負担軽減と品質向上を目指した
計18台のお掃除ロボットと障がい者と
清掃ソリューション | | | RULO Pro | | | Panasonic XC KADOMA | | | 2024.4 |
負担軽減と品質向上を目指した
計18台のお掃除ロボットと障がい者と
清掃ソリューション | | | RULO Pro | | |
Panasonic XC KADOMA | | | 2024.4 |
INTERVIEW
パナソニック ハートファームアソシエイツ株式会社
上記写真左から、パナソニック ハートファームアソシエイツの藤井さん、
大阪美化推進部 PXCビルチームの中道さん、吉村さん、村井さん、中村さん、大盛さん
INTERVIEW
パナソニック ハートファームアソシエイツ株式会社
上記写真左から、パナソニック ハートファームアソシエイツの藤井さん、
大阪美化推進部 PXCビルチームの中道さん、吉村さん、村井さん、中村さん、大盛さん
OVERVIEW
Panasonic XC KADOMA
所在地:大阪府門真元町22-6
京阪電車・西三荘駅、北出口側の真ん前に位置する。7階建て、延べ床面積24,471m2。社員の働きやすさを考慮した設計を施し、各階の吹き抜け周りにはテラススペースを設け、日光や風など自然が感じられる空間を創造した。至るところで社員同士の対面での意見交換やリラックスできる場も設けている。

OVERVIEW
Panasonic XC KADOMA
所在地:大阪府門真元町22-6
京阪電車・西三荘駅、北出口側の真ん前に位置する。7階建て、延べ床面積24,471m2。社員の働きやすさを考慮した設計を施し、各階の吹き抜け周りにはテラススペースを設け、日光や風など自然が感じられる空間を創造した。至るところで社員同士の対面での意見交換やリラックスできる場も設けている。

本記事は、月刊ビルクリーニング2024年4月号に掲載された記事です。
昨年5月に開設されたパナソニックホールディングス株式会社の新社屋「Panasonic XC KADOMA」。この施設の一部の管理を知的障がいの現場スタッフ5名とパナソニックのお掃除ロボット「RULO Pro」「RULO Biz」が活躍している。多様性を目指すその働きぶりと活躍の裏側を取材した。
新築ビルの施設管理
大阪府門真市に完成したパナソニックホールディングス株式会社の新社屋「Panasonic XC KADOMA」(以下、PXC門真ビル)。地域や環境との共生、新たな働きかたを体現できるモデルオフィスとして、2023年の5月に開設された。
1階と2階は、地域に開放されたコミュニティスペースで、今年度中に門真元町郵便局が移転となり、さらには最寄り駅の京阪電鉄・西三荘駅が連絡通路でつながる予定で、駅の利用者や市民が郵便局や社屋内の店舗を利用できるようになる。また、1階と2階は「X-PLAZA」と呼称されたエントランスホールとなっており、イベント時には観覧席としても使える大階段を有している。
3階から7階は専用部のオフィスフロア。将来的にグループ会社から1,700人が入居する予定だ。
こうした新社屋建設の狙いのひとつは、パナソニックグループ共通のDEIポリシーの実現に向けた動きによるものである。この“DEI”というのは、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字から成り立ち、「挑戦する人と組織の成功」「多様な人材がそれぞれの力を最大限発揮できる最も働きがいのある社会」になることを目指して事業運営を推進している。
事実、PXC門真ビルの施設管理の視点からもこのDEIポリシーの実現を目的に、障がい者スタッフがお掃除ロボットを用いた新たな挑戦をスタートさせた。
清掃機器そのものが初めて!!
PXC門真ビルを管理するのは、パナソニック ファシリティーズだ。同社から清掃業務を委託している会社が2社あり、そのうちの1社が、パナソニック ホールディングスの特例子会社であるパナソニック ハートファームアソシエイツ(以下、パナソニック ハートファーム)である。
同施設では、前述したDEIポリシーの実現に向けてお掃除ロボットを活用し、障がいのある方の活躍の場を広げ、自立を支援する取り組みを推進している。パナソニック ハートファームの主な清掃範囲は、外周、1階、2階の「X-PLAZA」と3階から7階の共用部を担当。また、お掃除ロボット「RULO Pro」1台と業務用小型ロボット掃除機「RULO Biz」17台の管理を担い、総勢6名のチームで清掃業務にあたる。行動指針目標は「安全で丁寧な仕事を心がけよう!」と定め、そこにプラス「カッコよく仕事をしよう!」とした。チームをまとめるのがリーダーの吉村文雄さんだ。
「実は、障がい者5名と私も含めて機械物を使った清掃作業が初めてでした。当然、まずはお掃除ロボットを触って、覚えて、それから彼らに教えるということもしなければなりません。作業マニュアルは何回作り直したのか、覚えていませんね」

