ノウハウ

請求書をデータ化する方法は?
改正電子帳簿法の施行で何が変わる?

公開日:2023 / 5 / 31更新日:2024 / 1 / 19

2022年1月の改正電子帳簿保存法の施行により、電子データで送られてきた請求書はそのまま電子データで保存することが求められるようになりました。この改正法の施行により、これまで電子データで送られてきた請求書を紙に印刷して保存していた企業でも、請求書をデータのまま保存することが求められています。本記事では、改正電子帳簿保存法の施行による請求書データ化の必要性、請求書をデータ化する方法やそのメリットについて解説します。

改正電子帳簿保存法の施行と請求書のデータ化

2022年に改正電子帳簿保存法が施行され、大きく分けて4つのことが変わりました。

  • 書面保存の廃止
    電子請求書を印刷して紙で保存することが、原則として認められなくなります。紙で届いた書類を紙で保存することは例外的に認められますが、電子データで届いた請求書は電子媒体のままで保存しなくてはなりません。ただし、2023年12月31日までは猶予期間とされているため、徐々に切り替えていくことも可能です。
  • 検索要件の緩和
    保存した電子請求書は「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できればよくなり、「勘定科目」をはじめ、帳簿の種類に応じた主要な記録項目も含んでいたこれまでの検索要件と比べ、ぐっと緩和されました。
  • スキャナー保存に関する要件の緩和
    税務署長の事前承認制度や、適正事務処理要件が廃止されました。また、タイムスタンプ要件が緩和され、電磁的記録について訂正または削除を行った場合、これらの事実や内容を確認できるクラウドなどで、入力期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認できれば、タイムスタンプの付与に代えられるようになりました。
  • 不正に関する罰則の強化
    スキャナー保存の場合の事前承認は廃止されましたが、一方で不備があった場合のペナルティーが重くなりました。例えば隠ぺいや偽装などがあった場合、申告漏れに生じる重加算税が10%加重されることになります。

※変更点については、詳しくは国税庁の該当ページをご確認ください

このなかで最も大きくかつ重要な変化として、書面保存の廃止が挙げられます。電子媒体を利用した取引の全てが電子取引と見なされ、電子請求書だけでなく、クレジットカードの利用明細データや交通系ICカードの支払いデータ、スマホアプリによる決済データ、EDIシステムの取引データなどの、電子媒体上での保存が義務化されます。

そのため、請求書の一元管理のためには全てを紙文書で保存しておくことはできず、請求書をデータ化する必要性が生じました。請求書をデータ化することには、ほかにも多くのメリットがあります。次章では、そのメリットについて紹介します。

請求書をデータ化するメリット

では、請求書をデータ化することで、どんなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主に6つのメリットを紹介します。

  ペーパーレス化の推進につながる

これまで請求書を紙で一元管理していた企業では、ペーパーレス化がなかなか進まなかったのではないでしょうか。改正電子帳簿保存法の施行を機に請求書や領収書を全てデータ化することで、ペーパーレス化の推進につながります。また、請求書や領収書を全てデータ化することで書類の検索性も増すため、書類探しにかかる時間も削減され、業務の効率化にもつながります。

  紙文書に伴うコストをゼロにできる

紙文書には、紙そのもののコスト、インクや印刷のコスト、封筒のコスト、郵送のコストなど、さまざまなコストがかかります。しかし、電子媒体ならこれらのコストをまとめて削減することができます。また、領収書や請求書を紙のままで管理していると、ある程度まとまった保管場所が必要ですが、データ化されていればそういった場所も必要ありません。そのため、保管スペース分のコストも削減できるでしょう。

  帳票の再発行や修正対応が容易

データ化された請求書なら、請求書を発行したあとで間違いに気づいたり、請求日などの変更で再発行が必要になったりした場合でも、即時対応できます。紙の請求書ではj、郵送し直したりとさまざまな手間がかかりましたが、データ化されていればこれらの対応が必要なくなります。

  テレワークに対応できる

請求書や領収書をデータ化してしまえば、オンライン上でやりとりが完結できます。そのため、テレワークなどでも対応でき、請求書の押印や郵送などのために出社する必要がなくなります。

  スピーディーに発行、受領できる

紙の請求書の場合には郵送やFAX送信を行うため、どうしても発行から受領確認までにタイムラグが発生していました。しかしデータ化すれば、発行してすぐメールなどを使って送付できるため、スピーディーな対応が可能になります。

