社会福祉法人 同愛記念病院様
モバイルデバイス管理による煩わしさからの解放と
ITガバナンスの向上を"Optimal Biz"導入で目指す同愛記念病院
患者とのコミュニケーションや会議のペーパーレス化など、スマートデバイスは病院内のあらゆる場面で大きな価値をもたらします。しかしセキュリティ・ガバナンスの視点からは、とりわけ情報保護が求められる病院において、多くのデバイスが今どこにあるのか、誰がどのように使っているのか、適切な管理が求められます。そうしたなか、端末のすべてを少人数のシステム担当者で設定・管理することに頭を悩ませている人が多いことも事実でしょう。
こうした課題に直面した同愛記念病院は、遠隔医療サービスなど幅広い業界を支援するモバイルデバイス管理(MDM)"Optimal Biz"の導入を決断しました。本記事では、Optimal Bizの導入背景、経緯、その後の効果について、同愛記念病院 経営戦略室の木村 浩司氏に深く掘り下げて伺っています。
複数業務を兼任するなかで求められた、iPad62台のキッティングと管理
-まずは貴院の特徴と、木村様の担当する業務内容について教えていただけますか。
同愛記念病院は、26の診療科と360の病床を有している墨田区の基幹病院です。近隣には国技館もあり、大相撲力士やスポーツ選手の治療も数多く手がけています。2022年には「地域医療支援病院」の承認を受け、新たな病棟も完成しました。
私は経営戦略室の一員として病院のDXを推進するほか、新棟建設の準備や地域医療連携などを担当しています。
-お1人で幅広い業務をご担当されているのですね。病院内におけるスマートデバイスの導入はいつ頃のことでしたか?
それは2020年で、コロナ禍の真っ只中でした。コロナ病棟に入院している患者さんと、医師・看護師がビデオ通話でコミュニケーションをとるために、iPadを8台導入したんです。
ところが、備品管理がとても大変で……、iPadが今どこにあって、使われているのかいないのかの把握ができていませんでした。デバイスの制限もしていなかったため、患者さんが自由勝手にアプリを入れてしまうリスクがあったことも事実です。
-MDMの検討を始められたのは、そうした「管理の大変さ」がきっかけだったのでしょうか。
はい、その通りです。その後、会議のペーパーレス化を進めるために、業務用iPadを役職者62名に配布することが決まったのですが、ビデオ通話用の8台でも大変だったのに、62台のiPadの初期設定や管理など想像がつきません。どうしようか悩んでいた際、管理用のツールとしてMDMがあると知り、検討を始めたのです。
Optimal Bizの導入により、初期設定作業を大幅に効率化
-MDMの中でも、"Optimal Biz"を選ばれた決め手はなんだったのでしょうか?
「使いやすさ」を軸に検討したのですが、Optimal BizがシェアNo.1と知り、多くの人が使っているということは、それだけUIも優れているのだろうと考えました。
また、Optimal BizはマルチOS対応という点も魅力でした。MDM製品の中にはiOSだけ対応といったものもあったのですが、Optimal BizはAndroidにもWindowsにも対応しています。今後、たとえば看護師がAndroid端末などを持つようになった場合に備えて、拡張性の高いMDMとしてOptimal Bizを導入しておきたいと思いました。
-導入はどのように進められていったのでしょうか。苦労された点などおありですか?
初めてMDMを使うということで、「プロファイル(デバイスに適応する一連の設定)」や「ABM(Apple Business Manager:MDM製品とApple IDを連携するサービス)」といった単語に戸惑いはありましたが、マニュアルが充実していたこともありすぐに慣れました。Zoom越しにサポートを受けることができたのも大きかったです。
実作業としては、まずOptimal BizとABMを連携し、それから管理画面で構成プロファイルを設定します。どのブラウザやPDFビューワーを使うか、といった業務用の設定です。そして最後に、各端末からこのプロファイルDLして紐付ければ、あとは自動的に構築してくれます。2,3日ほどで全端末の設定が済みました。
-もしOptimal Biz無しに、iPad62台の初期設定(キッティング)作業をおこなっていたとすると、どれだけの負担になっていたと思いますか?
いやあ、Optimal Biz無しのキッティングは考えられませんね。もう手放せません(笑)
操作性の高い管理画面でデバイス管理者の心的負荷軽減に。
今後はIT資産管理の適正化を進めていく
-会議のペーパーレス化を目的としてiPadを導入されたわけですが、実際の効果はいかがでしょうか。
2023年5月にiPad配布を完了しており、現在は、役職者が参加する全体会議にて使われています。毎月、十数ページ×62人分の資料を用意していましたから、年間で1万枚以上の紙を削減できています。また、事前に事務方が資料を印刷して各部署に配りに行っていたのですが、その労力も必要なくなりました。
また、病棟には個人情報保護のため、インターネットに接続できるPCはありませんでした。一方iPadはWi-Fiを経由してネットの利用ができるため、空いた時間で研修用の動画を見たり、クラウドの休暇申請システムを利用したりと、業務効率化にも貢献しています。
-Optimal Bizの運用についてはいかがでしょうか?
日常ではほとんど手間をかけていません。先日の話ですが、一定期間ログインがないというアラートがあったので所有者に確認したところ、紛失してしまったとのことでした。第三者に操作されないようにリモートでロックをかけて、位置情報取得機能で所在を探した結果、病院内にあることが分かり、しばらくして見つかりました。もしOptimal Bizを導入していなければ、紛失に気づけないことはもちろん、情報漏洩などの危険にさらされていた可能性があったと考えるとぞっとします。
使い勝手で言うと、Optimal Bizの管理画面は、ぱっと見で分かりやすいですね。画面上のどこにいけばやりたいことができるのか、必要機能などひと目で分かるので探すストレスがありません。
-その後、デバイスを追加するようなことはありましたか?
予備機として2台追加しています。Optimal Bizを使って、20分でキッティング作業が終了したので、端末を増やすことについての業務負担や心理的なハードルはグッと下がりました。
-改めて、Optimal Bizの導入効果をまとめていただけますか。
大きくは2点あります。1つは先ほど申し上げた「キッティング作業時間の大幅短縮」ですね。そしてもう1つは、「IT資産管理の適正化」です。どこにデバイスがあり、どのように使われているのか、きちんと把握できるようになりました。
また、これは今後の話ですが、端末の運用管理業務を誰かに引き継ぐ場合も、より容易になるだろうと考えています。おそらく、2,3ページ程度のマニュアルを見れば、誰でも担当することができると思います。
-さらなる今後の展開予定などあれば、教えて下さい。
病院内にはインターネット環境に接続するPCが100台以上あります。現在取り組んでいることとすれば、このPCすべてを管理できるようにすることです。Optimal BizはWindowsにも適応できますから、ここを皮切りに院内のITガバナンスを向上させていければと思います。
社会福祉法人 同愛記念病院様
(東京都墨田区、院長 平野美和 1929年06月設立)
地域の皆様に信頼される病院を目指して、2022年3月31日付で東京都知事より地域医療支援病院の承認を受けました。地域医療支援病院は、紹介患者に対する医療提供、医療機器の共同利用との実施を通じて、かかりつけ医、かかりつけ歯科医等を支援し、効率的な医療提供体制の構築を図ることを目的としています。また、東京都は2021年10月より承認条件に新たに感染医療の提供、災害医療の提供を加えました。
一般病棟病床数:330、療養病棟病床数:30床、職員数:565名、うち常勤医師数94名