ノウハウ
手書き伝票を電子化するメリット・デメリットは?
実施の方法と注意点も解説
公開日:2024 / 2 / 26
ビジネス上の金銭の出入りや取引内容などを記入する伝票は、取引に関する責任を明らかにし、証拠となる大切な書類です。これまでは手書きにより発行され、紙のまま保存されることの多かった伝票も、最近は電子化に移行する傾向が見られます。電子化することにはどのようなメリットがあり、また何か問題はあるのでしょうか。
今回は手書き伝票の電子化について、押さえておきたいポイントや実施の方法を解説します。
手書き伝票を電子化するメリット
初めに手書き伝票の電子化の意味とメリットを解説します。
伝票の電子化とは?
伝票の電子化とは、紙の伝票をデータ化して、電子的に管理・保存する一連の流れを指します。
伝票には、大きく分けて「会計伝票」と「作業伝票」の2種類があります。
- 会計伝票:入金伝票、出金伝票、売上伝票、仕入伝票、振替伝票など
- 作業伝票:入庫伝票、出庫伝票、検収伝票など
伝票の電子化では、初めから電子データとして作成するほか、手書きの伝票をPDFや画像データ、エクセル、ワードファイルに変換するといった方法があります。
手書き伝票を電子化するメリット
手書き伝票を電子化することには、以下のようなメリットがあります。
- 記入間違いや読み取り間違いがなくなる
電子化により手書きで記載する際のミスがなくなり、活字体となるため読み間違いも軽減できます。
- 確認や共有に時間がかからなくなる
物理的な紙ではなく電子化されたデータなので、システム上で閲覧でき情報共有に時間がかかりません。
- 保管スペースが不要になる
紙の伝票のような物理的な保管場所にスペースが不要となり、保管期限が過ぎた伝票の廃棄の手間がかからなくなります。
- 管理・検索がしやすくなる
検索機能を活用して、必要な伝票を容易に確認でき、業務効率が向上します。
- 業務フローが改善できる
作成・承認・保管など業務フローがシステム化され、可視化、簡略化されます。
- コストが削減できる
作成業務や管理、事務作業の負担が軽減し、人的コスト、保管コストが抑えられます。
- セキュリティが向上する
アクセス管理などを行うことにより、紛失や改ざんのリスクを減らせます。
以下の記事では書類の電子化について解説しています。あわせてご覧ください。
手書き伝票を電子化するデメリット
手書き伝票を電子化することにより、想定されるデメリットには以下があります。
- データ入力、紙媒体からの変換に時間と手間がかかる
- 端末、機器類、システム導入の初期費用が発生する
- 手書きに慣れている場合、電子化になじむまでに時間がかかる可能性がある
手書き伝票を電子化する際に押さえておくべきポイント
手書き文書を電子化するに当たり、留意したいポイントを解説します。
電子化の対象となる伝票の確認
初めに現状の取引内容を整理し、どの伝票を電子化すべきなのか把握します。
現状の取引内容を整理するためには、以下の点に注意する必要があります。
- 取引先の規模や業種
- 取引内容(商品やサービス)
- 取引の頻度
- 取引の金額
内容を整理することにより、どの書類が保存対象となるのか、保存期間はどのくらいなのかなどが明らかになります。
電子帳簿保存法への対応
電子帳簿保存法とは、電子帳簿の保存に関するルールを定めた法律です。電子帳簿保存法では、国税関係帳簿に該当する電子帳簿は、一定の要件を満たす場合に、紙の帳簿に代えて保存することが認められています。
手書き伝票のすべてが対象となるわけではありませんが、国税関係帳簿に関連している場合には、以下の要件を満たす必要があります。
- 真実性・可視性の確保:e-文書法の要件を満たしていること。
- タイムスタンプの付与:電子帳簿の作成日時や内容を証明するためのタイムスタンプを付与すること。
- 検索機能の確保:電子帳簿を検索できる機能を確保すること。
電子帳簿保存法の対象となる手書き伝票を電子化する場合、上記の要件を抑える必要があります。法令に対応できるシステムが登場しているので、自社ニーズにあわせて要件が満たせるシステムの選定を検討することが大切です。
