制度紹介

DXに使える補助金・助成金は?
賢く活用して効果的な取り組みにつなげる

公開日:2024 / 6 / 12

DX推進は現代企業にとって、将来への存続をかけた大きな課題です。すでに取り組みを進めている企業が多くみられるなか、資金面での不安から着手が遅れているという企業もあります。そこで検討したいのが、補助金や助成金の活用です。国や自治体では、企業DX推進をサポートするためさまざまな補助金・助成金を提供しています。

今回は、DXに使える補助金・助成金を紹介します。

補助金・助成金とは

はじめに補助金・助成金の概要と活用メリットを確認しましょう。

  補助金・助成金の概要

補助金・助成金は国や自治体が方針に従い、企業や組織の理想的な在り方を実現するための取り組みをサポートする制度です。施策に向けた資金の一部を給付し援助することを目的とします。

補助金と助成金は公的な支援策であり、金融機関による融資のように基本的に返済を求めていないという点では同じですが、管轄する機関や目的などに違いがみられます。

補助金は事業推進、地域活性化などが目的となっている場合が多いのに対して、助成金は雇用・労働環境関連、社会福祉関連の内容が多数です。そのため、補助金は経済産業省、助成金は厚生労働省と、中心となる管轄機関にも違いがあります。

受給の難易度の面でも違いがあり、助成金は申請において要件を満たせばかなりの確率で支給されますが、補助金の場合は審査で採択されなければ受けられません。

なお、補助金・助成金は多種多様な分野で設けられており、支援を確実に受けるためには自社事業や取り組みとマッチする内容を選ぶ必要があります。また、補助対象となる経費や支給額、補助率、上限額などは制度によって異なるため、事前に必ず確認するようにしましょう。

  補助金・助成金活用のメリット

補助金や助成金をDX推進に活用するメリットには、以下のようなものがあります。対象となる場合は、積極的に活用したいところです。

  • 資金調達がしやすくなる

    DX推進は現代企業にとって必須ともいえる課題ですが、どのような取り組み方をするにしても資金の確保を念頭に置かなければなりません。自己資金だけで不足する部分を、ITツール、人件費など内容に応じた補助金・助成金の活用により、賄うことが可能です。

  • DXへの取り組みへのハードルを下げられる

    上記と関連しますが、DX推進には導入費用や人材育成などのコストがかかり、企業によってはDXの着手を阻む要素となりえます。補助金・助成金を活用することで、これらのコストを軽減し、DX推進のハードルを下げられます。

  • 効果的なDX推進につながる

    補助金・助成金の申請には、多くのケースで事業計画書の提出が求められます。事業計画書を作成する過程で、自社のDX推進の目的や当面の目標が明確になり、具体性が高められることで、より効果的な施策の実施につながる可能性があります。

DXに使える補助金・助成金5選

DXに使える補助金・助成金を5つピックアップして紹介します。各補助金・助成金には複数の累計、枠、コースなどがあり、こちらで紹介するのは一例です(※2024年3月1日現在)。

  IT導入補助金(通常枠)

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者などのIT導入による生産性向上を支援する補助金です。DX推進のためのITツール導入に活用でき、OCRツールの導入にも利用できます。

  • 補助対象経費:事業のデジタル化を目的としたソフトウェア購入費、クラウド利用料のほか、データ連携ツールの導入、セキュリティ対策、設定・マニュアル作成、研修実施といった関連費用
  • 補助率:2 / 1以内
  • 補助額:1プロセス(※)以上:5万円以上150万円未満、4プロセス以上:150万円以上450万円

※ ここでいうプロセスとは、例えば「顧客対応・販売支援」「会計・財務・経営」などの業務プロセスを指します。

  ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(製品・サービス高付加価値化枠・成長分野進出類型:DX・GX)

通称ものづくり補助金では、中小企業・小規模事業者などの経営革新や生産性向上を支援します。成長分野進出類型(DX・GX)は、今後成長が見込まれるDX・GX分野への支援を行うもので、DX推進のための下記補助対象経費に該当するものに活用可能です。OCRツールの導入も対象となります。

