風土活性化の取り組み

全員が主役!MAKE HAPPY プロジェクトで
働く幸せを広げよう

パナソニック インダストリー株式会社の風土活性化の取り組み「MAKE HAPPY プロジェクト」は、2023年に大阪府後援「学生が選ぶ働きがいのある企業賞」を受賞しました。この活動は現場からメンバーを募り、従業員が自主的に運営しているプロジェクト。活動の充実を図ろうと、試行錯誤を重ねてきたメンバーに話を聞きました。

 
写真:村社智宏

村社 智宏

パナソニックインダストリー株式会社
企画センター 経営企画部
MAKE HAPPY風土活性課 課長

写真:小関史織

小関 史織(愛称:こせしお)

パナソニックITS株式会社
アドミニストレーションセンター
総務部 企画課 社内広報(エンゲージメント)担当
(2020~2021年度 当時のプロジェクト複業メンバー)

 

従業員がプロジェクトの主役

――このプロジェクトでは、どんな目的を掲げていますか?

村社:「MAKE HAPPYプロジェクト」で実現したいのは、働く従業員の幸せです。主役は従業員だからこそ、プロジェクトでは「少し先の未来を、あなたと一緒に変えたい」というパーパスを掲げています。

小関:パーパスを決める際、当初はプロジェクトメンバーだけで議論していました。でも、メンバー以外の従業員からすれば、他人から決められたものほど白けるものはないし、自分事化できないと感じたんです。そこで、議論の場をオープンにしようと提案し、従業員全員がパーパスの選定に参加できるようにしました。

プロジェクトは試行錯誤の連続。周囲と意見がぶつかることもありましたが、そのたびに私のモヤモヤをメンバーがくみ取ってくれて、みんなで考え、従業員を巻き込むボトムアップ型のスタイルが徐々に確立していったように思います。

 

エビデンスをもとに従業員の幸せを追求

――従業員の幸せを目指す理由は?

村社:それは、事業との関連にエビデンスがあるからです。幸せな従業員は、そうでない従業員に比べて創造性は3倍。生産性・売り上げは30%以上高く、離職率は51%低いという調査結果があるんです※1。つまり、従業員が幸せになると、従業員はもちろん、企業にとってもメリットがいっぱいなんですよ。

※1:出典 慶應義塾大学 前野隆司教授・前野マドカ 著書「ウェルビーイング」

 

人をつくろう

――プロジェクトにかける熱意の源を教えてください。

村社:私はこのプロジェクトに参加する前、ディスプレイのエンジニアで、2度の事業終了を味わっています。大好きなディスプレイからの業務変更や拠点異動では、悲しい思いをしました。そんな体験から、従業員の幸せはとても大切なものだと強く意識するようになったんです。

事業は、いつかは終わるものです。事業をやるのは人だから、人が変われば、事業も変わると思います。従業員みんながいい風に変わっていけば、事業もいい終わり方ができると思うし、継続の可能性だって出てくるかもしれません。

物をつくる前に、人をつくる。その重要性に気付いたタイミングで、私は「MAKE HAPPYプロジェクト」に参画することになりました。今、振り返ってみると、私の仕事人生のターニングポイントだったと思います。

風土改革ではなく、風土活性化

――プロジェクトを推進するうえで、こだわったポイントは?

村社:私が参画したのは、プロジェクト発足から2年後の2020年。当時、プロジェクトは社内で「風土改革」と呼ばれていましたが、私は改革という言葉に違和感を覚えました。改革には、今あるものを壊して、新しいものを持ってくるという意味合いがありますよね。でも、私たちの中にはいいものもあるので、いいものは生かして、足りないものだけを取り入れる方がいい。そこで、メンバーとアイデアを出し合い、「風土改革」から「風土活性化」と呼び名を変えました。

 

お手本は「感謝報恩の精神」

――風土活性化に生かしたいと思った「いいもの」とは?