同社では、お掃除ロボットに限らず、作業手順書やマニュアルというものにこだわり、どの清掃用具でもそれをどう使って、どういった作業をするのかという個別のマニュアルも作成しているという。取締役である藤井賢哉さんは、「写真や文字で作業をきちんと可視化することで仕事がスムーズにいきます」と話す。
また、同社の方針としてもお掃除ロボットをきちんと戦力化するために、現場スタッフの理解を高めながら、当人たちが考え、対処することが重要と考えていた。
しかしながら、お掃除ロボットを扱うにあたって、「どのボタンを押せばいいのか」というそもそもの課題にぶつかったのである。
「RULO Pro」1台の運用
パナソニック ハートファームでは、2人1組による専業パートナーを振り分けることにした。「RULO Pro」班、「RULO Biz」班、そして「ごみ分別回収班」の3チームでそれぞれの専業に注力しつつ、巡回清掃を行い、さらには屋外の除草や落ち葉・ごみ回収なども並行して行う。
RULO Proの稼働
1階、2階の共用部で動くのが「RULO Pro」である。担当は、チームのなかでも清掃歴が長い中道裕一さんと大盛雅俊さんの両名。稼働時間は、12時40分からスタートし、2階を約1時間かけて除塵し、その後、1階に移動させ2時間の除塵作業を任せている。
その間、両名は自律運転するRULO Proを尻目に、フロア内のテーブルや椅子、棚などを清掃し、さらにはRULO Proが除塵できない段差がある床の上の除塵、モップがけ、細かいところはハンディクリーナーを用いて、人とロボットの得手不得手を補っている。

RULO Proの片付け
3時間の自律運転後は、本体のメンテナンスを欠かすことがない。ケアするのは、粗ごみが溜まるダストボックスの片付けと本体底面、前面、側面にあるセンサーの拭き取り。これに加えて、あらかじめ充電をしている予備バッテリーと交換し、1日の作業は終了となる。

RULO Pro運用の実際
RULO Proの運用を進めるなかで、吉村さんいわく、「エラーコードが表示されたときの対処に苦労した」という。動作途中に「U12」や「U34」などのエラーコードが表示され、そのコードに応じて原因を特定し、対処することが求められる。RULO Pro班は、エラーコード表を覚え、都度対処するのだという。
中道さんは、「吉村さんが準備してくれたマニュアルがあるので、エラーが出ても『何とかなるやろう』と前向きな姿勢で対応しています」と話す一方、自身も含め、大盛さんもその使用感を吉村さんにフィードバックし、その都度、作業マニュアルを見直したという。
また、当初の操作ボタンすらわからないという状況からマニュアルを作成し、使いこなしていくなかで、中道さんは、RULO Proがパトライトを光らせながら、「オソウジチュウです」というアナウンスをしながら清掃する姿を見て、“DJ Pro”という愛称をつけ、可愛がっている。
本記事は、月刊ビルクリーニング2024年4月号に掲載された記事です。
昨年5月に開設されたパナソニックホールディングス株式会社の新社屋「Panasonic XC KADOMA」。この施設の一部の管理を知的障がいの現場スタッフ5名とパナソニックのお掃除ロボット「RULO Pro」「RULO Biz」が活躍している。多様性を目指すその働きぶりと活躍の裏側を取材した。
新築ビルの施設管理
大阪府門真市に完成したパナソニックホールディングス株式会社の新社屋「Panasonic XC KADOMA」(以下、PXC門真ビル)。地域や環境との共生、新たな働きかたを体現できるモデルオフィスとして、2023年の5月に開設された。
1階と2階は、地域に開放されたコミュニティスペースで、今年度中に門真元町郵便局が移転となり、さらには最寄り駅の京阪電鉄・西三荘駅が連絡通路でつながる予定で、駅の利用者や市民が郵便局や社屋内の店舗を利用できるようになる。また、1階と2階は「X-PLAZA」と呼称されたエントランスホールとなっており、イベント時には観覧席としても使える大階段を有している。
3階から7階は専用部のオフィスフロア。将来的にグループ会社から1,700人が入居する予定だ。
こうした新社屋建設の狙いのひとつは、パナソニックグループ共通のDEIポリシーの実現に向けた動きによるものである。この“DEI”というのは、Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)の頭文字から成り立ち、「挑戦する人と組織の成功」「多様な人材がそれぞれの力を最大限発揮できる最も働きがいのある社会」になることを目指して事業運営を推進している。
事実、PXC門真ビルの施設管理の視点からもこのDEIポリシーの実現を目的に、障がい者スタッフがお掃除ロボットを用いた新たな挑戦をスタートさせた。
清掃機器そのものが初めて!!
PXC門真ビルを管理するのは、パナソニック ファシリティーズだ。同社から清掃業務を委託している会社が2社あり、そのうちの1社が、パナソニック ホールディングスの特例子会社であるパナソニック ハートファームアソシエイツ(以下、パナソニック ハートファーム)である。
同施設では、前述したDEIポリシーの実現に向けてお掃除ロボットを活用し、障がいのある方の活躍の場を広げ、自立を支援する取り組みを推進している。パナソニック ハートファームの主な清掃範囲は、外周、1階、2階の「X-PLAZA」と3階から7階の共用部を担当。また、お掃除ロボット「RULO Pro」1台と業務用小型ロボット掃除機「RULO Biz」17台の管理を担い、総勢6名のチームで清掃業務にあたる。行動指針目標は「安全で丁寧な仕事を心がけよう!」と定め、そこにプラス「カッコよく仕事をしよう!」とした。チームをまとめるのがリーダーの吉村文雄さんだ。
「実は、障がい者5名と私も含めて機械物を使った清掃作業が初めてでした。当然、まずはお掃除ロボットを触って、覚えて、それから彼らに教えるということもしなければなりません。作業マニュアルは何回作り直したのか、覚えていませんね」

