「Bluebeam Revu」の導入事例 株式会社大林組様

使いやすさと多機能による効率性向上を追求した図面レビューソフトの実際

1892年の創業以来、1世紀以上に渡って建設業界を牽引する大手建設会社の大林組。同社で構造設計に携わる設計本部 構造設計部の南 尚孝氏は、海外勤務で出会ったPDFレビューソリューション「Bluebeam Revu(ブルービーム レビュー)」を帰国後も活用。操作性や利便性は同僚からの評価も高く、部署を超えて社内で普及しつつあるという。
日本ではパナソニック ソリューションテクノロジーが提供するBluebeam Revuによって、実際の設計現場では、どのように図面の確認業務の効率化が促進されているのだろうか。

日々の業務でストレスなく活用するマークアップ機能

株式会社大林組 設計本部 構造設計部 南 尚孝氏

株式会社大林組 設計本部
構造設計部 南 尚孝氏

大林組で約10年にわたり、建物の構造設計に携わっている南 尚孝氏。物件の規模を問わず実施設計を担当するほか、基本設計やコンペ案件に携わることもある。南氏はオフィスの案件を担当することが多く、設計のあとも個々の案件の施工監理をし、竣工まで携わることも多いという。
大規模な案件では1年ほど、小規模の案件でも3~4ヵ月に渡る設計期間では、意匠設計者や設備設計者、CADオペレーターなどと図面を通じたやり取りが続く。その中で、南氏が活用しているのが、Bluebeam Revuである。
南氏は4年ほど前に約2年間、ロンドンの構造事務所に出向していた。その際に出会ったのが、Bluebeam Revuであった。すぐに使い勝手の良さに気付き、ソフトを次第にフル活用するようになった。その環境に慣れて帰国すると、「以前に使っていたPDF管理ソフトなどに効率の悪さを感じました。Bluebeam Revuを導入しないと仕事に差し支えがあるため、すぐに導入検討に入りました」と南氏は振り返る。南氏は、Bluebeam Revuがどのようなソフトかを社内プレゼンした上、無料体験版を活用して部署内で試用してもらったという。その結果、反応のほとんどが「使いやすい」など大変高い評価だったと南氏。「ほかのPDF管理ソフトは、基本的には文章の編集ソフトです。私たちが扱うのは主に図面ですから、いかに手描きと同じ要領で確認していけるかが重要なのです」。

Bluebeam Revuの主な機能が「マークアップ」というもの。PDFファイルの図面上に、囲みマークや手書き、スタンプ、写真などを書き込める機能である。南氏は、まず最も多用するマークアップの操作性の高さを特徴として挙げる。「とても扱いやすい。例えばコピー&ペーストするとき、ほかのソフトでは真ん中に貼られたあとに移動して位置の調整が必要ですが、Bluebeam Revuはポインタで指している箇所に直接貼ることができます。細かい点かもしれませんが、こうしたところに気が利いていて、図面を描く側に寄り添って開発されたソフトだなと感じます」。
「プロジェクトの大小を問わず、Bluebeam Revuを開かない日はない」という南氏。Bluebeam Revuで作成されたファイルは社内サーバで共有され、プロジェクトに関わる全員が参照しながら作業を進めることができる。すなわち、意匠設計と設備設計、構造設計のメンバーや協働で図面を作成するオペレーターなどがタイムラグなく確認することが可能だ。「紙では変更するたびに全員に渡すわけにもいかず、知らないうちに変更が進んでしまうこともありました。Bluebeam Revuでは、同じPDFファイルの中にプロジェクトメンバーみんなで書き込みができるので、そうしたリスクが減らせます」。
建築のプロジェクトでは、確認申請はいまだ紙の図面で行われているのが現状だ。これまでは申請前に調整する図面の確認作業も、紙の上で行うことが主体となっていた。「図面データをプリントアウトして、修正は赤ペンで紙に描き込み、赤字の入った図面の束を別の部署などに持っていきました。そして、図面の更新は、1つのプロジェクトで数十回ではおさまらず、数えきれないほど繰り返し行われます。物件の規模によってはA1サイズの紙で用意することも多かったので、プリントやコピーにかかるコストだけでも膨大になります。紙を出さなくなるメリットも社内で示して、ソフトの導入へと至りました」と南氏はコストおよび環境面へのメリットも語る。