  会計ソフトなどの他システムと連携できる

電子化された請求書や領収書は、会計ソフトなど他システムと連携することで、より管理や各種処理が簡単になります。例えば、紙で受け取った請求書のデータをひとつひとつ会計ソフトに手入力する必要がなくなるので、手間が省けるだけでなくヒューマンエラーの防止にもつながるでしょう。

請求書を電子データ化する方法

請求書を電子データ化する方法はさまざまですが、ここでは主な方法を5つ紹介します。

  手入力

手入力はこれまでにも多く行われていた方法で、紙の請求書や領収書に書かれた内容をExcelや各種ソフトなどに手作業で入力する方法です。手入力には、以下のようなメリットがあります。

  • ツールのコストがかからない
  • 手書き文字などに対応しやすい
  • 記入フォーマット統一の手間がかからない

しかし一方で、手入力には以下のようなデメリットもあります。

  • 担当者の負担が大きい
  • ヒューマンエラーが発生しやすい
  • データの共有や連携がしにくい

  OCR(光学文字認識)

OCRとは、紙の書類に書かれた文字を認識して抽出し、テキストデータに変換する技術のことです。変換したテキストデータは文字列検索に使用したり、他ソフトと連携して二次利用したりできます。OCRには以下のようなメリットがあります。

  • データ入力時間が短縮できる
  • ヒューマンエラーが減る
  • テキストデータに変換されるため、データを共有・連携しやすい

しかし一方で、OCRには以下のようなデメリットもあります。

  • 確認作業がゼロになるわけではない
  • ツール利用にはコストがかかる
  • 必ずしも100%の精度で読み取れるわけではない

  スキャナー保存

スキャナー保存とは、紙で受け取った請求書や領収書をそのままスキャンして保存するもので、OCRや手入力とは異なり、そこに書かれている文字がどんなものかを識別せず、ただ画像化するものです。スキャナー保存には、以下のようなメリットがあります。

  • 手入力と比べて業務効率化につながる
  • フォーマットを考慮する必要がない
  • 手書き文字でもそのまま保存できる

一方で、スキャナー保存には以下のようなデメリットもあります。

  • 緩和されたとはいえ、スキャナー保存にはいくつか要件があり、それを満たさなくてはならない
  • ツール利用にコストがかかる
  • テキストデータに変換されないため、データの共有・連携がしにくい

  BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)

BPOとは、業務プロセスの一部をアウトソーシングするものです。紙の書類をデータ化する作業をアウトソーシングすることで、以下のようなメリットがあります。

  • 社内リソースの削減になる
  • ヒューマンエラーをアウトソーシング先で確認してもらえる

しかし一方で、BPOには以下のようなデメリットもあります。

  • ほかの手段と比べてコストがかかる
  • できることがアウトソーシング先によって異なる
  • 他システムとデータの共有・連携がしにくい

  請求書データ化サービス

請求書データ化サービスとは、請求書のデータ化に特化したアウトソーシングシステムのことを指します。請求書データ化サービスには、以下のようなメリットがあります。

  • 社内リソースの削減になる
  • 請求書をまとめてデータ化してもらえる
  • 手書き文字にも活字にも対応している

一方で、請求書データ化サービスには以下のようなデメリットもあります。

  • 全ての取引先がデータ化サービスに対応しているわけではない
  • サービスの利用にはコストがかかる
  • 他システムとのデータの共有・連携がしにくい

請求書をデータ化するならOCRが便利

前述のように、請求書をデータ化する方法にはさまざまなものがありますが、手入力はヒューマンエラーが多く、BPOではコストがかかりすぎ、取引先や仕入れ先がデータ化サービスに対応していない、などのデメリットがあります。また、スキャナー保存は一見楽なように見えますが、文字として認識されないため検索しにくい、他ソフトと連携しにくいなどのデメリットがあります。これらのデメリットを解消できるのがOCRツールの活用です。ツール利用に一定のコストはかかるものの、アウトソーシングするよりははるかにコストを抑えた運用が可能です。

改正電子帳簿保存法で請求書のデータ化が進む

改正電子帳簿保存法の施行により、これまで請求書の保存方法を紙に統一していた企業も電子データによる保存を余儀なくされました。これにより、請求書を一元管理しようとした場合には紙保存ではなく、電子データ保存が必要です。データ化の方法は大きく分けて手入力、OCR、スキャン、BPO、請求書データ化サービスのいずれかがありますが、他システムとの連携やコスト、ヒューマンエラー防止などの観点からOCRが便利でしょう。

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