  • 補助対象経費:顧客に新しい価値を提供するような製品・サービス開発のために必要な設備・システムになどにかかる費用
  • 補助率:2 / 3
  • 補助上限額:従業員数5人以下:1,000万円(+最大100万円)同6~20人:1,500万円(+最大250万円)同21人以上:2,500万円(+最大1,000万円)

※カッコ内は大幅賃上げを行う場合の特例にかかる引き上げ額

  事業再構築補助金(成長枠)

事業再構築補助金は、コロナ禍を経た経済社会の変化に対応するために、事業の再構築に取り組む中小企業などを支援する補助金です。DX推進のための設備投資や外注などにも活用できます。OCRツール導入についても、対象となる可能性があります。

  • 補助対象経費:建物費、機械装置・システム構築費、技術導入費、外注費、広告宣伝費・販売促進費、研修費など
  • 補助率:中小企業1 / 2(2 / 3)、中堅企業 1 / 3(1 / 2)
    ※ カッコ内は大規模な賃上げを行う場合の補助率
  • 補助上限額:従業員数20人以下 100万円~2,000万円 同21~50人 100 万円~4,000 万円 同51~100人 100万円~ 5,000万円 同101人以上 100万円~7,000万円

  小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者などが今後直面する複数の制度変更への対応のための経営革新や販路拡大などを支援する補助金です。DX推進のための設備投資や外注費などにも活用できます。OCRツール導入についても、対象となる可能性があります。

  • 補助対象経費:機械装置等費、ウェブサイト関連費、新製品開発費、資料購入費、借料、設備処分費、委託・外注費など。
  • 補助率:2 / 3
  • 補助上限額:50万円(+50万円)
    ※ カッコ内は一定の要件を満たす事業者を対象に、インボイス特例として上乗せされる補助金額

  キャリアアップ助成金(正社員化コース)

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の処遇改善、スキルアップやキャリアアップなどを支援します。正社員化コースは、有期雇用労働者など正規雇用労働者に転換した場合に支給される助成金です。助成金の用途については特に明記されていないため、例えばDX推進に必要な人材確保や育成、あるいはOCRツールの導入などにも活用できるでしょう。

  • 補助対象経費:有期雇用労働者などを正規雇用労働者に転換した場合にかかる費用
  • 補助金額:有期→正規:1人あたり80万円(60万円) 無期→正規:1人あたり40万円(30万円)
  • 補助上限額:50万円(+50万円)
    ※ カッコ内は大企業の場合の補助金額

    なお、新たに正社員転換制度の導入に取り組んだ事業者や、勤務地限定短時間正社員といった多様な働き方に対応するための制度導入のうえ、正社員化に取り組んだ事業者には別途加算額が設定されています。

  • 補助上限:1年度1事業所当たりの支給申請上限人数20名

    参考:キャリアアップ助成金

各補助金・助成金の補助対象経費や補助率などは、枠や類型、コース、従業員数などさまざまな要素で異なります。支給要件も大きく違ってきますので、利用を検討する際は、事前にしっかりと確認することが重要です。

DX向けの補助金・助成金の申請から受給の流れ

DX向けの補助金・助成金の申請から受給までの一般的な流れを説明します。

  1. 補助金・助成金の選定

    自社が対象となりそうな補助金・助成金を探します。補助金・助成金にはさまざまな種類があり、対象となる事業者や補助対象経費、補助率などが異なるため、自社の事業内容やニーズに合ったものを選定する必要があります。

  2. 事業計画書の作成(主に補助金)

    補助金の申請では、多くのケースで事業計画書の提出が求められます。事業計画書の主な内容は以下のとおりです。

    • 事業の概要
    • 事業の目的
    • 事業の目標
    • 事業の実施体制
    • 事業の実施スケジュール
    • 事業の予算
    • 事業の効果

