙に記入した各種申込書をデータ化し、販売管理システムに入力する
- これまで紙で作成した資料・カタログ・その他の書類をデータ化する
- レシート・領収書をデータ化して業務システムや会計システム入力し、経費申請に利用する
- 名刺をデータ化して名刺管理システムや顧客管理システムに入力する
OCR機能で読み取れる文字
OCRでは、次のような文字を読み取れます。
- ひらがな、カタカナ、漢字
- 数字、記号
- アルファベット
- チェックマーク
- 二次元バーコード
OCRツールによっては、表組や外国語も認識できます。
また、次のような媒体から文字認識を行い、データ化が可能です。
- 紙の書類や帳票
活字、プリントアウト、手書き文字のいずれも認識可能 - PDFファイルなどの画像ファイル
OCR機能による文字認識・データ化の流れ
OCR機能では、次のようにして文字認識を行います。
- 画像の取り込み
スキャナーかカメラで紙の書類をスキャンし、ソフトウェアがPDFなどの画像データを作成します。
PDFファイルをOCR処理する場合は、この工程は不要です。 - 文字列を認識
PDFをOCRツールに読み込ませると、OCRツールがPDFなどの画像データを文字列として認識し、どの文字列を読み取るべきかを判断します。
- 文字列の解析
OCRツールが、文字列を1行ごとに、また1文字ずつに分解します。
- 文字の解析
OCRツールが、分解した文字を認識してテキストとして抽出します。
- 結果を出力
OCRツールが、抽出結果をテキストファイルまたはCSVファイルなどのテキストデータにして出力します。
人が行う作業は、紙の書類をスキャンすること、PDFをOCRツールに読み込ませること、OCR処理結果の確認・修正作業だけです。あとはOCRツールが自動的に処理を行います。
OCR処理の仕組みについては、次の記事も参考にしてください。
> 「OCR処理で紙の書類をデジタル化しよう!OCRの文字認識ステップとは?」
OCR機能を利用してデータ化するメリット
OCR機能を利用してデータ化すると、次のようなメリットがあります。
業務効率化につながる
OCR処理を行うことで、紙の書類や帳票からデータを手作業で入力する手間をなくせます。それによって作業時間は大幅に短縮され、ミスも削減可能です。これは大きな業務効率化につながります。
また、OCRツールとRPAとを連携してデータ入力からその後の処理まで、業務フローを自動化することも可能です。
RPAとの連携については、次の記事をご参照ください。
コスト削減につながる
手入力の作業をなくすことで、社員の業務時間が減ります。これによって人件費の削減が可能です。また、データ化により紙の書類や帳票を処分できるようになるので、保管するスペースやコストも削減できます。
作業時間が短くなることで、コストだけでなく社員の負担も大きく軽減でき、従業員満足度向上や離職率低下につながることも期待できます。
データの活用の幅が広がる
これまでは画像データとして保存していた書類や帳票の内容をテキストデータ化することで、編集が可能になります。また、さまざまなシステムで利用できるデータとなるため、活用の幅が広がります。
検索が容易になる
テキストデータ化することで、必要な情報の検索が容易になり、探す時間を大きく削減できます。
リソースをより生産性の高い業務に振り分けられる
データ入力や確認作業などの時間が減ることで、時間や人員を割く必要がなくなります。それによって、本来業務やより利益に直結するコア業務に人員を割り振ることが可能です。
OCR処理による文字認識のメリットについては、次の記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてください。
OCR処理に必要なツール
OCR処理には、紙の書類や帳票をスキャンするハードウェアと、スキャンして生成した画像データをテキストデータ化するソフトウェアが必要です。PDFファイルはすでにスキャンが済んだ状態なので、ソフトウェアだけでOCR処理ができます。
ハードウェア
紙の書類や帳票をスキャンして画像データにするためには、次のようなハードウェアが使えます。
- 複合機
業務で利用するなら、A4以上の原稿を読み込めるスキャナーが必要です。ほとんどの企業では既存の複合機で対応できるでしょう。 - スキャン専用機
複合機にスキャナー機能が備わっていない場合や、スキャン処理が常に大量に発生する場合などは、スキャン専用機を利用するといいでしょう。新規に導入する場合は、スキャン可能な最大サイズ、一度に処理できる枚数などをチェックしましょう。 - スマートフォンのカメラ
名刺や帳票程度の小さいサイズ向けです。出張時にレシートを読み込むなどの用途に適しています。
ソフトウェア
OCR処理を行うソフトウェアには、次のようなものがあります。
- 専用のOCRツール
業務で利用できる性能・機能を持つOCRツールです。処理能力が高く、精度も高いものです。なかには、AIが搭載されていて手書きや不定形の帳票を読み取れるものもあります。
書類・帳票などを大量にOCR処理する、帳票などを定期的にOCR処理するなど、業務に利用するなら専用のOCRツールがおすすめです。
- スキャナーに付属のOCRツール
スキャナーにOCRソフトウェアが付属していることもあります。専用ツールほど高い精度や機能はありませんが、一定の文字認識は可能です。OCR処理のメリットを試してみるにはおすすめです。 - OCR処理機能があるソフトウェア
名刺管理システムや文書管理システムなどにも、OCR機能を持つものがあります。ただし、名刺管理システムのOCR機能は、名刺にしか使えません。他の文書をOCR処理するにはOCRツールが必要です。文書管理ソフトには専用ツールほど高い精度や機能はありませんが、一定の文字認識機能はあります。大量に利用したい場合、継続的に利用したい場合は、専用のOCRツールがおすすめです。 - OCR処理機能付きスキャンアプリ
スマートフォンには、撮影することでそのままOCR処理が可能なアプリもあります。ただしスマートフォンで撮影するので、名刺や帳票程度の小さいサイズ向けです。
業務でOCR処理を行うならツールの選定が重要
OCRを導入することで、紙の書類や帳票、さらにはこれまでスキャンした画像データからテキストを抽出し、データとして活用できます。企業によっては、OCR処理を行いたい書類や帳票、PDFファイルが多数溜まっているでしょう。
業務利用には、やはりできるだけ高性能なOCRツール、業務利用に便利な機能のあるOCRツールが必要です。より効率よく文字認識を行えて、手書き文字も認識可能なもの、認識精度の高いものが求められるでしょう。
パナソニック ソリューションテクノロジーでは、多様なニーズに合わせてさまざまなOCRソリューションをご用意しており、用途に合わせたOCRを選んでいただけます。ぜひお気軽にご相談ください。
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