ノウハウ
アンケート結果のデータ化にはOCRが役立つ!活用のメリットや注意点を解説
公開日:2023 / 11 / 27更新日:2024 / 1 / 19
最近は入力型のアンケートも多くなりましたが、セミナーや展覧会の出席者、店舗におけるアンケートなどでは手書きによるものも少なくありません。手書きのままでは集計や分析に手間がかかり、正確な結果を得るのが難しいため、データ化の必要性を感じる人も多いでしょう。
今回は、アンケート結果のデータ化に役立つ情報として、OCRをおすすめする理由や実施の際の注意点を解説します。
アンケート結果をデータ化する方法
アンケート結果をデータ化するにはどのような方法があるのかを紹介します。
OCRの活用
OCR(Optical Character Recognition)とは、文字認識技術の一種で、印刷された文書や手書きの文字を光学的に読み取り、テキストデータに変換する技術です。光学文字認識とも呼ばれます。
スキャンしたアンケートから文字を自動的に認識し、データ化できるため効率的な作業が可能となります。
これまで手書き文字の認識は、OCRの課題の一つとされてきました。手書き文字は人によりくせがあるため、機械的な認識が難しい場合があるためです。不特定多数を対象としたアンケートでは、読み取り不全による誤認識が発生する可能性があります。
しかし現在では、深層学習により高精度な文字認識やレイアウト解析を可能とするAI-OCRが主流となってきており、OCRの弱点が克服されつつあります。
OCRとAI-OCRの違いについて詳しくは、次の記事をご覧ください。
手動で入力
手書きのアンケートを目視しながら、Excelなどに手動で入力する方法です。多くのPCに搭載されているオフィスソフトを使うため環境を選びませんが、作業に時間がかかります。また誤入力や見落としといった誤りが生じる可能性もあるため、大規模なアンケートの処理には適していません。
アンケートアプリケーション・サービスの使用
オンラインアンケートツールやモバイルアプリケーションを使用して、デジタルアンケートを作成し、回答を収集する方法です。データは最初からデジタル形式で収集されるため、手書きのデータ化作業が不要となります。
アウトソーシング
手書きのアンケート結果のデータ化を、外部事業者にアウトソースする方法です。データ入力やOCRにより、品質が担保されたデータとして提供されます。ただし、社内で処理するよりコストが高くなるケースがある、社外に依頼することによる情報漏えいリスクが懸念されるなどのデメリットもあります。
アンケート結果のデータ化にOCRを使うメリット
アンケート結果のデータ化にOCRを使うことで、以下のようなメリットがあります。
自動化による生産性の向上
OCRを使用することで、アンケート結果の手動入力にかかる手間と時間を大幅に削減できます。大量のアンケート結果を迅速にデータ化できるため、集計作業にスムーズに入ることができ、生産性が向上します。特に大規模なアンケート調査において、手動入力では非現実的な量にも対応可能です。
データの信頼性の確保
OCRで最初のデータ化を行い、人が内容の確認修正を行うため、通常の手入力作業に比べ、誤入力を軽減できます。タイプミスや誤ったデータの混入の恐れが軽減され、データの正確性と信頼性が向上すると同時に、数値の誤りといった致命的なミスを排除できます。正確なデータを得ることで、アンケートを実施する本来の目的が果たされやすく、ビジネスにおける意思決定や戦略策定に貢献できるでしょう。
データ活用による迅速な結果分析
OCRによってデジタル化されたアンケート結果はテキストデータとして出力されるため、統計解析ソフトウェアにインポートが可能です。プロセスの簡便化によるデータの迅速な分析、そして分析結果の活用までがスピードアップします。アンケート結果の迅速な分析は、リアルタイムな意見、ニーズの集約をもたらし、戦略の調整や改善策の導入に役立ちます。
データの保存とバックアップ
手書きからデータ化されることで、保存およびバックアップができるようになります。劣化や紛失のリスクがある紙のアンケート用紙に比べ、安全かつ永続的な保管が可能です。クラウドストレージや各端末へのデータの分散化がしやすくなり、重要な情報の保護に役立ちます。
検索性の向上
