ノウハウ 活用例
AI-OCRを活用することでどのようなメリットがあるのか?
活用シーンから紹介
公開日:2024 / 6 / 12
業務にOCRツールを活用する企業も増えてきました。OCR処理を行うことで、紙の書類や帳票の内容を短時間で効率的にデータ化できます。特にバックオフィスで多くのデータ入力を行う部署では、より顕著な効果を発揮するでしょう。
AIを組み込んだAI-OCRを利用すれば、より一層多くのメリットを享受できます。読み取り精度が高く、非定型のフォーマットにも対応でき、他のシステムと連携することも可能です。今回は、AI-OCRとOCRの違いからAI-OCRを活用することで生まれるメリット、AI-OCRの選定ポイントなどを紹介します。
AI-OCRとは
AI-OCRとは、OCR(Optical Character Recognition/Reader:光学文字認識)技術にAI(Artificial Intelligence:人工知能)技術を加えたものです。
OCRとは、画像に含まれる文字をカメラやスキャナーで読み取って認識し、テキストデータに変換する技術を指します。AI-OCRはOCRの文字認識にAI技術を導入し、精度や機能が大きく向上したものです。
AI-OCRと従来のOCRの違い
AI-OCRは、OCRよりも次のように優れています。
- 認識精度が高い
印刷した文字だけでなく、手書きの文字も読み取れます。特に、従来のOCRでは読み取りにくい次のような文字列も認識可能です。
- 文字同士の境界があいまいなフリーピッチの文字列
- 癖のある手書きの文字
- 文字の塊と認識されるような密集した文字列
- 領域からはみ出した文字列
- 上下の領域の文字が領域内にはみ出している文字列
- 下線付き、白抜き、背景と一体化しているなど装飾のある文字列
- 非定型フォーマットの文書も読み取り可能
伝票や帳票など、企業によってフォーマットが異なる非定型の文書もうまく読み取れます。
その他、AI-OCRとOCRの違いについては次の記事も参考にしてください。
> 「OCRとは? ~「OCR技術」と「AI-OCR技術」の違い ~」
AI-OCRを活用するメリット
OCRツールの活用シーンを挙げて、AI-OCRのメリットを紹介します。
経理部門での活用
経理部では、社内の各部署からの経費申請伝票が届きます。多くは紙の伝票で、経理部門がそれを手入力する作業が発生します。そこでOCRツールを導入して経理システムと連携することで、手入力を不要にし、業務負担の軽減を図ることが可能です。
その際AI-OCRを活用すると、従来のOCRと比較して次のような点が優れており、より正確に多くの伝票を読み取れます。
- 事前設定なしで、不特定多数の取引先から届くさまざまなフォーマットの伝票を読み取れる
- 明細行が可変の伝票でもデータを取得できる
- 明細行の項目名と内容を取得できる
金融機関での活用
金融機関では、口座開設申込書だけでなく口座振替依頼書、振込依頼書、クレジットカードの申込書、ローンの申込書など、さまざまな書類を処理します。多くは手書きの用紙で、そこからデータを各システムに入力しなければなりません。OCRツールを導入して適切なシステムに連携し、自動でデータ入力を行うことで、社員の負担軽減を図るケースがあります。
AI-OCRを活用することで、従来のOCRと比較して次のような点が優れており、多種多様な書類について、より正確な文字認識が可能です。
- 文字の認識精度が高い
- 癖のある手書き文字も高精度に読み取れる
- 領域をはみ出している文字やフリーピッチの文字列も読み取れる
役所での活用(RPAとの連携)
役所ではさまざまな種類の手書きの申請書や申込書が大量に届くため、処理が追いつかなくなっているところが少なくありません。そこでOCRツールとRPAを導入し、文字認識したデータを自動的にシステムに入力することで、作業の効率化を図ることがあります。
AI-OCRを利用することで、従来のOCRよりも次のような点が優れており、手書きも含めさまざまな種類の書類について、より正確な文字認識が可能です。
- 文字の認識精度が高い
- CVS出力やAPI連携など、後続のシステムに合わせてデータを連携できる
RPAとAI-OCRの連携でさまざまな効果があります。次の記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。
> 「RPAとOCRを組み合わせることで大きな相乗効果が!連携によって何ができるのか」
FAX注文書の課題解決
業種を問わず、取引先からの注文書はFAXで届くという企業がまだ多いようです。受信したFAX文書を見ながら入力することが多く、大きな手間がかかりミスも発生してしまいます。
そこでOCRツールとクラウドFAXを導入し、受信したFAXの内容を印刷せずにデータ化し、システムに入力するといったフローに変更するところもあります。
AI-OCRを利用することで、従来のOCRと比較して次のような点に優れており、より正確な文字認識が可能になります。
- FAXのようなノイズが多く粗い画質の文字でも、AI-OCRなら高い精度で読み取れる
FAX文書のOCR処理についてより詳しくは、次の記事をご覧ください。
> 「FAX文書の処理を効率化するにはOCRツールの導入がおすすめ」
データの収集・分析の効率化
