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AI-OCRが注目されている理由とは?AI-OCR導入に向いている業務と活用例を解説

公開日:2023 / 10 / 27更新日:2024 / 1 / 19

新型コロナウイルス流行による働き方の変化を受けて、さまざまな業界でAI-OCRの導入が広がっています。AI-OCRを活用することで、紙の帳票や書類を減らし、データ入力作業の負担を軽減し、業務を大きく効率化できます。働き方改革やテレワークの推進、ペーパーレス化の推進、電子帳簿保存法への対応など、帳票や書類の電子化・デジタル化を後押しする動きもあり、その流れの中でAI-OCRの注目度がますます高くなっています。

ここでは、AI-OCR導入が注目されている背景とその効果、AI-OCR導入に向いている業務と、導入により効率化を実現した事例などを紹介します。

AI-OCRとは

AI-OCRとは、OCRにAIを搭載したシステムのことです。AIを搭載したことで、従来のOCRよりも読み取り精度が高くなっています。また、手書き文字や非定形の帳票もより正確に認識可能です。
AI-OCRの詳細や従来のOCRとの違いについて詳しくは、次の記事を参考にしてください。

  AI-OCRが注目される背景

現在AI-OCRが注目されているのには、次のような背景があります。

  • 働き方改革の推進
    長時間労働を削減するためには、業務効率化による生産性向上とIT技術の導入、データの活用が不可欠です。そのためには、現在紙の書類でやり取りしている内容をデータ化できるAI-OCRが有効です。
    また、テレワークを推進するためには、遠隔地から文書にリモートアクセスが欠かせないことからも、書類のデジタル化は重要です。
  • 人手不足
    多くの企業では、慢性的な人手不足が起きています。それを解消するには、業務効率化と人的作業の削減が必要です。そこでデータ入力の作業を自動化でき、大きな業務効率化を可能にするAI-OCRが効果を発揮します。
  • 技術の進歩
    従来のOCRにAIを組み合わせたAI-OCRの開発により、OCRよりも読み取り精度が大きく向上しました。業務レベルでの実用化を実現したことで、AI-OCRを導入する企業が増えています。

AI-OCR導入で得られる効果と注意点

AI-OCRの導入によるメリットと注意点を紹介します。

  AI-OCRの導入による効果

AI-OCRの導入で次のような効果があります。

  • データ入力や確認作業の負担を大幅に軽減できる
    書類のデータ化をAI-OCRで自動化することで、社員のデータ入力業務の作業負担が減ります。
    人の作業はAI-OCRの処理結果の軽微な確認修正だけになるので、データ入力作業だけでなくダブルチェックも不要になります。
  • 検索性の向上
    紙の帳票や書類をデータ化することで、全文検索が可能になります。これによって、必要な書類をすぐに取り出すことが可能です。
  • 保存・管理が容易
    紙の帳票や書類をデータ化することで、保存しておくスペースが不要となります。電子化することで帳票や書類を探しやすくなるため、管理も容易です。

OCR導入のメリットについては次の記事も参考になりますので、ぜひご覧ください。

  AI-OCR導入の際の注意点

AI-OCRを導入するときには、次のような点に注意が必要です。

  • 従来のOCRよりもコストがかかる
    AI-OCRは、従来のOCRよりも高機能になった分、コストがかかります。
    しかしデータ入力業務を大幅に効率化でき、コスト以上の導入効果が見込めます。
  • AI-OCRでも内容を完璧に読み取れるわけではない
    AI-OCRでも、精度が100%になるわけではありません。最終的には、目視で確認が必要です。
    しかしデータを手入力していたときのようにすべてのデータを目視で確認する必要はありません。OCRが判別した数%の誤りを確認、修正するだけで済むため、非常に効率的です。

AI-OCRで効率化する業務とその洗い出し方

AI-OCRで効率化できる業務と、AI-OCRを導入すべき業務の洗い出し方について説明します。

  AI-OCRを使うことで効率化が期待できる業務

次のような業務には、まだまだ紙の帳票や書類が多く残っており、手作業によるデ-タ入力が必要なものは多々あります。これらの業務はAI-OCRを導入することで大きな効率化が可能です。

  • 入金・支払い業務
  • 交通費・経費精算業務
  • 勤怠管理・給与計算
  • 受注書、発注書、請求書、注文書、支払い明細などの発行・メール送付
  • 住所変更、社会保険、入社・退職手続き
  • 金融機関の申し込み、口座作成
  • 会員登録、解約
  • アンケートの集計
  • 医療機関の診療記録の電子化

