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納品書は電子化がおすすめ!メリットや注意するポイントをまとめて紹介

公開日:2024 / 2 / 26

納品書は、商品やサービスがどの発注に対応するかを示す重要な書類です。また、取引先が商品やサービスを受け取ったことを証明する役割も担います。従来の紙によるやり取りでは、取引のたびに発行する手間や、受け取ったあとの管理など何かと効率的ではありません。

今回は納品書の電子化について、得られるメリットや留意すべきポイント、具体的な方法をまとめてお伝えします。

納品書の電子化は問題ない?

納品書のような、ビジネスに深く関連する書類を電子化することに問題はないのでしょうか。

結論から言うと、納品書の電子化は問題ありません。電子帳簿保存法により認められているだけではなく、現代企業が置かれている社会環境によって、電子化の流れは加速している傾向にあります。

納品書とは、売り手側の企業が買い手側に商品やサービスを納める際に発行する、取引年月日や取引の内容などを記載した書類です。

法律で発行が義務付けられている書類ではない一方で、「国税関係書類」であり、発行、受領した場合には一定期間の保存が求められています。その期間は法人では確定申告書の提出期限の翌日から7年~10年、個人事業主では5年です。

従来は、原則として紙での保存が義務付けられていましたが、2022年1月1日施行の電子帳簿保存法の改正により、紙で発行された書類を電子データ化し電子保存する際の要件が緩和しました。

さらに電子データでのやり取りによる取引書類については、電子保存が原則となりました。2023年12月までは対応の猶予期間が設けられていましたが、2024年1月からは電子的な取引に関しては電子データによる保存が完全義務化されます。

一方、2023年10月からはインボイス制度も始まっています。

インボイス制度の下では、買い手側が仕入れ税額控除を受けるのにインボイスが必要です。定められた記載事項に対応していれば、納品書もインボイスとして扱われます。

インボイス制度への対応に伴い、煩雑化する事務作業の負担を軽減する意味でも、納品書の電子化に向けた動きが高まっています。

改正電子帳簿保存法に伴いすべきことについては、「請求書をデータ化する方法は?改正電子帳簿法の施行で何が変わる?」を、インボイス制度に伴い求められる対応については、「インボイス(適格請求書)制度とは?企業がすべき準備と対応」をご覧ください。

納品書を電子化する際の重要ポイント

電子化する際に注意・認識しておくべきことを説明します。

  電子帳簿保存法への対応

電子帳簿保存法では、電子データで保存する帳簿・書類の要件が定められているため、納品書を電子化する場合も、これらの要件を満たす必要があります。

必要な要件は、訂正・削除が容易にできないことやタイムスタンプによる記録日時と内容の真正性の確保、検索機能の付与などです。そのほか、スキャナ保存要件として「解像度が387万画素以上」、「24ビットカラー(256階調)以上」と定められています。

電子帳簿保存法への正しい対応については、必ず下記でご確認ください。

  データ管理体制整備とセキュリティ対策

納品書の電子化にあたり、以下の管理体制とセキュリティ対策を行う必要があります。

  • データのアクセス権限を制限する
  • データのバックアップを定期的に行う
  • ウイルス対策を講じる

  取引先の同意を得る

納品書を電子化する場合は、取引先の同意が必要です。ビジネス上、相手との良好な関係を継続し、円滑に取引を行うためには、納品書の形式についても相互的な認識を統一しておくことが求められます。取引先が電子化に同意していない場合には、紙の納品書の発行が必要となります。

  運用ルールを定める

電子化によってこれまでとは異なる業務フローとなるため、以下について運用ルールを定める必要があります。

  • 電子化の対象となる納品書
  • 電子化の流れ
  • 電子化の責任者

納品書を電子化するメリット

納品書の電子化により期待できるメリットは以下があります。

  業務の効率化に貢献する

最初にフォーマットさえ作成しておけば、それ以降は、フォーマットを利用することで納品書の作成が容易になります。また、印刷や封入、郵送などの手作業がなくなる、データ化により検索性が向上して必要な情報を迅速に確認できるなど、業務の遂行に確実性と利便性がもたらされます。データを販売管理システムなどにも流用できるため、手入力の手間を省けるのも大きいでしょう。