村社:このプロジェクトで生かしているのは、パナソニックグループの経営理念に掲げられている松下幸之助の「七精神」です。七つある中で特にプロジェクトに通じるのは「感謝報恩の精神」。感謝報恩とは、互いに感謝し合って、多くの方からのご恩に報いる気持ちを持つこと。つまり、感謝されっぱなしではダメで、感謝の恩を周囲の人に返していくことが、真の幸福につながると松下幸之助は説いています。

感謝のおすそ分けに。「出逢いに感謝」メンバー自らが制作。
 

マスコットキャラクター「はっぴーさん®」

――「はっぴーさん®」の誕生秘話を教えてください。

小関:このゆるキャラ「はっぴーさん」は私が描きました。実は、私は絵を描くのは苦手なのですが、学ぶことは大好きで、仕事の傍ら芸術系の大学に通っていました。そこで、2020年当時に上司だった村社さんに「イラストで表現してみたら?」と言われて、試しに描いてみたんです。「はっぴーさん」はプロジェクトのロゴの真ん中にある黄色いボックスに、丸い体を付け加えたもの。ふと思いついて描いてみると、ひよこみたいに見えました。

そのイラストに「はっぴーさん」というファイル名を付けて、事務局の社内チャットにこっそり投稿してみると、メンバーの反応は予想以上に薄くて、「やってしまった!」と思いました。

MAKE HAPPY プロジェクトのマスコットキャラクター「はっぴーさん」の原画。
2020年12月8日、こせしおさんが事務局のTeamsに投稿した「はっぴーさん」。原画の段階から完成形ができあがっていた。

小関:でも、メンバーの1人が「かわいい」と喜んでくれて、「はっぴーさん」をあしらったバーチャル背景を作ると、プロジェクトメンバーがオンライン会議で使い始めました。そこから「はっぴーさん」はプロジェクトのマスコットキャラクターとして認識されていったように思います。

「はっぴーさん」をあしらったMAKE HAPPY プロジェクトのバーチャル背景。
バーチャル背景には、やさしい色合いのパステルカラーを採用。デザインやブランディングも、こせしおさんが担当。
 

「はっぴーさん®」で活動の輪が広がる

――「はっぴーさん®」が生まれて、活動に変化はありましたか?

MAKE HAPPY プロジェクトの賛同者がつくりあげた「はっぴーさん」のグッズたち。

村社:このプロジェクトでは、壁を作らず、公平でオープンであることも大切にしています。イベントには、パナソニック インダストリーの従業員だけでなく、パナソニックグループの従業員なら誰でも参加することができます。

小関:「はっぴーさん」のファンは社外にもいて、これまでに賛同者が「はっぴーさん」をモチーフにいろいろなグッズを作ってくれました。スタンプ、ペーパークラフト、ピアス、トランプカード、3Dプリンターで作った「はっぴーさん」……。
「はっぴーさん」が会社の枠を超えて広がっていることに、とても感動しています。

「はっぴーさん」をあしらったTシャツも自分で制作。グッズを配って、周囲にハッピーのおすそ分けも。
 

村社:メンバーが「はっぴーさん」のぬいぐるみを特注で作ってくれたのですが、これをみんなに手渡すと、従業員はもちろん、社長の坂本さんも、みんな一瞬で笑顔になります。こせしおさんが「はっぴーさん」をブランディングしてくれたおかげで、プロジェクトに参加しやすい雰囲気が生まれ、従業員にとって身近なプロジェクトとして認知されたと思います。そんな愛すべき「はっぴーさん」を皆さんに末永く大切に扱っていただくために、「はっぴーさん」の商標も取りました。これからも「はっぴーさん」を軸に活動を進めていきます。

*はっぴーさん は、パナソニックホールディングス(株)の登録商標です。

従業員の幸せの追求を企業文化に

――従業員の参加率を増やすために、トライしていることは?

村社:プロジェクトというのは一般的には一過性で、続かないものです。そこで、いくつもの賞に応募して、2022年には「HRテクノロジー大賞」を、2023年には「学生が選ぶ働きがいのある企業賞」を受賞しました。こうして第三者からの評価を得ることで、プロジェクトの継続につないでいます。また、プロジェクトをより永続的に推進できるように、「MAKE HAPPY風土活性課」という専門部署も立ち上げました。その組織名は、数十個のネーミング案の中から、組織の目的を明確化できるものを選びました。

――今後の展望を教えてください。

村社:現在は日本中心の活動ですが、将来的にはグローバルも含めて全従業員が参加できる活動を目指しています。従業員全員が自らの意思で参加できたら、このプロジェクトは風土活性化という概念を超えて、企業文化になっていくと思うんです。そんな日を目標に、プロジェクトメンバーと力を合わせ、これからも活動を続けていきます。