「PatentSQUARE」の導入事例 NOK株式会社様
知財担当者と技術担当者の垣根を越えた特許調査業務の仕組み
~「PatentSQUARE」で有益な情報資産を全社横断活用~
日本初のオイルシールメーカーNOK株式会社(以下、同社)は、国内自動車業界でのシェア7割を誇るリーディングカンパニーである。同社の高度なシール技術から生み出される、オイルシール、パッキン、ガスケットなどの機能部品は、自動車業界にとどまらず、様々な領域で活躍している。また、日本初のFPC(フレキシブルプリントサーキット)メーカーとして電子機器の小型・軽量化、高性能化に大きく寄与している。
同社では特許調査に、弊社、パナソニックソリューションテクノロジーの特許調査支援サービス「PatentSQUARE」を活用している。
一般的に、特許調査サービスは知財の専門家が利用している印象が強いが、同社では、知財部門のみならず、現場技術者一人一人が活用し、最新技術の開発に役立てている。
この度、同社 湘南開発センター(藤沢事業場)を訪ね、「PatentSQUARE」の活用についてお話をお伺いした。
「PatentSQUARE」のマップ機能に一目惚れ
NOK株式会社
技術本部 知的財産部
特許課 課長
齋藤知成氏
同社、技術本部 知的財産部 特許課 齋藤課長は「PatentSQUARE」との出会いについて以下のように語った。
「以前は他社の特許調査サービスを利用していましたが、バージョンアップを機にインターフェースが変わり、ちょっと使いにくいなと感じるようになりました。そこで、『特許・情報フェア』でいくつか代替サービスを探していたのですが、そんなときに出会ったのが、パナソニックソリューションテクノロジーの『PatentSQUARE』(当時の商品名『Panapatlics』)でした。私たちがまず魅かれたのは、『PatentSQUARE』のマップ機能です」
マップ機能とは、集合全体の傾向を様々な切り口で分析できる機能である。
「もともと、特許調査サービスを活用していたので、私たちが新サービスに求めるニーズは明確でした。“これまで各公報に付与してきた独自分類情報を有効活用する。”この点を重視し、新しいサービスを探していました。『PatentSQUARE』のマップ機能は、分類情報をワンタッチでビジュアル化することで、傾向や関係性をひと目で確認でき、調査結果を体系的に把握することができます」(齋藤氏)
続いて、技術本部 知的財産部 管理課 鈴木主事にお話をお伺いした。
「以前はインハウス型のシステムを導入していましたが、サーバーの運用・管理が負担になっていました。実は、一度、サーバーが不安定になり、それまで蓄積してきた分類情報がすべて消えてしまうのではないかという恐ろしい経験をしています。ですので、『PatentSQUARE』がASP型のサービスで、社内に設備を持たずに運用できるという点は、私たち管理者にとって非常に大きなメリットでした。しかも、ログイン数無制限なので、ピーク時でも安心して利用できます。しかしながら、懸念点もありました。導入検討当時、『PatentSQUARE』には、独自分類の階層構造を考慮して検索する機能が無かったので、即採用という判断はできませんでした。そこで、当時のご担当者に、私たちの要望を正直に伝えたところ、その後の定期バージョンアップでこの機能が追加されました。“ユーザーにとって有効な機能であればすぐに採用する”、ユーザーのニーズに誠実に対応していただける会社だと認識しました。結局、『特許・情報フェア』で初めて目にしてから、じっくり時間をかけて検討させていただいたのですが、その間もパナソニックさんに頻繁に訪問していただき、懸念点を一つひとつクリアにしていくことができました」
その後同社は、「PatentSQUARE」の導入段階に入り、旧サービスからの移行作業に着手した。
「これまでストックしてきた分類情報は、私たちの財産でもあるので、『PatentSQUARE』でも引き続き活用したいという強い思いがありました。そこで、パナソニックさんに相談したところ、他社での実績をベースに作業の内容や工期、また、その安全性について丁寧にご説明いただき、私たちも納得したうえで移行作業に入ることができました。パナソニックさんの強力なバックアップのおかげで、スムーズにサービスの移行ができ、これまでの情報資産を引き継いで活用できています」(鈴木氏)
NOK株式会社
技術本部 知的財産部
管理課 主事
鈴木潤太郎氏
とにかく使いこなすことが第一!継続的な勉強会でPatentSQUAREの利用が定着
NOK株式会社
技術本部 知的財産部
特許課 井川拓也氏
続いて「PatentSQUARE」の社内での利用状況についてお伺いした。
「最近の人は、携帯電話でもデジタルカメラでも、なんでも、取説を読まずにすぐに使い始めますよね。子供のころから、情報機器の操作に慣れているので、初めてのものでも抵抗感なく触れるのでしょう。『PatentSQUARE』も、当社の社員の多くが、まずは操作してみようというスタンスで使い始めています。アイコンや画面構成などがわかりやすく、機能も使いやすいので、違和感なく操作できるのがいいですね」(齋藤氏)
