「Bluebeam Revu」の導入事例 Arup社様
Revuでレビュー:Arup社がプロジェクト遂行のためデジタル化を推進
Revu for Reviews: Arup Goes Digital for Project Delivery
Challenge:課題
Arup社は、クライアントに対し高品質な成果物を保証することを追求していく中で、図面の品質と精度、および設計確認における手作業による文書のマークアップの一貫性に問題があることを発見した。手作業の確認プロセスには標準のマークアップはなかったため、設計と実行に集中してプロジェクトに付加価値を与えるのではなく、関係者は文書管理に忙殺されていた。世界中のリモートオフィスで働く関係者が関わっているプロジェクトもあり、大規模なプロジェクトのコラボレーションでは電子メールに依存していたため、確認の時間枠も肥大化していた。
Solution:ソリューション
Arup社は、Bluebeam® Revu®を導入した。Bluebeam Revuは、プロジェクトのコミュニケーションを改善しプロセスを合理化し、世界中の200万人を超えるAEC専門家から信頼されているプロジェクトの効率化・コラボレーションソリューションである。RevuはPDFの活用で、所有者、建築士、エンジニア、および請負業者が3Dモデルや画像などの現場情報を下流で簡単に共有できる、共通のデータ環境を実現する。
Benefits:メリット
- Bluebeam RevuおよびStudio内の業界固有のツールで、Arup社は品質を維持しながら設計確認時間を60%短縮
- Revuにより、Arup社が以前は使用できなかった完成図を使用し、拡張可能で正確な、そして効率的にマークアップされた、クライアントの成果物に適したデジタルPDFに完成図を変換することで、リスクを最小限に抑えることが可能に
- Revu内のデジタルPDFの機能により、Arup社はペーパーレスなオフィスに向けた推進ができ、紙ベースのコストとツールにおいて大幅な節約を達成
- Bluebeam Studioにより、グローバルな同企業は、世界中のオフィスの技術専門家をプロジェクトに参加させ、クライアントに価値を提供することが可能に
- RevuとStudioのモバイル機能により、従業員は事務管理や文書の検索に時間を費やすのではなく、アクティビティベースの仕事に従事し続けることが可能に
Arup社は、34か国以上で90以上の分野にわたって働く、14,000人を超える専門家で構成されている。「オーストラレーシア」と呼ばれている地域では、Arup社は12のオフィスにさまざまなスキルセットと専門性を有する多様な専門スタッフを擁し、彼らはオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、インドネシアおよびマレーシア全土でプロジェクトに従事している。「Arupのシドニーでの最初のプロジェクトはシドニー・オペラハウスで、これがわたしたちをオーストラリアに導くきっかけとなりました」と、Arup社の上級技術者であるベン・テイラー氏は説明する。このプロジェクトは、その設計と構造美が世界的に認められているだけでなく、帆状の構造に対しコンピューターを使用してモデリングを行った史上初のプロジェクトの一つでもあり、デジタル設計に対するArup社の取り組みを体現している。「わたしたちはモデリングソフトウェアの使用の先駆者であることに誇りを持っています。多くの企業が、リスクが高すぎたり、十分な利益が見込めないことを理由に、このようなプロジェクトに対しそれを挑戦しなかったでしょうから。ほかの人たちにはできないことができることを、誇りに思っています」
“Bluebeam Studioのおかげで世界中の技術専門家との共同作業が容易になり、そしてより多くのプロジェクトに取り組み、クライアントによりよい結果をもたらすために、彼らのスキルと経験を生かすことができます”
ベン・テイラー氏 Arup社 上級技術者
手作業からデジタルへ
プロジェクトの遂行にテクノロジーを活用するという取り組みを前提に、Arup社は、複数のオフィスやプロジェクトにおける効率化、品質向上、リスク軽減および標準化を目的として、それまで手作業だったプロセスをデジタル化する方法を模索し始めた。「輸送系チーム内でわたしたちが抱えていた最初の問題は、マークアップ確認のプロセスをデジタル化し、紙を必要としない方法でそれらのプロセスを文書化する方法を提供することでした」と、Arup社のオーストラレーシア輸送・環境・資源チームの地域CADリーダーであるラッセル・バン氏は語る。一部のプロジェクトでは、完成図とスキャンの品質に関してもArup社で問題が生じた。「わたしたちの仕事の多くには、市内にあるArupが手がけた既存の建物の図面を確認することが含まれます。ですので、わたしたちはこれらの古い図面を全て持っています。これらはCADスタイルなどではなく、キャビネットから取り出されスキャンされただけなので、非常に低品質のスキャンなのです」と、構造学科卒業生であるArup社のヘナ・チャップマン氏は説明する。「Bluebeamは、これらの低品質のスキャンをスケール調整してマークアップするのに役立ちます」