同社では、お掃除ロボットに限らず、作業手順書やマニュアルというものにこだわり、どの清掃用具でもそれをどう使って、どういった作業をするのかという個別のマニュアルも作成しているという。取締役である藤井賢哉さんは、「写真や文字で作業をきちんと可視化することで仕事がスムーズにいきます」と話す。
また、同社の方針としてもお掃除ロボットをきちんと戦力化するために、現場スタッフの理解を高めながら、当人たちが考え、対処することが重要と考えていた。
しかしながら、お掃除ロボットを扱うにあたって、「どのボタンを押せばいいのか」というそもそもの課題にぶつかったのである。
「RULO Pro」1台の運用
パナソニック ハートファームでは、2人1組による専業パートナーを振り分けることにした。「RULO Pro」班、「RULO Biz」班、そして「ごみ分別回収班」の3チームでそれぞれの専業に注力しつつ、巡回清掃を行い、さらには屋外の除草や落ち葉・ごみ回収なども並行して行う。
RULO Proの稼働
1階、2階の共用部で動くのが「RULO Pro」である。担当は、チームのなかでも清掃歴が長い中道裕一さんと大盛雅俊さんの両名。稼働時間は、12時40分からスタートし、2階を約1時間かけて除塵し、その後、1階に移動させ2時間の除塵作業を任せている。
その間、両名は自律運転するRULO Proを尻目に、フロア内のテーブルや椅子、棚などを清掃し、さらにはRULO Proが除塵できない段差がある床の上の除塵、モップがけ、細かいところはハンディクリーナーを用いて、人とロボットの得手不得手を補っている。

RULO Proの片付け
3時間の自律運転後は、本体のメンテナンスを欠かすことがない。ケアするのは、粗ごみが溜まるダストボックスの片付けと本体底面、前面、側面にあるセンサーの拭き取り。これに加えて、あらかじめ充電をしている予備バッテリーと交換し、1日の作業は終了となる。

RULO Pro運用の実際
RULO Proの運用を進めるなかで、吉村さんいわく、「エラーコードが表示されたときの対処に苦労した」という。動作途中に「U12」や「U34」などのエラーコードが表示され、そのコードに応じて原因を特定し、対処することが求められる。RULO Pro班は、エラーコード表を覚え、都度対処するのだという。
中道さんは、「吉村さんが準備してくれたマニュアルがあるので、エラーが出ても『何とかなるやろう』と前向きな姿勢で対応しています」と話す一方、自身も含め、大盛さんもその使用感を吉村さんにフィードバックし、その都度、作業マニュアルを見直したという。
また、当初の操作ボタンすらわからないという状況からマニュアルを作成し、使いこなしていくなかで、中道さんは、RULO Proがパトライトを光らせながら、「オソウジチュウです」というアナウンスをしながら清掃する姿を見て、“DJ Pro”という愛称をつけ、可愛がっている。
「RULO Biz」17台の運用
RULO Bizの稼働
吉村さんと村井一心さんのペアが主に担当。PXC門真ビルには、17台の「RULO Biz」が1階以外の各フロアに配置されている。主に専用部の通路などをメインに、あらかじめ21時にセットしたRULO Bizが無人の施設をせっせと動いている。1台当りの平均稼働時間は80分で、約100m2を毎日のように除塵しているという。
クラウド上にアップされた清掃結果や稼働状況などを吉村さんがパソコン上から確認している。