重ね合わせによる図面比較の画面

重ね合わせによる図面比較の画面

比較機能や集計機能でチェックの精度が向上

随時更新される図面の変更点を検出する比較機能も、南氏は日常的に使う。「修正前と修正後の図面を並べて比べ、違うところをマークできます。ビフォーとアフターが一目瞭然になり、図面のレビューがスピーディーで正確に進みますね。図面に色付けしてオーバーレイすることもあります。ビフォーを赤に、アフターを緑にして重ね合わせると、簡単に比較できます」。確認作業で正確さが向上することは、Bluebeam Revuの何よりの利点と南氏は考えている。「どのような建物でも、複雑であればあるほど、人の目では見過ごす個所が出てきてしまいます。そして図面をブラッシュアップしていく過程では、指示していない個所が変わることもあり、それらは高い確率で見過ごされてしまいます。Bluebeam Revuでは、こうした点を見過ごすことがかなり減りました。“いつの間に変更されていたのだろう?”と悩むストレスがなくなりましたね」と南氏は実感を込めて語る。
「画像検索ができることも良いですね。文字検索のように“この形がこの図面でいくつあるか”と数えられます。例えば、図面の中で特定の形の杭が何本あるか調べたいときに、画像を選んで検索をかけると、該当する杭にマークがついて本数が出てきます。以前は図面を広げて、蛍光ペンで色を塗って数えていましたので、確認作業のスピードと正確性が格段に上がりました。以前、紙の図面で数えている上司のクロスチェックで、杭の本数が間違っていると指摘されましたが、正しいのは私の方でした」と南氏は言う。

画像検索の画面

画像検索の画面

さらに寸法を測定できる機能も、重宝しているという。「以前は、寸法は紙に出力して三角スケールで合わせて測っていましたが、図面の縮尺が合っていないと簡単には測れませんでした。Bluebeam Revuでは、この図面のこの長さで何メートル、とキャリブレーションをかけると長さが正確に測れ、面積や角度も出せます。そこまでの精度が求められない段階であれば、Bluebeam Revuで寸法や面積を測りながら検討を進められるため、かなり助かっています」。

寸法計測の画面

寸法計測の画面

さらなる普及で効率化が進む環境に

南氏がBluebeam Revuの導入を周囲に呼びかけたことがきっかけとなり現在では構造設計部の多くの社員が使用しており、今後ほかの部署にも広がっていく見込みだという。
「Bluebeam Revuを入れている人は、毎日のように使っているようです。当社では早くからタブレット端末を導入し、少し上の世代でも図面を含む書類をデータで扱ってきましたし何よりPDFは誰もが慣れているフォーマットです新たに習得する知識は不要で機能を知ればさらに業務が効率化されるので、心理的なハードルは低いと思います」と南氏。
そして南氏が見据えているのは3Dデータのやり取りである「今後はBIMで3Dモデルを扱う機会が増えてくる中で、情報の伝達も3Dで行えるようになります。現在は3D CADのソフトをそれぞれが使っていますが、Bluebeam Revuでは3DのCADデータもPDF変換でき、見やすくなってマークアップもできます相手のソフトやPC環境によらず指定箇所を3D PDFで見られるのは、使い勝手が良いですね」。
今後は周りの連携も進めばさらに効率化が進むと南氏は考えている「ほかの部署や現場の協力業者もBluebeam Revuを使うようになれば図面の共有ができ、みんなで一斉にマークアップしながら修正できればかなりの時間短縮になるでしょう遠方の現場では図面のやり取りにも時間がかかるため特に効果を発揮するはずです」。スピードアップと正確さを促進し、南氏や周辺で確実に効率化を進めているBluebeam Revu。「効率化を進めることができれば、考える時間を増やすことができる」と語る南氏にとって関わるプロジェクトのクオリティとクリエイティビティを高める上で、Bluebeam Revuは今後も欠かせない存在だという。

出典元:ArchiFuture Web

※ 本記事はArchiFuture Webの許諾を得て、2018年7月19日掲載記事(Bluebeam Revu事例紹介)を転載しています。

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