マークアップと図面自体の両方における品質と一貫性の欠如に不満を抱いていたArup社は、Revuを導入することに決めた。Arup社の機械建築サービスエンジニアであるジェームズ・カンナム氏は、Revuのトライアル版をダウンロードした後、すぐにそれを導入する価値があることに気づいた。「わたしたちは建築士から大量のPDFや図面を受け取りますが、面積、距離、リンクを素早く測定できることは、わたしたちの仕事にとって非常に重要です。そういった情報を素早く取得し、マークアップして測定できることは、非常に大きな強みです」Revuのスケールの精度は、チャップマン氏にとっても重要である。「Revuはスケールを維持でき、わたしがほかのマークアップソフトウェアをあまり使用しない理由はそこにあります。Bluebeamでルーラーをキャリブレーションして、ほかの全ての要素をそれに基づいてスケール調整できるのです」Revuの大きな強みであるPDF機能は、完成図とスキャンに関する品質問題の多くを解決し、また、設計確認プロセスのほかの側面にもプラスの影響を与え始めた。「Revuのおかげで、各ページをチェックして手作業で確認していた時間が大幅に短縮されました」と、テイラー氏は称賛する。「自分が直接関係のないほかのプロジェクトやクライアントの仕事を確認するときにも、自動でフィルタリングして本当に探す必要があるものを探す助けになってくれるため、Revuは非常に重要な存在になっています。また、建築士の図面を渡し、Bluebeamでマークアップし、コピーして、受け取った新しい図面に貼り付けるというプロセスだけで済み、作業をやり直す必要がありません。初期の段階で計算し、Revuが数ヵ月で元が取れたという数字が得られました。また、作業に必要なPDFを作成および編集するという仕事が、信じられないほど楽になりました」
Arup社のスタンダードとマニュアルに沿ってプロセスをデジタル化することのメリットは、プロジェクトの遂行だけでなく、紙の節約や従業員のエンゲージメントにおいても明らかになった。「Revuを使用する前は、建築士からPDFを受け取り、それを印刷し、赤ペンでマークアップし、スキャンして送り返すというのが基本的な流れでした。今では、PDFをハードコピーに印刷する必要はなくなり、デジタルで行うことができます」とバン氏は言う。「Revuのおかげで、オフィスのペーパーレス化に向けて動き始めることができました」紙の使用量とそれに関連するコストの削減は新しいプロセス創出の副産物だったが、本当の目に見える価値は共同作業の改善にあった。「効率が得られるのは、マークアップの作業をするときです。テキストを直接変更できること、マークアップを測定できることは、ある種『売り』となった大きな強みのある機能でした。そしてそこから、ワークフローを本当に強化するさらなる機能を発見していきました。単なるPDFツールではないのです」
“従来のPDF製品では元の解像度とアウトプットが制限されていたため、情報を効果的に提供できず、成果物をクライアントに提出できないことがありました。Revuは、これらの問題の解決に役立ちました。Revuのおかげで、実際にクライアントの要件に合うよう、実際にその場で編集し修正するために必要な相互運用性と機能が得られました”
ベン・テイラー氏 Arup社 上級技術者
リアルタイムでの共同作業とリスクの軽減
Arup社のプロジェクトの規模と複雑さにより、同社はプロジェクトパートナーだけでなく、世界中の関係者やオフィスとも共同作業することがよくある。間違いの発生を避けるために必要なコミュニケーションは、あらゆるプロジェクトにおいて最も重要であり、規模や範囲がより大きなプロジェクトは言うまでもない。そういったプロジェクトではやり直しによる間違いがよくあり、全体的な収益性が損なわれる。同様の間違いは、現場の安全を損なうことさえある。コミュニケーションの重要性を認識していたArup社は、リアルタイムコラボレーションを可能にするRevu内のワークフローであるBluebeam Studioセッションを使用して、デジタルスペース内でPDF文書に対し共同作業することを選択した。バン氏は次のように説明する。「Bluebeamは非常に多くの側面をカバーしていると思いますので、リスクの軽減はとても重要です。Revuを使用すると、はるかに迅速かつ効率的に作業を行うことができ、全ての図面の同じ場所に同じマークアップがあり、同じことが書かれていることを確信できるので、チームのコミュニケーションを向上できます」
