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チャットボットの種類は?
会話形式と利用シーン別にわかりやすく解説

公開日:2022 / 7 / 29更新日:2024 / 2 / 2

チャットボットはAI型・シナリオ型・ハイブリッド型などの会話形式から、社内問い合わせ・顧客サポート・マーケティング用途などの利用シーンまで、さまざまなチャットボットがあります。チャットボットの種類を会話形式と利用シーン別に解説します。

< 目次 >

チャットボットとは

チャットボットとは「チャット(chat=おしゃべり)」と「ロボット(ro“bot”)」を組み合わせた言葉でユーザーとリアルタイムで「自動で会話するプログラム」のことです。チャットボットは人に代わりロボットが自動で対応を代行することができるため、問い合わせの対応やECサイトなどオンライン接客として活用されています。

チャットボットが自動でリアルタイムに回答するイメージ

チャットボットの種類

チャットボットの種類は機能を軸とした分類と利用用途を軸にした分類を行うことができます。機能軸による分類ではチャットボットの検索や会話形式で分けることができ、「AIチャットボット」「シナリオ(ルールベース)型チャットボット」「ハイブリッド型チャットボット」の3つに分けることができます。利用用途別では利用シーンによって分類することができ、代表的なものは「社内用途向け」「カスタマーサポート」「マーケティング」の3つの用途に分けることができます。

会話形式で分ける

チャットボットは会話形式の違いで3つのタイプに分けることができます。まず「AIを搭載しているタイプ」と「AIを搭載していないタイプ」の2つに分類することができ、AIを搭載しているチャットボットのことを「AIチャットボット」、AIを搭載していないタイプを「シナリオ(ルールベース)型チャットボット」と呼んでいます。最近では、この2つタイプのメリットをあわせ持った「ハイブリッド型チャットボット」と呼ばれるものもあります。

  1. AIチャットボット

AIチャットボットはAIエンジンを搭載したチャットボットです。AIは会話の意図を理解できるので、利用者が問いかけた内容に対して適切な回答を行うことができます。AIチャットボットのメリットは登録していない表現でも、意味を理解し対応することができるので柔軟に人と会話をしているように対応できる点です。また、AIは会話ログから自動で単語の意味を学習するため、使えば使うほど精度を上げることができます。一方で、AIエンジンの学習データが不十分な場合はうまく精度が出せない点は注意が必要です。

  2. シナリオ型(ルールベース型)チャットボット

AIを搭載していないチャットボットをシナリオ型チャットボットやルールベース型チャットボットと呼びます。シナリオ型チャットボットの場合は、あらかじめ登録した選択肢やフロー分岐を登録し、利用者は選択肢をクリックすることで決められたシナリオに沿って回答にたどりつくことができます。シナリオ型チャットボットのメリットは、選択と分岐を繰り返しながら利用者を的確に回答まで誘導することができる点です。しかし一方で、シナリオの作成に時間がかかる事やシナリオに登録していない内容は対応ができないので、対応できる業務範囲が狭い点がデメリットとして挙げられます。

  3. ハイブリッド型チャットボット

最近ではAIチャットボットとシナリオ型チャットボット両方のメリットをあわせ持ったハイブリッド型のチャットボットも登場しています。ハイブリッド型チャットボットはAIエンジンを搭載し、さらにシナリオ機能を持っているため、AIチャットボットのように柔軟に幅広い対応を行うことができ、さらにシナリオ型の様な丁寧で複雑な誘導も行うことができます。

利用シーンで分ける

チャットボットの種類は利用シーンごとに分けることもできます。チャットボットの利用用途は大きく分けると従業員からの問い合わせ対応を行う「社内問い合わせ対応」、製品サポートなどの「カスタマーサポート」、ECサイトなどの「マーケティング」に分けることができます。それぞれの用途で必要な機能が異なるため、利用する用途に合わせたチャットボットを選択することがおすすめです。

  1. 社内問い合わせ対応

従業員からの問い合わせの対応を行う「社内問い合わせ対応」のチャットボットは、人事やIT・総務・経理などの担当者に代わりチャットボットが対応を行います。Q&Aの作成や運用は各部門の担当者が行うため、誰でも使いやすくシンプルな機能のチャットボットが多いです。また、通常の業務と並行して行うため運用の手間がかからないような機能や社内用語を学習済みのAIエンジンを選ぶとよいでしょう

  2. カスタマーサポート

製品サポートなどの「カスタマーサポート」用途では、顧客からの問い合わせに対して丁寧な対応とトラブルの原因切り分けなどのヒアリングが求められます。そのためシナリオ機能を持ったチャットボットやチャットボットで対応できなかった場合に有人オペレーターへの引き継ぎ機能のあるチャットボットを選ぶのがおすすめです。

