群馬県多野郡上野村 様
所在地:群馬県多野郡上野村
インタビュー:佐藤 様・石井 様
上野村 佐藤様、石井様に吸収式冷凍機の納入に至った経緯をお聞きしました。
上野村は、明治22年の町村制施行により誕生以来、耕作地の少ない農山村という厳しい条件の中、自然豊かなふるさとの姿を守ってきた村です。人口が1,110人(令和4年5月1日現在)と群馬県で最も小さい自治体であり、地域振興のために、平成元年度から若い世代を主に対象とした定住対策に全力を注いできました。
具体的な対策として、村の総面積の約95%を占める森林を効果的に活用する林業の振興、新エネルギーの活用対策、バイオマスの有効利用による村内循環型社会の構築への取り組みなど、様々な挑戦を続けています。
パナソニックの吸収式冷凍機は、バイオマス発電機と組み合わせた省エネルギーの取り組みの一環として導入しました。
林業の活性化からエネルギーの有効活用までを実現する循環型システム
上野村では、林業で村の経済を活性化、村内の森林所有者にはその恩恵を還元できるような仕組づくりを目的として計画が始まりました。その中で、加工目的で販売できる良質な木材ではなく、不良品となってしまう間伐材などの木材の有効活用として、ペレットの生産に着目しました。
当初、ペレットの生産は、村内で使いきれる分量として、800t程度と想定していましたが、コンサルティング会社の試算では、 1,600tを生産しないと採算が合わないという結果となりました。ここから、ペレットの有効活用方法を新たに模索し、村内の温泉施設等でボイラーの燃料として活用する試みをスタートしました。
しかし、それでもまだ使い切ることができていなかったペレットの活用先に、180kW規模のバイオマス発電を提案いただき、村内の(株)上野村きのこセンターにて電力供給に活用することとなりました。きのこセンターでは、空調用として、特に夏季と冬季には大きく電力を使用しています。
きのこは、培養時に自然と熱を発生するため、施設内には空調が必要でした。また、同時にバイオマス発電機から発生している廃熱を活用できないか、という案が出ました。
冷房が中心の運用であったことと、バイオマス発電の廃熱をうまく利用することができる吸収式冷凍機を検討することとなり、サイズ感がちょうどよく、また他社よりもエネルギー効率の良かったパナソニックの吸収式冷凍機が採用されることになりました。
こうして、林業から始まった様々な資源、エネルギーの有効活用として、12億円の経済効果と、150人の雇用を創出する現在の循環型システムが完成しました。
管理者様のコメント
システムの安定性や効率についてはさらなる発展を目指しています。バイオマス発電で発生した廃熱を利用したシステムで、きのこセンターでのさらなる空気環境の改善に向け、引き続きパナソニックさんには協力いただきたいと思っています。
ご担当者様の声
きのこの栽培は水がきれいなことと、空気環境の調整が重要です。
空気環境の調整をするのに、バイオマスで起こした電力を使って空調機器を使用して、ハウス内の気温は22℃を保ち、かつ湿度の管理も徹底的に行っています。今後もより品質のいいきのこを生産するために、エネルギーと空気環境の調節という難しいバランスについて、様々な挑戦をしていきたいと思います。
我々が導入したドイツ製のバイオマス発電機は、日本で最初に稼働しました。
村で生産しているペレットと機械の相性を調整しながら、きのこセンターに必要な電力を安定して供給するために試行錯誤を繰り返しています。今後も、省エネルギーでより精度の高い空調システムなどを実現するべく、より良いエネルギー利用のシステムを追い求めていきたいと考えています。
上野村村長 黒澤様のコメント
上野村は、群馬県の最西南端に位置し、四季のうつろいが鮮やかなすばらしい山村です。
豊富な森林資源を最大限に活用した木質バイオマスなどの再生可能エネルギー資源の有効利用を促進し、 温室効果ガス排出の実質ゼロ化に取り組んでいます。
バイオマス発電で発生した廃熱を利用したシステムの導入をはじめとして、村内循環型社会の確立に向けて引き続きパナソニックさんには協力いただきたいと思っています。
上野村村長様(写真右から4番目)とパナソニック 業務用空調ビジネスユニット長 小松原(当時)(写真左から3番目)含むメンバー。22年5月に現地を視察、意見交換を行いました。
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