プロセスにおいて効率性と一貫性を持つことができ、またそれとは別の利点として、世界中のどこからでもセッションを開いて仕事や共同作業ができる。「リアルタイムで通信してマークアップを提出できる効果的な方法はなく、電子メールの追跡だけで、まったく効果的ではありませんでした」とテイラー氏は嘆く。「Bluebeam Studioは、これらの問題を全て解決してくれました。例えば、誰かがロンドンで図面をマークアップしていて、わたしたちが仕事をしていて電話で話している人たちもいるときに、それらの図面がシドニーのオフィスにリアルタイムで入ってこられるので、電子メールなどでのコミュニケーションにおける混乱や間違いがなくなりました」リアルタイムのコメントにより、Arupのプロジェクトに対する情報の一元化が容易になり、プロジェクトパートナーが確認の進捗状況を迅速に評価できるようになる。「マークアップの実施、アクションの実行、その変更を行った人による検証、そしてもちろん設計とプロセスを検証する人たちによる検証の記録があります。これにより、完成品がチームによる適切なレベルのピアレビューを終え、問題ないことを確実にできます」とバン氏は言う。テイラー氏によると、コメントと承認の迅速化は、現場でのアクションの迅速化と生産性の向上を意味する。「わたしたちはStudioを使用して、プロジェクトに対する分野内および分野間の確認を全て完了します。まず、Revuでカスタムツールチェストを使用してから、関連する全てのQA文書を記録します。そして、各分野のリーダーにフィードバックし、彼らは迅速にコメントや確認に対しアクションを実行できます」プロジェクトの関係者をデジタル環境内に保てることも、Arup社のプロジェクトチームに影響を与えたStudioの側面の一つである。「ProjectWise®のような追加の共通データ環境と相互作用できる機能は、わたしたちにとって非常に強力なつながりになりました」とバン氏は述べる。「プロジェクトをProjectWiseでホストしてから、そのプロジェクトをBluebeam Studioで確認し、そしてもちろんそれら2つの間で相互作用することもできるのです。これは、ほかのPDFアプリケーションにはない、Bluebeamが提供する非常に強力な連携機能です」
“ここに入社してすぐにBluebeamを使い始めました。習得するのにそれほど時間はかかりませんでした。非常に直感的です。基本的な機能は使いやすく、オフィスの人たちに何回か質問しただけで、基本的には自分で全てを学ぶことができました”
ヘナ・チャップマン氏 Arup社 構造学科卒業生
成果物の標準化と今後の展望
Arup社が成長するにつれて、プロジェクトの遂行におけるRevuの使用も増えていった。デジタルでの作業の成功は、Arup社が各地域のワークフローを実行する方法にも影響を与え、その標準化も始まっている。「ツールバーのボタンをただランダムにクリックするのではなく、Revuでツールチェストをカスタマイズし、それらを使用してマークアップと確認のアクティビティを行っています」とバン氏は言う。「これらのツールチェストは、わたしたちの多くの分野にわたって、その幅広さと複雑さが日々増しています。輸送系やリソース関係だけでなく、請求関係や鉄道関係など、それらのツールを利用したい全ての人が関わっています」テイラー氏は、デジタルプロジェクトの遂行における同社のRevu使用の今後について、さらに大きな展望を示唆する。「特定の分野内では、すでにツールボックス全体である程度の標準化が行われています」と彼は主張する。「必要に応じてニッチなアプリケーション向けにカスタマイズもしますが、すでに一連の標準があり、それを世界中に自動的に展開しようとしています」
RevuとStudioの使用は、Arup社のプロジェクト遂行における高度な基準の維持に役立ち、またプロジェクトパートナーにも影響を与え、彼らも成果物のためにテクノロジーの使用を前進させるようになった。「わたしたちはこれまで、Arup社外でパートナーと協力しながら、かなりの数のプロジェクトで Revuを使用してきましたが、プロジェクトが終了するまでに、それらのパートナーのほとんどがRevuを採用することを決定していました。彼らは、それを使ってわたしたちができる驚くべきことの一部を見て、それがいかにわたしたちの大きな助けになっているかを目の当たりにしたのです。そして、わたしたちの使い方においては、プロジェクトパートナーが自分たちではBluebeamを使用しないことを選択した場合でも、Bluebeamの素晴らしいツールと機能を全て引き続き活用できます」とテイラー氏は主張する。「使ってみると、使わない言い訳はできないような気がします。どうすれば以前のような働き方に戻れるのか、想像できません」
Arup社のイノベーションの文化は、テクノロジーへの有機的なアプローチを促進し、プロジェクトの機会と人材開発の両方において同社を時代の先端に置き続ける。カンナム氏はこの強みをよく理解している。「会社のやり方として、わたしたちは人に何かを押し付けることは決してありません。わたしたちが常に取り組んできたやり方は、全てのツールを提供し、使いたいツールを選択してもらうことです。全員がこれに移行しなければならないという指示はありませんでした。一人ひとりがそのツールを使用することにメリットを見出し、使いたいと思っているだけなのです。そしてわたしたちは現在、アクティビティベースの働き方を採用するところまで進化しましたが、これは素晴らしいことです」この力強いイノベーションの文化は、会社の将来のリーダーを見つける鍵でもある、とバン氏は主張する。「わたしたちが推進してきたデジタル変革の一部は、わたしたちがArupに求める人材を惹きつけるのに非常に役立ちました。より多くのものを求め、現在行っているやり方が常に最善であると思い込まず、新しいことを試みるための努力をする人たちです」
※ この事例は、Bluebeam,Inc.によって公開されたものです。