以上のように、納品書の電子化は、業務効率化に大きく貢献します。

  コスト削減効果が期待できる

紙ベースの場合には必要となる印刷代や郵送費などのコスト軽減が可能です。加えて前述のとおり、業務効率が大幅に向上するため、作業の負担が軽減ことで、人的コストにも好影響がもたらされます。また物理的な保管スペースの削減により、管理的なコストも削減できます。

  社内統制が可能となりリスクの軽減ができる

物理的な書類の移動がなくなることで、置き忘れ、盗難、紛失のリスクが軽減します。また、内容の可視化、共有が進むことで、不正な処理を未然に防止することにもつながります。多角的なアクセスが可能となり、属人化、ブラックボックス化も回避できるでしょう。

システム上で処理できるようになれば社外からでも作業が可能となり、書類の場所が常に明らかになるため、担当者不在による作成や確認処理の遅延がなくなります。

  働き方の多様性に対応する

電子化により遠隔地からの作成および確認、交付が可能となり、在宅勤務やサテライトオフィス勤務、モバイル勤務といったテレワークに対応できるようになります。

書類の電子化については、以下の記事でも解説しています。

納品書を電子化する方法

納品書を電子化する方法は、大きく分けて以下の2つがあります。

  1. 納品書自体を電子化するサービスやツールを活用する
  2. 紙を電子化するサービスやツールを活用する

具体的な方法は以下のとおりです。

  電子データで作成

納品書の項目を入力して、電子データで作成する方法です。納品書のフォーマットを自社で作成する場合は、電子帳簿保存法に対応するシステムで作成することが必要なため、システム選定には注意が必要です。

また取引先が電子化に同意していない場合、紙の納品書を発行する必要があるため、電子化できるかどうかの確認が求められます。

  スキャン

紙の納品書をスキャナで読み取り、PDFや画像などの電子データに変換する方法です。最も一般的な方法であり、導入コストや手間も比較的少なくすみますが、文字認識まではできず、あくまで画像化が可能である点に注意が必要です。

スキャンする際は、以下の点に留意します。

  • 電子帳簿保存法の要件を満たす解像度に設定する
  • 納品書は一般書類ではなく重要書類扱いとなるため白黒ではなくカラーで読み取る
  • 補正機能を活用するなどして極力歪みをなくす

  OCR

紙の納品書の文字を読み取るOCR(Optical Character Recognition)ソフトを使用して、電子データに変換する方法です。スキャンする方法と比べて、文字の読み取り精度が高く、テキストデータとして扱えるというメリットがあります。

ただしOCRソフトの性能によっては、読み取り精度に差があるため、事前に確認しておくことが大切です。

手書き文書のデータ化については、以下の記事で解説しています。

初めから納品書自体を電子化する方法は便利ですが、受け取る側の承諾や環境も必要となるため、すぐに導入を判断できないケースが多々あります。そのため現状としては、紙の納品書を電子化する需要が大きいと考えられます。

納品書の電子化でビジネスのスピード化を図る

これまで紙ベースで行われてきた取引上のやり取りも、徐々に電子化へと移行しています。納品書の電子化は、経理作業を効率化し、社内でのデータ活用推進にも貢献するでしょう。一方で、最初から納品書自体を電子化するに当たっては、取引先との合意や発行、管理の体制を整備する必要があるためスムーズにいかない場合もあります。

WisOCRは、多種多様なビジネス文書の処理を自動認識し、高精度で電子化を可能にします。蓄積された帳票データを活用したAIを搭載し、文字認識率を継続的に向上していくため、自社の利用に即した認識結果が得られます。認識結果の確認や設定など初めての方にもわかりやすい操作性で、スムーズに導入が可能です。

紙の納品書の電子化をご検討の際には、ぜひお役立てください。

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