デジタル化されたテキストは、検索可能です。特定のキーワードやフレーズを含む回答を容易に見つけられ、必要に応じて情報を抽出しやすくなります。特定のトピックや傾向に関するデータを素早く検索できれば、情報利用の用途が広がり、アンケート結果を多角的かつ有益に活用できるでしょう。
アンケート結果のデータ化に限らず、OCR導入にはさまざまなメリットがあります。詳しくは次の記事をご覧ください。
アンケート結果のデータ化にOCRを使う際の注意点
アンケート結果のデータ化にOCRを使う際に注意したいポイントを解説します。
アンケートの形式
手書きのアンケートをOCRで処理する場合、くせ字や文字上の汚れ、文字の質や書き方に注意が必要です。手書き文字は印刷された文字に比べると読み取りが難しく、誤認識しやすい傾向があります。誤認識を最小限に抑えるために、楷書体での記載、決められた場所への記入など、運用面でもフォローすることが求められます。たとえば記載箇所の背景にガイドラインを設ける、記入例を表記するといった施策の検討が必要です。
活字入力で回答されたアンケートの場合も、読み取り可能なフォントと適切な文字サイズを使用するなど、入力に際してOCR処理を意識する必要があります。
スキャンの品質
スキャンの品質はOCRによる処理結果に大きく影響します。
- スキャン解像度:スキャナーの解像度が低すぎると文字が不明瞭になり、認識精度が低下します。文書の取り扱いでは、通常、300DPI以上が推奨です。
- 歪みのチェック:スキャンしたアンケートに歪みがあると、文字やデータがひずんで認識される可能性があります。正しい読み取り結果を取得するためにも、必要に応じて補正を行いましょう。
- キャン時の設定:適切なフォーマット、色設定、およびコントラスト設定を使用して、最適なスキャン品質を確保します。自動トーン調整や色の補正機能など、テスト結果を見ながら適宜使用しましょう。
- アンケート用紙の状態:アンケート用紙が汚れていたり破れていたりすると、認識が難しくなります。アンケート用紙の状態を確認し、必要に応じて修復や代替用紙の使用を検討しましょう。
データのセキュリティとプライバシー
アンケートには個人情報が含まれる場合があります。その場合にはデータのセキュリティとプライバシーに対する配慮が必要です。
スキャンしたデータを保管する際にはセキュリティを確保するため、データベースやファイルの暗号化、アクセス制御などの設定が必要です。データへのアクセス権を管理し、不正アクセスや情報流出を防ぎます。
個人情報を含むデータを処理する場合は、個人情報の取り扱いについての規則を順守します。アンケート実施に先立ち、プライバシーに関する法律や規制に対するコンプライアンスの指導やルール策定が必要です。
OCRを活用して効率的にデータ化しスムーズなアンケート集計・分析につなげよう
手書きアンケートをデータ化することで、集計や分析をスピーディーかつ正確に実施できます。効率的に進めるためには、OCRの活用がおすすめです。導入に当たっては注意点を考慮し、設計段階からOCR利用を意識したアンケート作りを目指します。OCRを上手に活用し、データの品質を維持しながら、信頼性の高い集計結果を得ていきましょう。
なお、アンケートのデータ化・集計でよくある問題を次の記事で紹介しています。アンケート実施の際の参考に、ぜひご覧ください。
関連記事
パナソニック ソリューションテクノロジー株式会社では、注文書や請求書などの入力や転記作業に対応した「WisOCR for 注文書・請求書」と、申込書や作業報告書・検査表などのあらゆる紙帳票の入力や転記作業に対応した「WisOCR」という2つのAI-OCR製品をご用意しております。AI-OCRの導入を検討されている方は、ぜひ一度お問い合わせください。
AI-OCRのお役立ち資料
AI-OCRの社内導入に向けて
稟議書に記載すべき3つの要素
データ入力業務の効率化を目的に「WisOCR for 注文書・請求書」を導入する際、社内向けの稟議書作成でお役立ていただける内容となっております。
AI-OCRの導入前、必ずトライアルで
確認しておきたい3つのポイント
トラブルを未然に防ぐために、AI-OCRの導入前にトライアルでチェックしておきたい3つのポイントについて、詳しく解説します。
注文書・請求書のDXで乗り越えるべき3つのハードルとは!?
注文書・請求書のDXにおける“ハードル”と、その乗り越え方について解説していきます。
OCRソフトをお探しの方、OCR機能の組み込み開発をご検討中の方
お気軽にお問い合わせください!