工場・屋内の加湿・静電気対策用ミスト

冬季や空気の乾燥した状態では、静電気が発生しやすくなります。
静電気対策は様々ありますが、加湿により空気中の湿度を上げることは、静電気の発生を抑える有効な手段のひとつです。

加湿の方法も様々ありますが、シルキーファインミスト二流体加湿システムは微細なミストにより空気中の湿度を効果的に上げることが出来るソリューションです。蒸気ボイラーなど従来の加湿手段と比較して消費エネルギーを大幅に削減できるのが特徴です。

工場でミスト加湿をしている様子

SMTラインでのミスト加湿の様子
パナソニックコネクト株式会社 佐賀工場
撮影:青木柊野

 

静電気が発生するメカニズム

静電気は、2つの物質が摩擦したり剥離したりすることにより電子がそれぞれの物質を移動することで帯電し、元に戻ろうとすることで放電します。

(1) 物体A、Bが接触する

電気的に中性(プラスとマイナスの電荷が等量)な物体A、B

(2) 電荷の移動接触する

金属同士の接触では、仕事関数が小さい方から大きい方へ電子が移動する

物体A:マイナスの電荷、物体B:プラスの電荷が過剰になる

(3) 物体A、Bの分離(静電気が発生する)

物体Aにはマイナスの静電気が、物体Bにはプラスの静電気が発生する

引用:一般財団法人 日本電子部品信頼センター ESDコーディネーター資格認証セミナー資料​

静電気と湿度の関係性

乾燥すると表面の水の分子からの放電がなくなり、物質自体に帯電する量が増えてしまうため、静電気が発生しやすくなります。
加湿をすることで、空気中の水分が帯電物から周囲の物体や地面へ放電する経路を形成します。
放電経路が形成されることで、静電気の蓄積を抑える効果があります。

実際に湿度と静電気(電位)に関係性があるのか調査するため、下記のような実験を行いました。

試験目的

温度湿度条件による物体表面からの空間放電特性の調査

試験方法

工場ラインの環境条件を模擬する条件として、気温20℃で相対湿度を10~70%まで変化させた時の、金属プレート表面からの放電特性を調査しました。周囲から絶縁された金属プレートに試験開始時に約1100Vの帯電電位を印加し、その10分後のプレート電位を測定することで空間への放電特性を観察しました。

恒温槽の中に置かれたプローブ

実験設備全体

試験装置:恒温恒湿器:PDR-3J エスペック㈱
試験実施庫内温度:20℃
計測装置:エアーイオンモニター:NK-7001 春日電機㈱

試験結果

相対湿度が高まるにつれて、計測開始時のプレート帯電電位の10分後に低下する幅が大きくなりました。特に相対湿度40%を超える条件から降下電位の幅が顕著に大きくなり70%の条件では開始時の電位から1/10の電位までさがる状況が確認できました。

この試験より、環境条件によって、空間へ電荷が放電される特性が変わることが確認され、かつその放電特性は、空間に対する放電効果が相対湿度40RH%を超える条件以降で顕著に現れることが観察できました。

相対湿度 [RH%]

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

計測開始時のプレート帯電電位 [V]

1126.0

1133.4

1135

1135.7

1134.4

1133.8

1133.8

10分後のプレート帯電電位 [V]

1092.8

1099

1086.7

1013

789.4

290.3

120.7

プレート電位差 [ΔV]

33.2

34.4

48.3

122.7

345

843.5

1013.1

工場の加湿にミストを活用するメリット

ミストによる加湿は、ボイラーによる加湿よりも圧倒的に省エネで、「濡れない」加湿が可能です。
また、スポット除電に適したイオナイザーとの併用も可能です。

1. 蒸気を使用しないので省エネ

燃料+電気を使用する蒸気加湿に比べ、ミスト加湿の消費エネルギーは電気のみ。パナソニックの省エア流量のミストノズルを使用すればさらに省エネ。

2. 濡れない加湿

蒸気レスとミストの微細化技術の進化によって、生産物や生産設備機械を濡らさずに加湿・静電気対策が可能です。

3. 他の静電気対策機器と併用が可能

ミスト加湿は静電気の発生させないための「予防」、イオナイザーは発生した静電気を中和させるための「対処」としての側面があります。これらを組み合わせることにより、より静電気の影響が発生しにくい製造現場が実現できます。