    事業計画書は審査において重要です。審査基準を理解し、認められる事業計画書を作成することが大切です。

  3. 申請書類の準備と提出

    事業計画書のほか、各補助金・助成金の募集要項に記載されている必要書類を準備します。

  4. 審査

    提出した申請書類をもとに、審査委員によって審査されます。

  5. 採択通知

    審査の結果、採択された事業者には、採択通知が送付されます。採択通知が届いたら、指定された期日までに採択承諾書を提出します。

  6. 事業の実施

    採択された事業者は、事業計画などに沿って事業を実施します。事業の実施中は、補助金・助成金の事務局から指導や助言を受ける場合があります。

  7. 事業実績報告

    事業を実施した後、事業実績報告書を提出します。事業実績報告書には、事業の実施内容や成果などを記載します。

  8. 補助金の交付

    事業実績報告書の審査の結果、補助金・助成金の交付が決定したら補助金・助成金が入金されます。

DX向けの補助金・助成金を使う際の注意点

補助金・助成金を使う際は次のような点に注意が必要です。

  • 種類や対象をよく確認する

    各補助金・助成金で対象となる事業者や補助対象経費、補助率などが異なります。事業が対象外では審査が通らないため、申請前に必ず募集要項をよく確認し、自社が対象となるかどうかを判断することが大切です。

  • 申請期間や提出書類を把握する

    補助金・助成金の申請には、一定の期間内に、申請書や事業計画書、見積書など必要な書類を提出する必要があります。申請期間や提出書類を把握し、余裕を持って準備を進めるようにします。

  • 審査基準を理解する

    補助金・助成金の審査では、事業計画の実現可能性や効果の検証などが重視されます。申請前に審査基準の十分な理解のもと、事業計画書など必要な書類を作成することが重要です。

  • 支給時期を把握する

    支給は多くの場合、審査を通過し、事業報告が公正と認められた後となります。基本的に資金は立て替える必要があることに注意が必要です。

  • 外部専門家の活用

    補助金・助成金の申請や事業計画の策定など、専門的な知識やノウハウが必要な場合は、外部専門家の活用を検討するのが有効です。全体的な流れの理解やDX推進への的確なアドバイスも期待できます。

DX実現への推進力を高める補助金・助成金の活用

DX推進は、企業の競争力を高めるために欠かせない取り組みです。補助金・助成金を活用することで資金面の不安を軽減し、DX推進のハードルを下げられます。一方で、補助金・助成金を活用するにあたっては、一般的な融資にはない条件についての理解が必要です。こちらで示した注意点を踏まえ、DX実現に向けた効果的な補助金・助成金の活用を図りましょう。

パナソニック ソリューションテクノロジーが提供するOCRツールの導入にも、補助金・助成金が利用できる場合があります。DX推進へ向けて、まずはOCRツールの導入をご検討されている場合は、補助金・助成金についてもあわせてご相談ください。

関連記事

パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社では、注文書や請求書などの入力や転記作業に対応した「WisOCR for 注文書・請求書」と、申込書や作業報告書・検査表などのあらゆる紙帳票の入力や転記作業に対応した「WisOCR」という2つのAI-OCR製品をご用意しております。AI-OCRの導入を検討されている方は、ぜひ一度お問い合わせください。

AI-OCRのお役立ち資料

AI-OCRの社内導入に向けて
稟議書に記載すべき3つの要素

データ入力業務の効率化を目的に「WisOCR for 注文書・請求書」を導入する際、社内向けの稟議書作成でお役立ていただける内容となっております。

AI-OCRの導入前、必ずトライアルで
確認しておきたい3つのポイント

トラブルを未然に防ぐために、AI-OCRの導入前にトライアルでチェックしておきたい3つのポイントについて、詳しく解説します。

注文書・請求書のDXで乗り越えるべき3つのハードルとは!?

注文書・請求書のDXにおける“ハードル”と、その乗り越え方について解説していきます。
 

OCRソフトをお探しの方、OCR機能の組み込み開発をご検討中の方
お気軽にお問い合わせください!