RULO Bizの片付け
夜間作業を終えたRULO Bizは、充電台に自動的に戻る仕組みとなっている。始業後、吉村さんと村井さんペアは、各RULO Bizの点検を行うとともに、ダストボックス内のごみをブラシを用いてきれいにかき出していく。RULO Pro同様、各センサー周りもきれいにし、回転ブラシにこびりついた毛などのごみも丁寧に取り除いていく。また、本体の後輪にごく稀にクリップなどの粗いごみを引き込んでいることもあり、きちんとケアすることで安定的に走行するのだという。
他にも、稼働状況分析のため、毎日どれだけ集塵したのかをチェックしている。
また、本機は専用モバイルルーターを介して専用サーバーと通信するため、きちんと作動しているのか指差し確認を行うことも忘れない。
RULO Biz運用の実際
メンテナンス時は、当初、床に片ひざをつき腰をおろして屈む作業となっていた。1台あたり約10分の作業となるが足がしびれ、村井さんは、「17台もあるので、まだ作業が続くのかと感じていました」と話し、足や腰などの負担が大きかったという。そこで、折りたたみ式の椅子を採用したことで、体への負担が軽減。村井さん自身、「だいぶ楽になりました」と太鼓判を押すほどの改善となった。

「RULO Biz」17台の運用
RULO Bizの稼働
吉村さんと村井一心さんのペアが主に担当。PXC門真ビルには、17台の「RULO Biz」が1階以外の各フロアに配置されている。主に専用部の通路などをメインに、あらかじめ21時にセットしたRULO Bizが無人の施設をせっせと動いている。1台当りの平均稼働時間は80分で、約100m2を毎日のように除塵しているという。
クラウド上にアップされた清掃結果や稼働状況などを吉村さんがパソコン上から確認している。

RULO Bizの片付け
夜間作業を終えたRULO Bizは、充電台に自動的に戻る仕組みとなっている。始業後、吉村さんと村井さんペアは、各RULO Bizの点検を行うとともに、ダストボックス内のごみをブラシを用いてきれいにかき出していく。RULO Pro同様、各センサー周りもきれいにし、回転ブラシにこびりついた毛などのごみも丁寧に取り除いていく。また、本体の後輪にごく稀にクリップなどの粗いごみを引き込んでいることもあり、きちんとケアすることで安定的に走行するのだという。
他にも、稼働状況分析のため、毎日どれだけ集塵したのかをチェックしている。
また、本機は専用モバイルルーターを介して専用サーバーと通信するため、きちんと作動しているのか指差し確認を行うことも忘れない。
RULO Biz運用の実際
メンテナンス時は、当初、床に片ひざをつき腰をおろして屈む作業となっていた。1台あたり約10分の作業となるが足がしびれ、村井さんは、「17台もあるので、まだ作業が続くのかと感じていました」と話し、足や腰などの負担が大きかったという。そこで、折りたたみ式の椅子を採用したことで、体への負担が軽減。村井さん自身、「だいぶ楽になりました」と太鼓判を押すほどの改善となった。