電子帳簿保存法への正しい対応については、必ず下記でご確認ください。
データ管理体制の整備・セキュリティ対策の実施
手書き伝票から電子データに移行する際には、管理体制が整っており、セキュリティ対策が講じられていることではじめて、電子化の効果が得られます。
具体的には、以下のように管理体制を整備し、情報流出、改ざんのリスクなどを防ぎます。
- データのバックアップ:データのバックアップを定期的に行う
- ウイルス対策:ウイルス対策ソフトを導入して、ウイルス感染を防止する
- データの暗号化:データの改ざんや不正アクセスを防止するために、データを暗号化する
- アクセス制限:不正アクセスを防止するために、アクセス権限を制限する
- 監査ログの保存:データの改ざんや不正アクセスが発生した場合に、その状況を把握できるよう監査ログを保存する
紙ベースでの管理とはまた異なる運用体制が必要となることに、注意しましょう。
関連書類の保存期間に注意する
手書きから電子データに置き換わっても、保管義務の期間は変わりません。国税関係帳簿に関連する伝票は、7年間の保管が義務付けられています。
手書き伝票を電子化する方法
伝票を電子化する方法として、主に次の4つがあります。
スキャン
手書き伝票を電子化する基本的な方法です。スキャナーは手書き伝票の紙のコピーをデジタルな画像に変換し、PDFや画像ファイルとして保存します。
メリットは、比較的低コストで導入できる点です。既存のスキャナーや複合機でも対応できるケースもあります。
デメリットは、画像形式のデータとして保存されるため、検索や分析が難しい場合がある点です。
電子データで作成
伝票を直接電子フォーマットで作成する方法です。伝票の内容を入力し、データベースやスプレッドシートなどのソフトウェアを使用してデータを管理します。
メリットは、手慣れたオフィスソフトなどでできるため、対応が容易なことがあげられます。
一方、伝票を見ながら入力するため人為的なミスが発生しやすい点がデメリットです。新たにシステムを導入する場合は、初期コストや運用コストがかかります。
OCR(Optical Character Recognition)
OCRは、手書きや印刷された文字をデータ化する技術です。手書き伝票の文字をスキャンし、OCRソフトウェアを使用してその画像内のテキストを認識し、機械が理解できる電子データに変換します。伝票の情報を手動で入力する必要なく、自動でデータ化できます。
メリットは、手動で入力する手間を省けることや、大量の手書き伝票を短期間で電子化できる点です。ただし読み取り精度がOCRソフトウェアの機能に左右されるため、手書きの文字認識は難しい場合があります。
手書き文字をデータ化する方法については、以下の記事でも解説しています。
Web上の電子伝票発行サービス
請求書や納品書、領収書など最初から電子化した伝票を、Web上で発行できるサービスです。サービス事業者が提供するフォーマットを利用するほか、自社独自のフォーマットを利用することもできます。
メリットは比較的操作が簡単で、多種多様な伝票に対応しており、法令や制度の変更にも即時に応じやすい点があげられます。
デメリットとしては、初期費用・月額費用などの運用コストが発生するといった点です。
手書き伝票の電子化で業務効率を向上
手書きの伝票のままでは、業務上の確認やデータ活用が容易ではありません。手書き伝票を電子化するにはコスト軽減や業務効率化など、ビジネス上のさまざまなメリットがあります。手書き伝票を電子化する方法はいくつかの種類があるため、自社の業務内容や作業状況にあわせて最も有効性の高い方法を選ぶ必要があります。
WisOCRは手書きも活字もあらゆる書類を高精度にデータ化する優れたツールです。伝票の電子化の方法にお悩みの際には、ぜひご検討ください。
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