AI-OCRはデータ入力の自動化だけでなく、RPAや経費精算システム、会計システム、CRM、SFA、マクロなどとの連携により、より多くの処理を自動化できます。

RPAとの連携については、次の記事をご覧ください。

  AI-OCRで効率化すべき業務を洗い出す方法

AI-OCRを導入すると効果的な業務は、次のようにして洗い出します。

  • 担当者、関係者へのヒアリングを行う
    データ入力や処理に関して、不便、面倒だと感じる部分を指摘してもらいます。
  • 定型業務を見直す
    定型業務、とくに手入力と目視での確認を繰り返すような業務や、誰がやっても同じ結果となる業務は自動化・効率化しやすいものです。そのような業務にAI-OCRで効率化できる部分がないか探します。
  • 作業や業務の間をつなぐ部分を見直す
    作業や業務の間では、データのやり取りをしていることが多いためです。そこでのデータ入力を自動化できれば、大きな効率化になります。
  • 後工程に影響が大きい部分を見直す
    受注、仕入れなど、後の工程が長く続く業務、後工程に大きな影響を与える業務を探します。そのような業務を効率化すれば、より大きな効果が見込めるためです。
  • 普段後回しにしがちな業務を見直す
    後回しにするとものは、潜在的に「面倒」と思っている業務が多いものです。そこで、その部分をAI-OCRで効率化できないか見直します。
    なお、業務を見直していくだけでなく、紙の帳票・書類には必ず一度はAI-OCRを導入してみるという方法もあります。AI-OCRを使ってみて導入前と後の時間を比べれば、作業時間の計測と効率化によって生まれた時間がわかり、どれだけ効率化できたかを知ることが可能です。

AI-OCRを活用した効率化例

  タクシー事業者A社

タクシーチケットの集計にAI-OCRを導入しています。
従来は、利用されたタクシーチケットのデータを各営業所で手入力し、本部へ送付していました。これを効率化するため、最初は従来型のOCRを導入しましたが、あまり効果がありませんでした。
そこでAI-OCRを導入して学習させたところ精度が大きく上昇し、各営業所における入力作業を月平均で39時間、全体の残業時間を月平均で約50時間の削減に成功しています。

  精密機器メーカーB社

特許情報の入力作業にAI-OCRを導入しています。
従来は膨大な特許庁の書類を読み込んで必要な情報をシステムに手入力していました。
そこで書類をAI-OCRで読み込み、必要な情報だけを抽出することで、大きな業務効率化を実現しています。入力作業はすべて自動化、多少の修正を行いますが、月に約360時間の作業をほとんどゼロに削減できました。

  鉄鋼卸売業者C社

注文伝票の読み取りにAI-OCRを導入しています。
注文書は企業によって電話、メール、FAXなどさまざまな手段で送られてきます。また、そのフォーマットも企業により異なるため、処理には経験が必要とされていました。
そこにAI-OCRを導入したことで、人間の作業は確認だけになり、作業の属人化を解消することができたのです。さらに、データ認識から入力作業を自動化し、作業時間は月に約33時間削減できています。

  一般ガス事業者D社

申込書、出勤報告書のデータ入力にAI-OCRを導入しています。
従来は、手書きの書類から手作業でデータ入力していました。この部分が社内DXから取り残されていたため、AI-OCRとRPAの導入を決断しました。既存のシステムと組み合わせることで、データ入力から処理までを自動化でき、社員は確認作業だけ行うようになっています。その結果、作業時間が月に14時間から3時間に削減されています。

  情報処理サービス業者E社

保険関連の申請書類のデータ入力にAI-OCRを導入しています。
グループ全体で年間100万件を超える申込関連の業務も、従来は紙が中心でした。繁忙期には長い残業が発生し、コストや繁閑差の平準化も問題になっています。
そこでデータの読み取り・入力にAI-OCRを導入しました。それにより作業の80%を自動化し、作業時間は年間40,000時間も削減できています。さらにテレワークにも対応が可能になりました。

AI-OCRで紙の書類をデータ化することには大きな効果がある

AI-OCRの導入効果は、単に紙の書類を電子化し、ペーパーレス化できることだけではありません。内容をデータ化して他のシステムでも利用しやすくすること、データとして活用できることに大きなメリットがあるのです。

BtoCだけでなくBtoBでも、顧客とのやり取りにはまだ紙の書類を使っている企業も多いでしょう。AI-OCRを導入することで、その内容をデータ化して処理でき、大きな業務効率化につながります。まだ紙の帳票や書類が残っている作業があれば、積極的にAI-OCRの導入を検討されてはいかがでしょうか。

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