シナリオによるヒアリング機能/有人オペレーターへの引き継ぎ機能 イメージ

  3. マーケティング

ECサイトなどの「マーケティング」用途に特化したチャットボットも増えています。マーケティング用途の場合はカスタマーサポートのような丁寧な顧客対応を行うための機能に加えて、利用者を特定や利用者に合わせた情報をプッシュし販売活動の促進を行うための機能が必要です。マーケティングにチャットボットを活用する場合は自社のECサイトへ組み込み購入につながるような機能や仕組みがあるか確認してください。

  4. 販売店・代理店からの問い合わせ対応

代理店からの問い合わせの対応には品番と製品名どちらからも検索できるようにしておく必要があります。英数が混在した品番検索はうまく絞り込みができないため、大量にある品番の管理が簡単なチャットボットがおすすめです。また、代理店の場合は納期や在庫に関する問い合わせ対応が必要なため、それらのシステムと連携できると業務を大幅に効率化することができます。

チャットボットの導入に成功した事例

AIチャットボットで業務効率が見込める業務についてご紹介します。

  1. バックオフィス業務の問い合わせ対応

チャットボットに従業員からの問い合わせ対応を代行させることで対応工数を削減し、業務改善を行うことができます。株式会社クスリのアオキでは、労務関連の社内問い合わせ対応にAIチャットボットを導入し、問い合わせ対応にかかる業務負荷が約75%削減、約3,500時間の人時削減を実現しました。さらに導入前は、「土日に連絡が取れない」、「メールでの返信が遅い」といった従業員からの苦情が問題になっていましたが、チャットボット導入後解決時間が短縮され、従業員が疑問をすぐに解決できるように改善することができました。

約3,500時間の対応時間削減など大幅な業務効率化を実現。

約3,500時間の対応時間削減など大幅な業務効率化を実現。

株式会社クスリのアオキ様

労務関連の社内問い合わせ対応にAIチャットボットを導入し、問い合わせ対応にかかる業務負荷が約75%削減、約3,500時間の人時削減を実現。さらに、質を落とさず従業員が疑問をすぐに解決できるように改善!

業種:医薬品・化粧品・日用雑貨などの近隣型小売業、調剤業務
従業員数:15,000人(2021年5月現在)
用途:社内問い合わせの対応

  2. カスタマーサポートでの利用

サービスの問い合わせやトラブルシューティングなどのカスタマーサポートでもチャットボットを活用することができます。チャットボットの場合は24時間365日対応が可能なため、コールセンターの対応時間外でも利用者を待たせずに解決に導くことができます。また、トラブルシューティングなどの場合はトラブルの切り分けができるシナリオ機能も利用できるチャットボットがおすすめです。

  3. ECサイトでの利用

チャットボットはWebサイトに埋め込みができるため、ECサイトでも多く活用されています。ECサイト用に設置されているチャットボットは顧客情報や購入履歴などと連携できるものもあり、チャットボットから得た情報をマーケティングに活かすことができます。

  4. 営業・販売店の問い合わせ対応

営業や代理店からの納期や在庫・代替品・製品仕様に関する問い合わせの対応も、チャットボットで効率化させることができます。営業や取引先からの問い合わせは、その先の顧客に回答が必要なためすぐに対応を求められるケースが少なくありません。チャットボットは24時間365日即時回答することができるため、営業や取引先を待たせることなく解決することができます。

文化シヤッター様では、営業からの商品に関する問い合わせ対応を通常の業務と並行して行っていたため回答に時間がかかっていましたが、AIチャットボットを活用することでテレワーク下でも場所や時間に制限されることなく、必要な情報を即時得られる環境を実現しました。詳しくはこちらの成功事例をお読みください。

必要な商品情報を即時に得られる環境の実現に向けて。

必要な商品情報を即時に得られる環境の実現に向けて。

文化シヤッター株式会社様

テレワークでも場所や時間に制限されることなく、必要な商品情報を即時に得られる環境の実現に向けて

業種:各種シャッター、住宅建材、ビル用建材の製造および販売
従業員数:4,764人(連結、2021年3月期)
用途:社内問い合わせの対応

  5. コールセンターのオペレーター業務での利用

コールセンターの場合はお客様の問い合わせだけではなく、オペレーターのナレッジ共有にも活用することができます。

コールセンターは顧客を直接対応するため満足度を高めるうえで非常に重要な部門です。オペレーターの対応がサービスや企業へのイメージに影響するため高い対応品質が求められます。チャットボットに回答案やヒアリング項目をナレッジ化しておくことで、オペレーターは数秒で必要な情報を検索し素早く質の高い回答を行うことができるようになります。

チャットボットの選び方

AIチャットボットは数十種類のツールがあります。選定を始めてみると、どのように選べばいいかわからないということはありませんか。自社に適したAIチャットボットの選び方をご紹介します。

