導入効果 ノウハウ
RPAとOCRを組み合わせることで大きな相乗効果が!連携によって何ができるのか
公開日:2023 / 7 / 21更新日:2024 / 1 / 19
業務効率化やDX推進を目的に、RPAの導入を検討する企業が増えています。また、ペーパーレス化や電子帳簿保存法に対応するため、OCRを導入する企業も増えてきました。
RPAとOCRは、もともと別々の目的で導入されていることが多いですが、このふたつが組み合わさると相乗効果を発揮し、大きな業務効率化につながります。特に手書き帳票のやりとりが多い企業では、経理部門の業務を大きく効率化できるでしょう。ほかにも、社内のさまざまな部門の業務に活用できます。
本記事では、RPAとOCRの概要、両者を組み合わせたときの効果と具体的な活用例について解説します。
RPAとOCR
RPAとOCRはまったく異なる機能を持ち、それぞれ単独でも利用されます。しかし、OCRを導入している企業ではRPAと組み合わせて使われることも増えています。
RPAとは
RPA(Robotic Process Automation)とは、人間がパソコンやシステムを操作して行う作業を正確に再現できる技術やソフトウエアのことです。複数のシステムを操作することもでき、パソコンで行う作業のほとんどはRPAで自動化ができます。
ただし、RPAは基本的に決められた作業しかできません。そのため、定型外の事態が発生しやすい作業や、途中でなんらかの判断が必要な作業には向いていません。
- RPAの役割
定型業務を一連の流れとして自動化することで、業務効率化を実現します。 - RPAの機能
ユーザーがパソコンを操作して行う一連の作業を記録して正確に再現することで、作業を自動化します。 - メリット
RPAには次のようなメリットがあります。- 定型業務を自動化することで業務効率化が可能です。
- 従業員の作業時間が減ることで、コストを削減できます。
- 従業員の作業負担を軽減できるので、人手不足の解消につながります。
- 手作業が減るので、データの抜けもれなどのミスの削減につながります。
- RPAは24時間365日の連続稼働が可能なので、生産性が向上します。
OCRとは
OCR(Optical Character Recognition / Reader)は光学文字認識とも呼ばれ、スキャンをした手書きの書類や印刷物の文字を認識してその内容をテキストデータとして抽出する技術やシステムのことです。
以前からある技術ですが、書類の電子化やペーパーレス化が盛んになったことや、電子帳簿保存法が施行されたことで、導入する企業が増えています。
AIを組み込んで認識精度を上げ、多様なフォーマットに対応できるAI-OCRも普及しつつあります。
- OCRの役割
書類をスキャンし、そのなかの文字を抽出することでテキストデータとしての活用を可能にします。(書類の電子化) - OCRの機能
既存の印刷物や手書きの書類/帳票などをスキャンした画像データをもとに文字認識を行い、テキストデータを抽出します。また、抽出したテキストデータを必要なファイル形式に変換して出力し、さまざまな場面で活用できるようにします。 - OCRのメリット
OCRには次のようなメリットがあります。- 書類の電子化によりペーパーレス化を推進できます。ペーパーレス化の実現は、コスト削減や働き方改革、テレワークの推進、DXの推進にもつながります。
- テキストデータにすることで、書類の内容をデータとして利活用でき、データ入力業務の効率化が可能です。
OCR処理による文字認識のメリットについては、次の記事もご参照ください。
また、OCR処理による文字認識のステップについては、次の記事をご参照ください。
RPAとOCRの連携でもたらされる効果
RPAとOCRを組み合わせることで、次のような効果が期待できます。
書類の電子化からデータ利用のワークフローを自動化
RPAとOCRを連携させることで、スキャンした書類をOCRでテキストデータ化し、RPAで自動的にデータベースに入力したり、次のシステムの処理に回したりできます。
それによって、「データ入力→確認→処理」のプロセス全体をワークフローとして自動化でき、大きな業務効率化が可能です。
生産性の向上
ワークフローを自動化することで、従業員の作業を大きく削減できます。
また、複数の部署やシステムをまたいだワークフローの自動化も可能です。そのため、ひとつの部署に限らず、全社規模での業務効率化も実現できます。
人的リソースの再配置が可能
ワークフローを自動化してデータ入力や確認などの単純作業を自動化することで、従業員の作業時間が減ります。削減した時間を使い、よりコアな業務や、クリエーティブな業務に従業員を割り当てることが可能です。それによって従業員のモチベーションが上がり、職場によい循環をもたらすことが期待できます。
RPAとOCRを連携して行う業務の具体例
ここからは、RPAとOCRを連携させた具体的な例を紹介します。
経理業務における帳票処理の自動化
他社とやりとりする請求書や納品書、他部署からの経費申請などの帳票をスキャンし、OCR処理することで各項目のデータを抽出します。その後、RPAにより自動的に各項目のデータを会計システムに入力し、システムで会計処理を行います。
帳票をテキストデータ化し、システムへ自動入力することで、取引先ごとに異なるフォーマットの帳票から必要な情報を確認し、手入力していた従業員の負担が軽減されます。また、決算時には自動的に行った会計処理のデータを利用して決算処理を行うことで効率化にもつながります。
申込・登録作業の自動化
会員登録などの申込/登録用紙をスキャンし、OCR処理することで各項目のデータを抽出します。その後、RPAにより自動的に会員情報をデータベースへ登録します。これらの書類は項目も多いため、手作業による入力に比べ作業時間を大幅に削減できます。また、入力ミスやデータを誤って消去してしまうなどのヒューマンエラーを防ぐことも可能です。
窓口での対応の場合は、OCRでデータ入力業務を正確にスピーディーに行えるようになることで、顧客の待ち時間を削減することができるため、顧客満足度の向上にもつながります。
OCRはRPAと連携させることで活用の幅が広がる
OCRを導入するだけでも、手書きの帳票や過去の書類をデジタル化できます。それによって業務効率化やペーパーレス化を実現し、過去のデータを資産として、これからの業務に生かすことが可能になります。
さらに、RPAと組み合わせることで、さまざまな処理をワークフローとして自動化できます。それによって従業員の作業負担を大きく減らせるだけでなく、データ入力やその後の処理にかかる時間を大幅に短縮可能です。
データ入力業務がより正確にスピーディーになることで、窓口での申し込みや登録対応時に顧客の待ち時間を削減することができるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
また、OCR製品によっては、自動でフォルダーから認識画像を取得してOCR処理をする、認識結果からファイル名を設定するなど、一部、RPAの代わりができるサービスもあります。このようなOCR製品を選定することでさらなる効率化、コストダウンを図れることもあります。
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