4. 施工・導入のしやすさ

ミスト加湿には工場側のエア源、水源の活用が可能​です。配管ルートを変えるだけで簡単にレイアウト変更ができ、設備レイアウト変更に対応しやすいのも特徴です。

5. 顧客からの信頼度

ミスト加湿は、生産ライン上で加湿を行っていることが一目で分かるので顧客からの信頼性が向上した、というお話もあります。​

パナソニック佐賀工場での加湿

副次的な効果として、ミストの気化熱による冷却効果で冷房負荷を軽減。空調にかかるランニングコストを低減します。​

シルキーファインミスト二流体加湿システムの特徴

パナソニックのシルキーファインミスト二流体加湿システムは、独自開発の省エア低圧ミストノズルにより​圧倒的省エネ性を実現。​
電極式ボイラーを使用した場合と比較して約90%の省エネが可能です。

ミスト加湿の噴霧方式の違い

液加圧方式

液体を加圧して2流体ノズルに供給する方式

  • 水の加圧や流量調整が必要であるが、空気と水両方に圧力を加えるので、空気のみに圧力をかけるサクション式より省エネ。(空気に圧力を加えるのに必要なエネルギーは、水に圧力を加えるのに必要なエネルギーよりも大きいため)
  • 供給するエアの圧力と水圧とのバランスで粒子径や噴霧流量が決定するため、調整範囲は広い

サクション方式

圧縮空気の力で液体を吸い上げて噴霧する方式

  • 水ポンプが不要でシンプルな反面、エアの圧力のみで水を引き込む必要があるため大きなエネルギー(消費電力)が必要。
  • エアの圧力で噴霧するミストの粒径や噴霧流量が決まるため、​粒子径や噴霧量の調整範囲は狭い

システム構成例

1台の制御盤につき、最大4系統まで制御可能。電磁弁ユニット(空気)電磁弁ユニット(水)は1系統に1つずつ必要です。
1系統には最大9つの噴霧ユニットが設置可能です。

電磁弁ユニット(空気)

工場で供給される圧縮エアの圧力を、二流体ノズルを搭載した噴霧ユニットに必要なエア圧力に調整(減圧)して、制御盤からの制御信号に応じて、エアを供給する装置

電磁弁ユニット(水)

工場で供給されるRQ水(RO装置で処理された水)を、二流体ノズルを搭載した噴霧ユニットに必要な水量に調整して、制御盤からの制御信号に応じて、RO水を供給する装置(噴霧停止時には排水処理を行う)

制御盤:

タッチパネルによる表示/入力画面を有し、噴霧運転のON/OFFを制御する装置。温湿度センサーからの信号を受信し、設定した湿度範囲で自動運転を行うことが可能

シルキーファインミストの使用をおすすめする施設の例

電気機器製造工場:実装工程

静電破壊、チャックミスの防止

プラチック製品製造:射出成型工程

埃の付着防止

化学製造:フィルム製造工程

フィルムの変形、印字ミスの防止

印刷工場:オフセット印刷工程

埃の付着、インク塗布不良の防止

工場加湿用簡易設計ツール

空気のサイズや目標湿度などを入力することで、お客様自身で必要加湿量を算出することが可能です。
また、その結果をもとに必要なハードウェアやインフラも算出することが可能なツールをご用意しております。

導入実績・事例

工場加湿用途での導入実績・事例をご紹介します。

松下音像科技有限公司 様

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