  1. AIか?シナリオか?対応業務からチャットボットのタイプを選択する

チャットボットを選定するときは将来的に必要なQ&A数と回答の複雑性で、それぞれのタイプを選定するのがおすすめです。想定されるQ&A数が少ない場合はAIチャットボットと比較し安価な「シナリオ型チャットボット」を選択するとコストを抑えることができます。一方、想定されるQ&A数が多い場合は、検索機能が優れた「AIチャットボット」がおすすめです。ただし、AIチャットボットはシナリオのように複雑で丁寧な誘導はできないため、聞き返しが必要な複雑な対応を行う場合はシナリオ機能を持った「ハイブリッド型チャットボット」を選ぶとよいでしょう。

AIか?シナリオか?対応業務からチャットボットのタイプを選択する イメージ

AI搭載型を選択する場合は「AIの回答精度」をしっかりと比較しておく必要があります。AIの回答精度が悪いと表現の揺れに対応できず、せっかく登録した回答をうまく検索ができません。AIチャットボットの効果を最大限発揮するためにはAIの回答精度を重視する必要があります。AIの回答精度はトライアルで実際のデータを登録して確認するのが一番ですが、検討時には、以下のようなポイントを確認しておくとよいでしょう。

確認ポイント  
エンジンの得意分野 エンジンの回答精度は学習しているデータに大きく影響されます。
職種や業界に特化したエンジンもあるため、自社の業務合わせて選択すると効果的です。
バージョンアップの頻度 AIエンジンは自動学習機能でログから単語の意味を自動獲得していきますが、利用数が少ない導入直後はデータ数が少なく自動学習機能をうまく活用できないケースがあります。
AIエンジンによっては定期的にバージョンアップを行い、新語の追加やロジックの改善など全体最適を行っているものもあるため、バージョンアップの頻度も確認しておくのがおすすめです。
回答精度を上げる補助機能 チャットボットには回答精度を上げるために、カテゴリーを分類する機能や入力文をサジェストするなどの補助機能があるものがあります。AIエンジンのそのものではありませんが、補助機能についても確認しておくとよいと思います。

  2. 管理画面の使いやすさ

チャットボットは問い合わせの対応を行っている現場の担当者が、データの登録や運用を行います。そのため、誰でも使いやすく運用しやすいツールを選択しないと「導入後に使われなくなった」「かえって運用コストが増加した」といったことになりかねません。導入後の運用を想定し、次の3つのポイントを確認しながら比較してみてください。

(確認ポイント)

  • 直感的に操作できるか
  • メンテナンスが簡単にできるか
  • 効果測定機能があるか

  3. 利用者が使いやすいか

どんなにチャットボットにナレッジをためても利用者に使われなければ効果を発揮することはできません。利用者にメリットがあり、使いやすいツールという点も非常に重要な確認ポイントです。利用者の使いやすさは次の3つのポイントを参考に確認するのがおすすめです。

確認ポイント  
直感的に操作できるか
  • 回答レスポンス
  • 回答の見やすさ(画像やハイパーリンクが設置できるか)
  • 会話の流れ
チャットボットが設置できる場所
  • サイトに埋め込みができるか
  • チャットツールと連携できるか
  • 利用できるデバイス
回答できなかった場合のフォロー
  • お問い合わせフォーム
  • 有人チャット機能

サポートが提供されているか

チャットボットは導入後もQ&Aを最適化するなどの運用をしっかりと行う必要があります。そのためには、導入後のサポートをしっかり行っているツールを選択することが重要です。導入検討時には自社で運用を行う上で必要なサポートが提供されているのか、内容もしっかり比較するようにしてください。

  サポートなしの場合 サポートが充実したチャットボットの場合
導入時
  • 操作マニュアル提供
  • 導入スケジュールの提案
  • 操作説明会の実施
  • テンプレート提供
  • 評価支援
導入後
  • お問い合わせ窓口の支援
  • バージョンアップによる機能改善
  • 定例会による改善提案
  • バージョンアップによる機能改善
  • 効果レポートの提供
  • 新部門の導入伴走支援

チャットボットは機能や用途に合わせて分類することができます。効果を出すためにはチャットボットを活用したい用途に合わせて適切なチャットボットを選択することが重要です。

「WisTalk(ウィズトーク)」は、AIエンジンとシナリオの機能を持つハイブリッド型のチャットボットです。30年以上のAI研究と製品開発で培った単語網羅率99%のAIエンジンを採用しているため、高い回答精度で回答することができ、シナリオによる複雑で丁寧なヒアリングを行うためのフローチャートを簡単に作成することができます。

また、WisTalkチャットボットの導入や運用を追加費用なしでカスタマーサクセスチームがサポートしています。ご紹介した導入の手順のほかにも、短期間で効果的に導入するためのコツやノウハウをお客様の運用に合わせて提案することができます。

無償トライアルでは、カスタマーサクセスチームのサポートやチャットボットの機能を利用制限なしですべて体験いただけます。チャットボット導入を検討されている方は、ぜひお問い合わせください。

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ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。

※ 出典: ITR「ITR Market View : ビジネスチャット市場2022」

  • チャットボット市場 - BtoE用途 : ベンダー別売上金額シェア (2020年度~2022年度予測)