「PatentSQUARE」が現場で広く活用されているのは、同社の企業努力によるところも大きい。同社では、知的財産部が中心になり、社内各部署の現場担当者に対して、「PatentSQUARE」を使いこなすための勉強会を開催するなど、定期的なフォローを欠かさないのだという。
技術本部 知的財産部 特許課 井川氏は語る。
「“今持っている財産をどんどん社内に広め活用していきたい”それが私たちの思いです。使わないサービスや情報は意味がありません。そこで、社員に対し、基礎編、実践編の説明会を用意し、それぞれのレベルに応じて参加してもらいます。基礎編では、検索から一覧表示、分類付与、印刷などの基本的な操作について説明しています。実践編では、講義+演習形式の『PatentSQUARE』説明会を実施し、『PatentSQUARE』の具体的な使い方とその効果・メリットを伝えています。1回の説明会におよそ半日を費やし、定員8人までの少人数制できっちり勉強しています。また、メールや電話で『PatentSQUARE』の利用方法についての質問も随時受け付けています。こうした草の根活動を3年間ずっと続けてきたことで、徐々に『PatentSQUARE』の利用が定着してきました」
モノづくりの現場で、技術者への「PatentSQUARE」の浸透を促すために、知財担当者自らが「PatentSQUARE」の機能を隅々まで理解し、社員に対し率先して啓蒙活動を続けた結果、全社での情報共有の活性化に成功したのである。
分類情報の細やかなメンテナンスで“検索疲れ”を回避
同社では、社員教育のほかにも、「PatentSQUARE」の機能を最大限に活用し、効率的に業務を行うための工夫をしている。
「システムやサービスが活用されない一番の理由は、ユーザーの“ストレス”だと思うのです。やはり、すぐに欲しい情報、結果が手に入らないと、イライラして、また使おうという意欲が起きませんよね。特許調査においても、欲しい情報をすぐに得ることができない“検索疲れ”が、サービス離れの一因です。ですので、検索時のストレスをできるだけ回避するため、当社の業務特性に合わせた分類情報をフル活用しています」(齋藤氏)
日々、更新され、増え続ける公報の中から、自分の欲しい情報をいかに早く得るかということを念頭において、同社では、分類情報を整理し、現在、約23万件の評価情報を設定している。
「特許調査に精通したスタッフが中心になって、分類情報を定期的にメンテナンスしています。利用者は、予め登録されている分類情報と調べたいキーワードを掛け合わせて検索できるので、ノイズを最小化し、短時間で欲しい情報を得ることができます」(井川氏)
また、同社では、SDI機能の活用にも気を配っている。
「SDIの開封率を毎月チェックするなど、『PatentSQUARE』の利用率を定期的に計っています。現場が使ってくれることが何よりですので、私たち知財のスタッフも、できるだけ使いやすい環境、質問しやすい環境を用意するように心がけています」(鈴木氏)
ID限定型サービスの活用と今後の展望
同社では、中国特許を中心とした海外特許情報の調査ニーズに対応するため、「PatentSQUARE」のコーポレート型サービスに加え、ID限定型サービスを併用している。
「最近では、海外特許の中でも特に中国特許調査の頻度が高まっているので、中国語翻訳機能などに使い勝手の良さを感じます。ID限定型サービスは、コーポレート型と操作方法が全く同じなので、海外特許を少人数で調査する場合はコストメリットの点でも良いですね」(齋藤氏)
続けて、海外での「PatentSQUARE」への期待についてお伺いした。
「現在は、日本を中心に『PatentSQUARE』が利用されていると思いますが、今後、英語、中国語、韓国語圏での利用を想定したインターフェース、言語対応がされれば、世界レベルで『PatentSQUARE』の利用者の裾野が広がるでしょうね」(鈴木氏)
最後に、「PatentSQUARE」に対しての要望をお伺いした。
「ユーザー会(『PatentSQUARE』ユーザー企業様向けセミナー)でも、多数の意見・要望を出させていただきました。パナソニックさんは、こちらが伝えた要望を真摯に検討して、バージョンアップに反映してくださるので、こちらとしても真剣に考えています」(鈴木氏)
「サービスというのは使えば使うほど、色々と気づく点も多いのですが、私たちが一番望んでいるのは、やはりレスポンスの良さです。『PatentSQUARE』に切り替えてから、とてもスムーズに調査ができるようになりました。機能強化も重要ですが、やはり待ち時間なしで検索でき、社員が快適に利用できるのが一番ですね」(齋藤氏)
パナソニックソリューションテクノロジーでは、「PatentSQUARE」の導入企業を対象にしたユーザー企業様向けセミナーを定期的に開催しており、知財担当者間で企業の垣根を越えた交流の促進を図ると共に、次期バージョンアップに向けた改善要望のヒアリングも行っている。
また、「PatentSQUARE」専用のサポートセンターを設置し、随時、エンドユーザーからの質問や改善要望を受け付け、利用の促進やサービスの向上に努めている。 「PatentSQUARE」が日本企業の知財戦略を支え、企業成長に貢献できるよう、私たちは、今後もユーザー視点に立った商品開発、アフターフォローを続けていく。