知財とは、何を成すためのものなのか。
自分たちの仕事の意味を考えるとき、思い起こすエピソードがあります。それは、ラジオがようやく普及しはじめた頃のこと。当時のラジオは故障が多く、どれも機能的に不十分なものばかりでした。そこにはさまざまな要因がありましたが、その一つが特許の問題。ラジオの重要な特許を個人の発明家が所有しており、設計上の大きな障害となっていました。そこで松下幸之助が取った解決策は、周囲を驚かせるものでした。なんと、特許を自ら買い取り、同業メーカーに無償で公開したのです。業界の発展が産業界の発展、そして人々の豊かな生活につながる。それが幸之助の考えでした。知財は重要な経営資源です。しかしそれは企業の発展のみならず、その先の産業の発展、一人ひとりのより良いくらし、より良い社会の実現につながっている。私たちの原点となっている考えです。 <知財責任者>