新製品の企画を立てるときには、消費者にアンケートを行うことも少なくありません。用紙を見ながらデータを入力してから分析といったことも少なくありませんが、これでは作業に手間と時間がかかり、多くのデータを集めにくくなります。そこでOCRツールを導入してBIと連携することで、アンケート用紙の内容をテキストデータにし、BIに自動入力するといった効率化を図る場合があります。
その際AI-OCRを利用することで、従来のOCRと比較して次のような点に優れており、より正確な文字認識が可能です。
- 文字の認識精度が高い
- 癖のある手書き文字も高精度に読み取れる
- 裏表で書式が異なる場合も読み取ることができ、裏面の処理漏れを防げる
アンケート結果の集計・分析にOCRツールを活用するメリットについては、次の記事をご覧ください。
> 「アンケートのデータ化・集計はどう行うのが正解?ポイントとお役立ちツールを紹介」
また、AI-OCRのさまざまな活用法については、次の記事も参考になりますので、ぜひ参考にしてください。
AI-OCRの選び方と注意点
AI-OCRを選定するときのポイントや注意点を説明します。
AI-OCR選定のポイント
AI-OCRを導入するときには、自社の目的やそれに基づいて必要な仕様を明確にしたうえで、次のようなポイントをチェックし、選定を行うといいでしょう。
- 読み取り精度が十分に高いか
文字の認識率はどの程度か(自社がOCR処理したい帳票や書類を読み取ることができるか) 定期的に精度向上のバージョンアップを行っているか
- OCR処理の前準備はどの程度必要か
例えばテンプレートの選択や読み取り部分の選択など、前準備がどの程度必要か
- どの帳票が得意なツールか
自社の導入目的の帳票の読み取りを得意とするツールか
- 既存のシステムと連携可能か
すでに導入されている業務システムやRPAと連携し、データ入力作業を削減できるか 出力するファイル形式は連携先システムに合わせられるか
- ファイル管理はしやすいか
文字認識したファイルに適切な名称をつけて、管理しやすく保存できるか
- 全文検索は可能か
OCR処理後のテキストデータを処理前のPDFデータにはめ込んで保存し、検索しやすくできるか
- 使いやすいか
読み取り、文字認識、読み取り後の確認・修正作業などの機能は使いやすいか
- サポートは充実しているか
わからないことがあれば聞けるサポート窓口があるか
サポート料金はいくらか
サポートは何年くらい継続できるか
AI-OCRツールの選び方については、次の記事も参考にしてください。
AI-OCRの注意点
AI-OCRを導入するときには、次のような点に注意が必要です。
- AI-OCRは従来のOCRよりもコストがかかる
一般的に、従来のOCRよりもコストはかかります。ただし、AI-OCRの活用により、従来のOCRでは60%だったフリーピッチの手書き文字の認識率が、95%以上になった例もあります。長期的にとらえると、コスト以上の導入効果が見込めるでしょう。
- AI-OCRでも誤認識を完全にゼロにできるわけではない
AI-OCRでも、多少の誤認識は発生します。その部分は、人間の目で確認しなければなりません。そのため、確認・修正作業を行いやすいツールを選ぶことが大切です。
AI-OCRを導入することでデータ入力作業を大きく効率化できる
AI-OCRを導入すれば、これまでは紙を見ながら手作業で行っていたデータ入力作業の多くを自動化することができます。AI-OCRは従来のOCRよりも読み取り精度が高く、他のシステムとの連携も可能です。最終的には人の目による確認が必要ですが、データ入力部分を自動化するだけで、大きな作業工数・負担の軽減になるでしょう。他にも検索性の向上やペーパーレス化など、さまざまなメリットがあります。
なお、AI-OCRにはそれぞれ得意な分野があります。パナソニック ソリューションテクノロジーでは、注文書・請求書などのOCR処理を得意とする「WisOCR for 注文書・請求書」と、さまざまな用途のOCR処理に対応した「WisOCR」をご用意しております。
AI-OCRの導入を検討されている方は、お気軽にご相談ください。
関連記事
パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社では、注文書や請求書などの入力や転記作業に対応した「WisOCR for 注文書・請求書」と、申込書や作業報告書・検査表などのあらゆる紙帳票の入力や転記作業に対応した「WisOCR」という2つのAI-OCR製品をご用意しております。AI-OCRの導入を検討されている方は、ぜひ一度お問い合わせください。
AI-OCRのお役立ち資料
AI-OCRの社内導入に向けて
稟議書に記載すべき3つの要素
データ入力業務の効率化を目的に「WisOCR for 注文書・請求書」を導入する際、社内向けの稟議書作成でお役立ていただける内容となっております。
AI-OCRの導入前、必ずトライアルで
確認しておきたい3つのポイント
トラブルを未然に防ぐために、AI-OCRの導入前にトライアルでチェックしておきたい3つのポイントについて、詳しく解説します。
注文書・請求書のDXで乗り越えるべき3つのハードルとは!?
注文書・請求書のDXにおける“ハードル”と、その乗り越え方について解説していきます。
OCRソフトをお探しの方、OCR機能の組み込み開発をご検討中の方
お気軽にお問い合わせください!