ロボットとともに成長
パナソニック ファシリティーズの田中翔さんは、こうしたロボット化の取り組みを管理会社の視点でどう見ているのか。
「清掃業務外の時間まで利用者の方がいるケースがあると、人による清掃作業は土日に集中させるか、平日の早朝、夜間ということになります。当然、コストの面、人員募集の面から厳しいため、夜間にロボットが動き作業してくれるというのは非常に効果が大きいと感じています。今後、人力ですべてやるというよりもロボットとのコラボレーションを行うことで費用対効果も良くなると思っています」
また、ロボットが自律運転することでよく言われる「安全面」についても、田中さんは「パトライトと音声案内もありますし、運用面についてはハートファームさんが作業をしながらロボットをコントロールいただいているので、安全対策という部分ではしっかりできているという認識です」と話し、特段、問題もないという。
お掃除ロボットを扱うこと自体が初めてという段階を経て、戦力化に向けた運用を成功させたパナソニック ハートファーム。藤井さんは、各スタッフの成長に目を細めた。
「当社では、手作業による清掃業務が中心でした。そこにお掃除ロボットを活用するという新たな取り組みが加わり、指示された通りに作業するのではなくて、自分たちで考え、自分たちでやりやすい仕事の進めかたを模索してきました。彼らからのアイデアが積極的に出るようになり、こうした仕事の取り組みを横展開したいと考えています」
本取り組みの立役者の一人である吉村さんも、この1年弱を次のように振り返った。
「ロボットを使った掃除をすることによって、いままでやった仕事よりも品質が安定したように感じます。また、『カッコよく仕事をしよう!』を合言葉にして、周囲から見て気持ちよく、美しいと感じていただけるような働きかたと姿勢を心がけて取り組むように指導してまいりました。清掃の仕事だからといって裏方に徹するのではなくて、私たちの存在感をもっと出せるようになれば仕事の範囲も広がりますし、障がい者の雇用も創出できると思っています」
ロボットとともに成長
パナソニック ファシリティーズの田中翔さんは、こうしたロボット化の取り組みを管理会社の視点でどう見ているのか。
「清掃業務外の時間まで利用者の方がいるケースがあると、人による清掃作業は土日に集中させるか、平日の早朝、夜間ということになります。当然、コストの面、人員募集の面から厳しいため、夜間にロボットが動き作業してくれるというのは非常に効果が大きいと感じています。今後、人力ですべてやるというよりもロボットとのコラボレーションを行うことで費用対効果も良くなると思っています」
また、ロボットが自律運転することでよく言われる「安全面」についても、田中さんは「パトライトと音声案内もありますし、運用面についてはハートファームさんが作業をしながらロボットをコントロールいただいているので、安全対策という部分ではしっかりできているという認識です」と話し、特段、問題もないという。
お掃除ロボットを扱うこと自体が初めてという段階を経て、戦力化に向けた運用を成功させたパナソニック ハートファーム。藤井さんは、各スタッフの成長に目を細めた。
「当社では、手作業による清掃業務が中心でした。そこにお掃除ロボットを活用するという新たな取り組みが加わり、指示された通りに作業するのではなくて、自分たちで考え、自分たちでやりやすい仕事の進めかたを模索してきました。彼らからのアイデアが積極的に出るようになり、こうした仕事の取り組みを横展開したいと考えています」
本取り組みの立役者の一人である吉村さんも、この1年弱を次のように振り返った。
「ロボットを使った掃除をすることによって、いままでやった仕事よりも品質が安定したように感じます。また、『カッコよく仕事をしよう!』を合言葉にして、周囲から見て気持ちよく、美しいと感じていただけるような働きかたと姿勢を心がけて取り組むように指導してまいりました。清掃の仕事だからといって裏方に徹するのではなくて、私たちの存在感をもっと出せるようになれば仕事の範囲も広がりますし、障がい者の雇用も創出できると思っています」
PXC門真ビルで始まったDEIポリシー実現に向けた新しい施設管理のかたち。障がいの有無に関わらず、多様な人材が活躍でき、そして最大限のパフォーマンスを発揮できるような職場環境を形成することに成功した。
印象的だったのは、吉村さんの「私たち自身も学びたてほやほやの赤ちゃんみたいな状態だったので、お掃除ロボットに対する接しかたを間違っていました」という言葉だった。苦手、できないで終わるのではなく、チーム一丸となり、どうすべきなのかを突き詰めたからこそ、障がい者スタッフも、お掃除ロボットも活き活きと活躍しているわけである。
PXC門真ビルで始まったDEIポリシー実現に向けた新しい施設管理のかたち。障がいの有無に関わらず、多様な人材が活躍でき、そして最大限のパフォーマンスを発揮できるような職場環境を形成することに成功した。
印象的だったのは、吉村さんの「私たち自身も学びたてほやほやの赤ちゃんみたいな状態だったので、お掃除ロボットに対する接しかたを間違っていました」という言葉だった。苦手、できないで終わるのではなく、チーム一丸となり、どうすべきなのかを突き詰めたからこそ、障がい者スタッフも、お掃除ロボットも活き活きと活躍しているわけである。