理事長挨拶

写真:理事長 三又 裕生

激動する時代にあって、
新たなインテリジェンスの獲得と提供を目指しています

パナソニック総研 理事長の三又です。

近年、米中対立を基軸として、世界の地政学的な構図は激変しています。冷戦終結後、市場拡大と効率追求を目指して進展してきたグローバリゼーションの流れにブレーキがかかり、世界が二極化/ブロック化に向かう兆候が強まっています。世界各国は、既成の通商政策や輸出管理の枠組みを超えた経済安全保障の強化を図っており、先進技術の囲い込みやサプライチェーンの分断が起きつつあります。2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻とそれに対する西側諸国の対応は、こうした世界の流れを強める方向で作用しています。

同時に、脱炭素や循環経済への転換といった環境面をはじめ、持続可能な社会とそれを可能にする企業経営が強く求められるようになってきました。併せて、デジタル技術による変革が驚異的なスピードで進行し、2020年以降の新型コロナウィルス禍がその更なる普及を後押ししている面もあります。GX(グリーン・トランスフォーメーション)とDX(デジタル・トランスフォーメーション)は、企業経営にとってリスクと機会の両面できわめて大きなインパクトを有する要素であり、これからの事業活動の基軸に据えるべきものとなっています。

今日の世界は、以上に述べた地政学的変化、サステナビリティ追求、デジタル化の3つの要素が相互に影響を及ぼし合う大規模なゲームチェンジが進行する時代の只中にあると言えましょう。

パナソニックグループは、その製品・サービスを提供する事業活動を通じて、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現を目指しています。事業活動を進めるうえで、上記のゲームチェンジは重大な環境変化をもたらすものであり、その本質と実相を的確に把握し事業戦略や意思決定に活かすことが従来にも増して重要になっています。パナソニック総研は、パナソニックグループのシンクタンクとして、顧客のニーズに寄り添いながら、この環境変化に焦点を当てた情報収集・分析・提供活動を展開します。公的機関や専門研究機関等とのネットワークも活かし、新たなインテリジェンスの獲得と提供を目指してまいります。