導入効果 活用例
スキャンデータをOCR処理することで得られるメリットとは?
公開日:2023 / 7 / 21更新日:2024 / 1 / 19
従来、手書きの帳票など紙の書類をデジタル化するには、手作業による大量のデータ入力が必要でした。取引先によっては紙の帳票もまだまだ多く、そのデータをシステムに入力するため、今も手作業が必要な企業も多いでしょう。
しかし、これでは作業に大きな手間や時間がかかり、ミスも防げません。帳票を電子化して内容をテキストデータとして抽出すれば、データ入力の手間を大きく省けるため、大きな業務効率化につながるでしょう。そのためには、スキャンだけでなくOCR処理が必須です。本記事では、OCR処理で何ができるのか、OCR処理のメリット、業務効率化の具体例などを紹介します。
OCR処理することでスキャンしたデータを文字として認識できる
OCR処理により、書類の内容をテキストデータとして認識できるようになります。
画像を文字として認識すること
紙の書類をスキャンするだけでも、デジタルデータと呼ぶことができます。しかしそれは、スキャンした面を丸ごと1枚の画像データにしたものです。このままでは、画像としての処理しかできません。
書類の内容をデータとして処理し、編集・検索などの操作をしたい場合は、まず画像としての文字をテキストデータに変換し、内容を抽出する必要があります。それを可能にしたのがOCR処理です。
OCR処理を行うことで、書類の内容をデータとして処理できるようになり、テキストファイル、Word文書(.doc)、Excel(.xls)、PDF(.pdf)などの、さまざまなファイル形式に変換することが可能です。
OCR処理による文字認識のステップについては、次の記事をご参照ください。
OCRによる文字認識が注目されている背景とは
OCR自体は昔からある技術ですが、最近になって注目され、導入する企業が増えてきました。そこには次のような背景があります。
- 業務効率化の必要性
OCR処理により、紙の帳票を画像データにするだけでなく、その内容をテキストデータとして抽出できます。それによって、これまで従業員が手作業で行っていたデータ入力作業を効率化することが可能になりました。
人手不足が問題となっている昨今、手作業で時間をかけて行われるデータ入力を効率化し、自動化につながる技術として注目されています。 - 働き方改革、テレワークの推進
OCR処理で紙の書類をデータ化すれば、内容をデータサーバーに保存できます。それによって、リモートアクセスなどの環境を整えれば、オフィス以外の場所でも業務が可能になりました。
これはテレワークの推進や働き方改革の実現につながります。 - ペーパーレス化の推進
OCR処理で紙の書類をデータ化してサーバーに保存すれば、紙の書類は不要になります。データ化によって保存の省スペース化もできるため、管理が容易になります。
OCRの導入は、ペーパーレス化の推進にもつながるのです。 - AI-OCRの登場
従来のOCRにAIを組み合わせたAI-OCRが登場したことも、OCRの普及につながっています。
AI-OCRにより、従来型のOCRでは認識しにくかった手書き文字や、非定型のフォーマットにも対応できるようになるなど、文字の認識精度が大きく向上しました。OCRの機能が向上してより実用的になったことで、導入する企業も増えています。 - 電子帳簿保存法の改正
2022年に改正された「電子帳簿保存法」で、請求書、領収書などの帳票類は電子化して保存することが義務化されました。そのため、取引先とのやりとりに使う紙の書類をスキャンして電子化し、システムで利用したいという需要が増え、OCRが必要になっています。
参考:
スキャンした画像データをOCR処理で文字認識するメリットとは
画像データをOCR処理で文字認識することで、次のようなメリットを得られます。
- 入力業務を効率化できる
スキャンとOCR処理による文字認識を組み合わせることで、データ入力の作業を大きく効率化できます。従業員がテキストデータ化を行う必要はなく、作業はテキストデータの確認・修正のみとなるため、作業時間を大幅に削減可能です。
また、手作業による入力ミスや抜けもれなども削減できます。 - 検索ができる
画像データのままではなく、テキストデータに変換、埋め込みを行うことで全文検索が可能になります。大量にデータがあっても、すぐに必要なものを参照することが可能です。 - 編集ができる
テキストデータに変換することで、コピー、貼り付け、追加、削除などの編集が可能になります。内容の更新や修正がある場合でも、既存の書類を編集して改訂版を作成することが可能です。 - もとの書類を復元可能
古くて紙が劣化している書類でも、スキャンすることでデータとして保存可能です。
データ化しておけば、書類が必要になった場合も、傷んだ紙の書類(原本)ではなく、データから復元したものを利用できます。それによって、原本の劣化や紛失といった懸念も解消されます。
OCR処理による業務効率化の具体例
企業にOCRを導入することで、次のような部分での業務効率化が可能になります。以下の具体例はいずれも、業種・業界を問わずに行われる業務です。
経理・会計業務の効率化
注文書や請求書などの帳票をスキャンしてOCR処理することで、内容をテキストデータ化し、会計システムなどにデータを入力しやすくできます。
また、帳票を電子化することで、日次処理だけでなく、決算処理の効率化も可能です。これによって決算期の労働時間も削減できます。
処理の自動化が進めば、繁忙期でも従業員の負担を軽減でき、人手不足の解消につなげることが可能です。
紙や手書き資料のデジタル化による検索性向上
紙の資料をOCR処理してテキストデータにすることで、全文検索が可能になります。それによって、大量のデータがあっても探している情報をすぐに取り出せます。また、紙の資料に比べ保存場所が縮小するため、管理も容易になります。
各種システムへのデータの自動入力
帳票類や書類をスキャンしてOCR処理することで、テキストデータ、つまりデータベースに入力しやすい形式に変換できます。一度テキストデータにすれば、API連携やCSV取り込みを利用して、次の処理を行う業務システムに自動的に入力することが可能です。
RPAと組み合わせれば、スキャン、OCR処理、データ入力までのワークフローを全自動化することもできます。
この方法で、帳票の処理や登録・申込用紙の処理など、データ入力から登録処理の大部分を自動化できます。これは大きな業務効率化につながります。
RPAとの連携については、次の記事をご参照ください。
紙の書類をデジタル化するにはスキャンだけでなくOCR処理が必須
多くの企業が紙の書類をデジタル化でペーパーレス化しようとしています。しかし、ただスキャンするだけでは画像データでしかありません。デジタル化のメリットを生かすには、OCR処理によるテキストデータの抽出が必須といえます。そうすることで、初めてデータとして活用できるからです。
OCR処理で紙の書類をテキストデータ化できれば、その後の処理を自動化することも可能で、大きな業務効率化につながります。まだ紙の書類が残っている現場では、OCRを導入してテキストデータ化し、業務効率化を実現することをおすすめします。
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